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満員電車ゼロに向けて -「混雑定期」の研究

 こんにちは、都議会議員の鈴木邦和です。私はいま満員電車の解消に向けて、混雑定期の導入という新しいアプローチを研究しています。

 東京都では2年前より「時差ビズ」を実施していますが、利用者が実感できるほどの効果はなかなか出ていないのが現状です。そこで、私は「時差ビズ」をさらに発展させた施策として「時間帯別料金制の導入」を提案してきました。ピーク時の料金を高くする代わりに、オフピーク時の料金を低くすることで、需要を分散させるのがこの制度の狙いです。

 この時間帯別料金制は、すでにロンドン・ニューヨーク・シンガポールなど海外の主要都市で導入されており、満員電車の対策として着実な効果が期待できます。日本でも、航空・ホテル事業では広く認知されている料金制度であり、いまや高速道路も電気も時間帯別に料金が変わるようになっています。


 しかし、鉄道への導入にあたっては、「ピーク時の料金値上げは社会的に受容されない」、「学生への配慮はどうするのか」、「日本で効果が出るのか」といった声があり、鉄道各社の合意を得るのも難しく、なかなか進みませんでした。日本の鉄道にこの制度を導入するには、もう少しブレークスルーが必要です。

 そこで、私がいま構想しているのが「混雑定期」の導入です。日本の満員電車の特徴は、朝のラッシュ時間帯において乗客の80%近くが定期利用者だという点にあります。そして、日本の通勤定期は、すでに正規料金の35%前後割引されるようになっています。この定期に時間帯別の料金バリエーションを作るのです。

 例えば、いま吉祥寺-新宿間の定期料金は1ヶ月6460円です。そこで、朝7:30〜8:30の最混雑時に利用可能な定期は、正規料金の5%引き=1ヶ月9000円に上げます。その代わりに、朝6:30〜7:30や8:30〜9:30に利用可能な定期は、正規料金の最大60%引き=1ヶ月3800円にします。

 通勤定期への適用とすることで、正規料金の値上げに至らない範囲で料金差を設定できますし、通学定期の割引率は据え置けば、学生への新たな負担は生じません。また、もしオフピーク定期でピーク時に乗車する日があっても、その差額を自動改札機で引けば問題ありません。

 日本では、約86%の企業が社員の定期代を負担しており、始業時間を決めるのも社員個人ではなく企業です。その企業が負担している定期代は、社員1人あたり1年で平均18万円と云われており、ピーク時とオフピーク時に上述の定期料金差を設定すると、社員1人あたり年間10万円の経費差になります。この経費差ならば、始業時間の変更やフレックスタイムを検討する企業は出てくるはずです。

 この混雑定期や時間差料金制は、自動改札のシステムを大規模に改修することで実現できます。システムの改修費は数百億円という見込みですが、数千億円を投じて1路線しか混雑解消できない複々線化よりも遥かにコストパフォーマンスが高いはずです。しかも、一度システムを改修してしまえば、路線の混雑率の変化に応じて、定期の割引率を継続的に見直していくことができるため、ハード面で需要対応するよりもスマートです。
 
 もちろん混雑定期は新しいアイデアであり、今後さらなる検証が必要ですが、利用者の皆さまや鉄道事業者へのヒアリングを重ねながら、課題を一つ一つクリアしていきたいと考えています。

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