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作戦実行メンタリティを応用すると

今朝の横浜北部はやや曇っていて寒いですが、雨が降ることはなさそうです。

さて、ここ何回かにわたって触れている「作戦実行メンタリティ」について、くどいようですがもう一度語ってみたいと思います。

今回の来日でルトワックが、防衛省の進めるイージス・アショアの呑気な配備計画について批判をしていたことはすでに触れた通りですが、それ以外にも私があらためてこのような「作戦実行メンタリティ」について考えさせられたことが一つあります。

それは、現在準備中の監訳本の中にあった記述です。

まだ詳しくは言えないのですが、次に出す本の内容を簡単にいえば「アメリカは同盟国の重要性を認めよ」というものです。

この本が最初に出たのは前回の大統領選挙の直前の2016年なのですが、この中で主張されているメッセージは、現在のトランプ政権にはまさにうってつけの内容ではないでしょうか?

実に興味深いのは、この本の結論部分で「作戦実行メンタリティ」に大きく関係することが書かれている点です。

具体的には、アメリカ自身が同盟国に対する安全保障面でのサポートを充実させることの次に重要なのが、同盟国が抱えがちないくつかのリスクに気をつけろ、と記されている点です。

ではその「リスク」は何かというと「同盟国がアメリカのマネをして、”フルスペクトラム”な装備を求めてしまう」というものです。

ようするに、同盟国が資金的な余裕もないのに、世界ナンバーワンの軍事超大国であるアメリカのような「全方位万能」な装備を整えようとしてしまい、そのおかげで各分野でろくな装備を整えることができない、ということです。

同盟国にそうさせてしまう理由はいくつかあるわけですが、その本の中で指摘されている最も興味深い要因は、「最も成功しているアメリカの能力とその考え方をそのまま輸入したほうが気楽だ」という、まさに作戦実行メンタリティーから大きく外れたものです。

いいかえれば、「アメリカが持っているから日本も」という考え方です。

これは自分の置かれた戦略環境というものを考えず、身の丈を知らずに安易にものごとを決定しているわけで、たしかに気楽で頭をつかわずに済む点ではいいかもしれませんが、実際は安全保障に関する政策面における考えの「真剣さ」が欠けていることがよくわかります。

この他に、この本にある注目すべき点が、アメリカが同盟国たちに対して軍事面で求めるべきものに「防壁」と「反乱」という2つがあるという興味深い指摘です。

まず「防壁」ですが、これはまさに現在の日本が行っているような、主に相手が攻撃してくることを阻止することを意識した「抑止力」となる軍事力や態勢の構築がからむものであり、イージス・アショアのようなミサイル防衛システムなどはこの典型ですね。

ところがもう一つの「反乱」は、政治的にはかなり受け入れがたいものです。

なぜならこれは、同盟国が侵攻されたあとに、占領軍に対して反乱(ゲリラ)戦を行い、既成事実化をする前に撤退させることを狙ったものだからです。

つまり一度占領されることを前提とした戦いに備えよ、ということですね。

これは日本では「竹ヤリか!」となって大きな批判を受けること必至ですが、大きく状況は違えど、バルト三国などではロシアの侵攻に備えて、この「反乱」的な準備が進められております。

日本は島国ですし、防衛面では最新鋭の「無駄な」イージス・アショアに備えるだけの余裕がまだあるのかもしれません。だからこそこのような真剣な防衛策に本気で取り組んでいないわけであり、そもそもそれが必要ないと考えられているのでしょう。

ただし、それで本当にいいのでしょうか?

戦略には「相手」がいます。そしてわれわれはこの「相手」に対して、「日本の領土を占領したらまずいことになる」と本気で考えさせるような対策や行動をしているでしょうか?

この作戦実行メンタリティについては、今後もまだまだ書いていきたいと思います。

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