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トップが犯罪者になるとき


敏腕で知られる日産自動車のゴーン会長が逮捕された。衝撃のニュースだが、中でも驚きの大きかったのは、何も知らずにいた日産の社員たちだろう。何人かのインタビューが、テレビニュースでも流れていた。どんな大きな会社のトップでも、法にふれる行いをすれば司直の手にかかることがある。それが健全な民主国家というものだ。

 ところがこれが政治家の犯罪になると、やや微妙になる。現職の総理大臣が犯罪者として逮捕されたという例は、まだないようだ。田中角栄・元総理の収賄容疑による逮捕も、辞任のあとで行われた。総理には強い指揮権があるから、現職での逮捕というのは、日本では難しいのではなかろうか。もしあれば、それはクーデターに近い政権奪取を意味するから、これまでの日本に経験がないのは、幸せと言うべきかもしれない。

 日本の民主主義も、やや怪しくなったとは言われるが、まだ基本は守られていると言っていいだろう。だが油断はできない、時代の変化というのは、人々が気づかぬうちに進んでいることがあるからだ。選挙を何度やっても変り映えがしなくて、誰がやっても変らないと、関心が薄くなったりすると危ないことになる。
 
会社のトップの犯罪は罪として裁かれるが、国政のトップの判断の誤りは、基本的に裁きをつける機関というものがない。ある程度の時間がたって、やはり間違っていたと結論が出るのを待つしかないし、その結論も、見方によっては評価が割れてしまう場合もある。そもそも国政のトップは、自覚的に犯罪に踏み込むことは少ない。たいていは良かれと思ったことが間違っていて失敗するのだ。
 
でも政治家には時として暴走する確信犯が出てくる。ヒトラーがその典型だが、日本にも出てこないとは限らない。混迷する政治の現状は、不気味な予感を含んでいるように思われる。

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