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"内定式"を止めれば就活長期化は解消する

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就活の長期化を防ぐためにはどうすべきか。経団連は10月、長期化を防ぐためにはじめた「就活ルール」の廃止を発表した。ルールを破る企業が相次ぎ、形骸化していたからだ。なぜ採用日程は変わらないのか。法政大学の田中研之輔教授は「内定日が10月1日以降と定められていたことに一因がある」と指摘する――。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/AH86)

■内定式は本当に必要なのか?

新卒一括採用をめぐる混乱で焦点化されているのは、採用の開始時期です。経団連は、広報活動を卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降、選考活動を同年度の6月1日以降と「採用選考に関する指針」に記し、そのスケジュールを守ることをこれまで呼びかけてきました。これがいわゆる「就活ルール」です。

しかし、選考開始時期を守る企業は少なく、早期のインターンシップから採用活動を実施する企業も増えたことで、「就活ルール」の形骸化が問題視されるようになりました。

経団連が定めていた「採用選考に関する指針」の中で、「順守」という強い言葉を用いて記載されている箇所があるのをご存じでしょうか。それは、「正式な内定日は、卒業・修了年度の10月1日以降とする」という事項です。

その結果、毎年、10月1日に大半の企業で内定式が実施されることが慣例になっています。10月1日に4年生のゼミがある場合には、大学は悲惨なことになります。「内定式があるので、ゼミを欠席します」という学生が続出するのです。

そこであえて「内定式って10月1日に開催する必要があるのでしょうか?」という問題提起をさせてください。卒業の半年前に内定式に参加して、内定者研修を受けて、内定書を授与されるというこの「通過儀礼」が、新卒一括採用の問題の根を深くしている原因の一つなのではないかと考えているからです。

■内定式からの逆算で採用日程が決まる

内定式それ自体を批判しているわけではありません。企業側にしてみれば、内定式は、正式な内定を出して、内定承諾書にサインを書かせて、入社までの期間の内定辞退を回避する重要な業務です。

とはいえ、内定式が10月1日となっているために、現行の新卒採用スケジュールの大枠が逆算的に固まっています。10月1日を迎える数カ月前には、選考を終えて内定者を固めておく必要があるからです。そのため、4年生の8月や9月ではなく、6月が選考活動の開始時期とされてきたわけです。採用スケジュールを見直すなら、まずは内定式の日程から、見直してみませんか。

本来、内定式の日付は、企業がそれぞれに決めるべきです。年明けの1月や2月に行う企業があってもいいですし、内定式を実施しない企業が増えてもいいわけです。社会人の働き方は、転職、副職・複職とさまざまになっています。それに合わせて、入社前の入り口も、より柔軟に対応していく必要があるのです。

企業の判断で内定式の実施日が多様化すれば、新卒採用のスケジュールも柔軟に設定することができます。

■新卒採用と通年採用のメリット・デメリット

さて、私は「就活ルール廃止」後の新卒採用の具体的なモデルとして、「ターム&プール採用」を提唱しています。「ターム&プール採用」の詳細は、「就活を”夏休みと春休み”に集中すべき理由」をご覧ください。

「ターム&プール採用モデル」のイメージ(作成=田中研之輔)

この「ターム&プール採用」モデルは、新卒採用と通年採用のメリットとデメリットを考慮して構築しました。それぞれ順にみていきます。

新卒採用は、集中した期間で大量の人材を一括採用できるのがメリットです。その後の社内研修や社内教育を均一的に実施できるため、人事コストも抑えられます。その反面で、9月卒業の大学生が4月入社のエントリー条件に適合しなかったり、海外留学組の学生が採用スケジュールから漏れたりしてしまっていました。また、一発採用のため、採用時期に病気やケガなどで就職活動ができなかった場合には就職留年をしてしまうという、制度運用上のデメリットも抱えていました。

通年採用にすれば、企業側も学生側も、それぞれのタイミングで採用や就活を実施できるようになります。学生は卒業後に海外インターン経験を積んでから、国内の企業に新卒枠で就職することも可能です。ただし、選考開始時期が自由化されると採用活動は早期化し、それに伴い長期化することが予想されます。すると新卒採用担当者は、一年中、採用活動に追われることになり、学生側は、今まで以上に常に就活を意識した学生生活を過ごさなければなりません。

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