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  • S-MAX
  • 2018年11月25日 11:40

秋吉 健のArcaic Singularity:「勝利」の時代が終わる。auの3G携帯電話サービス「CDMA 1x WIN」が2022年3月末に終了!通信の歴史を紐解き未来を考察する

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KDDIが2022年に予定しているCDMA 1X WINのサービス終了について考えてみた!

先週、KDDIおよび沖縄セルラー電話が移動体通信事業者(MNO)サービス「 au」の第3世代移動通信システム(以下、3G)サービス「CDMA 1X WIN」(CDMA2000 1x EV-DO方式)を2022年3月末でサービス終了するとの報を目にしました。業界関係者のみならず、かつてCDMA 1X WIN対応ケータイなどを利用していた人には、少なくない衝撃と感慨を呼んだのではないでしょうか。

CDMA 1X WINはNTTドコモのFOMAとともに3Gサービスを牽引し、通信業界の発展に寄与してきた輝かしい実績を持つ通信サービスであるとともに、この規格が故にその後のauの苦戦も招いた「悩みのタネ」でもあったというのが筆者の印象です。

トップ画像に写っているケータイ(フィーチャーフォン、いわゆる「ガラケー」)の「INFOBAR 2」とスマートフォン(スマホ)の「INFOBAR A01」は、いずれもCDMA 1X WIN対応端末でした。CDMA 1X WINはこういったデザインケータイとともにあった通信サービスでもあり、通信サービス(通信規格)とデザインという2つの要素がauというサービスの「色」を決定付けてきたのだとも感じます。

そこで今回の感性の原点からテクノロジーの特異点を俯瞰する連載「 Arcaic Singularity」では、CDMA 1X WINの歴史や思い出を振り返りつつ、auの考える通信の未来について考えます。

ケータイやスマホをただの道具ではなく、早くからファッションとして扱ったau

■早いエリア展開と端末の高いデザイン性で成功したau

まずはCDMA 1X WINというサービスの歴史を紐解いてみましょう。auでは第2世代通信(2G)サービスとしてCDMA方式を採用し、「cdmaOne」というサービス名で1998年よりサービスを提供していました。

その後いよいよ高速通信を主体とした3Gサービスの時代へと突入する際、auはCDMA方式と互換性が高く、既存の基地局や回線を流用しやすい「CDMA2000 1x MC」という方式を採用して「CDMA 2000 1x」というサービスを2002年に開始します(その後すぐに「CDMA 1X」とサービス名を変更)。当時は各社がサービス提供エリアの広さを競っていたこともあり、如何に低コストで素早く広範囲のエリアをカバーできるかが大きな焦点だったのです。

同じく3Gサービスとして登場したNTTドコモのFOMAが、エリアの狭さや端末の大きさなどの欠点もあってスタートダッシュでつまづく中、それまで後塵を拝していたauにとっては大きな逆転のチャンスでもありました。そのため通信規格の高速性や先進性を大きく喧伝するよりも、より堅実にエリアの広さや端末のデザインで人気を集めようとしたのです。

そしてついに、上位サービスとなる「CDMA 1X WIN」が2003年に登場します(2012年にはCDMA 1Xとともに「au 3G」とサービスを改名)。CDMA方式から脈々と継がれる互換性によってエリア展開も早く(CDMAエリアでは当然ながら通信速度は遅かった)、オシャレなデザインの端末を数多くラインアップすることで大躍進を遂げたのです。これが当時「au=デザインの良いケータイ」というイメージを定着させた最大の成功でした。

CDMA 1Xに対応するデザインケータイ「talby」。当時このファッションアイテムのようなデザイン性は携帯電話業界にはあり得なかった

■コスト&後方互換性優先の戦略が仇となった

しかし後方互換性を優先し低コストに素早くエリア展開した戦略が、その後緩いボディブローのようにじわじわとauを苦しませます。

さらに時代が進み第4世代通信(4G)サービスを導入する際、auは当初CDMA2000 1xでの成功に習い、CDMA2000 1x系の方式と親和性の高いUMB(Ultra Mobile Broadband)方式の採用を検討していました。これによって再び素早いエリア展開を行い高いアドバンテージを維持する戦略でしたが、通信モジュールの量産コストや世界シェアなど数多くの理由から、他社と同様のFDD-LTE(LTE)方式を採用します。

今度はここでauがつまづきます。NTTドコモやソフトバンクは3G方式としてW-CDMAを採用しており、LTEを用いた通信を行っている最中にもシームレスにW-CDMA方式へと接続が切り替えられ通話が可能でした。

ところがauの採用するCDMA2000 1x方式ではLTEとの相性が悪く、4G通信から3G通信へとシームレスな切り替えができず、通話中にデータ通信でオンラインマップを確認したり、メール受信して内容を確認するといった使い方ができませんでした。

実利用で不都合が出るほどではなかったが、他社より扱いづらいという印象は拭えなかった

この弱点を克服するため、auは音声通話もLTE回線を利用する「VoLTE」の導入とエリア展開を急ぎます。VoLTEは高品質な音声通話が最大のメリットですが、通話中などにLTE回線のままデータ通信が行なえる点も、モバイルインターネット全盛となった今は大きなメリットとなります。

auはフィーチャーフォンでも早々にVoLTE対応を進め、3G回線からの早期撤収を図っていました。そのため2022年でのサービス終了という流れは、むしろ「結構猶予を持たせたな」という印象すらあります。

auから発売されている端末自体は2015年後半~2016年頃よりほぼ全てがVoLTE対応となっているため、それから6~7年後となる2022年まで猶予期間を設ける理由があるとすれば、恐らく端末よりも基地局側のエリア対応が万全となるまでの時期を見越したものと思われます。

2015年に発売された同社初のVoLTE対応フィーチャーフォン「AQUOS K SHF32」

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