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ライザップは“子供経営”から脱皮し、組織ダイエットにコミットできるのか

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「結果にコミットする」ダイエット・プログラムで一躍業績を伸ばしてきたライザップが、業績予想の大幅修正で赤字転落見通しを公表し話題になり、株価も大幅な下落をするなどの影響が出ています。ライザップの決算予想は、売上で当初予想から191億円減収の2,309億円、営業利益は159.4億円の黒字から一転70億円の赤字へと変更されました。その理由としては、昨年M&Aで買収した複数の子会社における業績不振をあげています。

急激な企業買収で陥った「自転車操業」

少し突っ込んでこの内容を説明します。ライザップはここ2~3年ほど、好調な本業の勢いを駆って、積極的な企業買収で事業規模を急激に拡大してきました。特に昨年度から加速度的にそのスピードは増し、今年度に入ってからも「月に1社のペースでM&Aをしていく」(同社瀬戸健社長)とその勢いは衰え知らずで、現在子会社は総勢85社にもなっています。しかも買収対象企業のほとんどが、赤字企業はじめ業績不振企業です。

これには実は理由があります。業績不振企業を買収する場合、買収される企業の純資産を買収価格が上回っていればその差額は買収する企業が今後の収益増の期待額として、いわゆる「負ののれん代」と呼ばれるものになります。国際会計基準では、こののれん代が償却不要(企業価値低下の場合の減損処理は必要)となるため、見かけ上買収初年度の利益をかさ上げする効果があるのです。

すなわちライザップの場合、ここ2~3年の積極的な企業買収により「負ののれん代」が決算上で利益貢献してきたのです。しかし、この「負ののれん代」は買収当期限りの計上であり、買収した赤字企業が買収翌年度以降順調に業績を回復し利益計上していくなら何の問題もないのですが、それがうまくいかなければ結果的に連結決算の足を引っ張ることになるわけなのです。

要するに今回の大幅な業績予想修正による連結赤字予測は、買収した多くの業績不振会社の再生が思うに任せず赤字決算となることに起因する、ということに他なりません。

もちろん今期も前期までと同様に来年3月の決算までの間に新たな企業買収を続けていけば、「負ののれん代」の計上により赤字決算を避けてある程度の数字は作ることができたでしょう。しかし、それは結局のところ自転車操業にすぎず、ここで負のサイクルを止めないことには抜け出せない泥沼にはまり込んで最悪は破綻に至るリスクがある、との判断からM&Aを凍結し赤字決算をすることで一気に膿出しをしようということなのです。

大先輩からキツイお灸をすえられたライザップ

共同通信社

この戦略転換のポイントは、瀬戸社長のラブコールに応じた元カルビーCEO松本晃氏が6月からCOOに就任したことにあります。瀬戸社長はなぜ今年度から共同経営者として、松本氏を引き入れたのでしょうか。

松本氏は、古くは伊藤忠商事の赤字関連会社を再生させ、その後移った大赤字のジョンソン・エンド・ジョンソン社でも黒字転換を実現して、社長としての9年間で売上を4倍、利益を30倍にしました。

さらに不祥事を機に業績不振に苦しんでいたカルビーでは、創業家からバトンを受けて8期連続増収増益という見事なV字回復を達成させるなど、まさに再生マネジメントのプロ。そんな松本氏のライザップCOO就任時には「好調企業に、なぜ松本氏」と思ったものですが、今回の戦略見直し公表により、なるほどと合点がいった次第です。

本件最大の問題点は、40歳瀬戸社長の経営者としての考え、見通しの甘さです。外から知り得る一連の流れを見る限りにおいては、ほとんど経営者として子供状態です。

自ら考案したビジネスモデルが当たって急成長を遂げ、当然の如く周囲からもてはやされて取り巻きたちから持ち上げられる中で、M&Aでの企業買収という甘い誘いに本業にとどまらない事業拡大に夢を馳せます。しかも「負ののれん代」の利益面でのメリットという知恵まで付けられて、すっかりその気で急激なグループ拡大に至ったわけです。

ところが、拡大してみて初めて知るグループ経営の難しさ、業績不振企業立て直しの困難さ。現実を知らされる中でもがいてみたところで、そこには事業成功でカリスマ化した自らをありがたく頂くだけの無能な取り巻きの山があるのみ。

このままでは危ない、とても自力でこの窮地は乗り切れまいと、大人にヘルプを求め知り合いの叔父さんに「助けてください」と泣きついて「こんなバカなマネはやめなさい!」と怒られた、今はそんな立ち位置にいると思われます。調子に乗りすぎた子供経営者が、人生の大先輩からキツイお灸を据えられた、そんな状況に映るのです。

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