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アングル:カリフォルニア史上最悪、迫る炎から間一髪の脱出


Terray Sylvester

[チコ(米カリフォルニア州) 18日 ロイター] - ニコル・モンタギューさん(45)と娘のデスティニーさん(16)は8日朝、米カリフォルニア州パラダイスにある高校に車で向かう途中で、地平線が赤く染まっているのに気づいた。

だが、過去にも近い距離に迫った山火事を見たことがあったので、大して気に留めなかった。また、何の警報も届いていなかったので、軽く受け流してしまったという。

だがその直後に、パニックが市民を襲ったと、モンタギューさんは振り返る。

住んでいるトレーラーパーク全体が炎に包まれる中、かろうじて飼い犬9匹とわずかな身の回りの物を集めた。

「運転して脱出した時、ちょうどメールボックスに火が燃え移った。聞こえてくるのは、近所のトレーラーハウスのプロパンガスのボンベの爆発音だけだった」と、モンタギューさん。

カリフォルニア史上最悪の被害をもたらした「キャンプファイア」火災がパラダイスの町に押し寄せたのは、11月8日早朝だった。強風にあおられて火勢は瞬く間に拡大し、76人が死亡、1276人が行方不明となっている。

炎の動きはあまりにも速く、避難途中に車内で死亡した犠牲者もいた。町から脱出する道は2本しかなく、混乱の中で避難しようとする車で渋滞が起きたのだ。

素早い判断で脱出して助かった住民の多くも、逃げ出すのがやっとだったと話す。

退職者のジュリー・ウォーカーさんと夫のレーンさんは、パラダイスの北のマガリア地区に2003年から住んでいた。

自宅に炎が押し寄せたとき、ウォーカーさん夫妻は裏道を使って渋滞を回避することができた。

愛車ジープで自宅の周辺をよく探検していたので、裏道のことを知っていたという。炎が迫った時、親戚や近所の人を先導し、未舗装の道路を使って渋滞を迂回(うかい)して安全な場所に逃れることができた。

「みな、なすすべがなかった」と、ジュリーさんは避難途中に山火事に襲われた人たちの様子を振り返る。「炎はあっという間に襲ってきた」

<「助からないと思う」>

まき割り・販売をして生計を立てているデービッド・ウィグハムさん(51)は8日の早朝に目が覚めた時、煙の臭いを感じた。だが遠くの火事だと考え、再び眠りについた。

数時間後に起床した時には、世界が赤く染まっていた。飼い犬のディーディー(チワワ)をリュックサックに詰め込もうとしたときには、すでに木の燃えさしが玄関から吹き込み始めていた。

「自分たちも燃え上がってしまうのではないかと思った」とウィグハムさんは言う。

自分のピックアップトラックが炎上していたので、歩いて逃げた。知らない人3人が続けて車に乗せてくれ、最終的に南にあるオロビルの町にたどり着いた。

前出のモンタギューさんは、もはや死は避けられないと感じ、夫のエリックさんに別れを告げようと電話した。エリックさんも、別の自動車で避難中だった。

「ハニー、ここから生きて逃げられそうにない。愛しているわ、と言ったの」と、モンタギューさん。

周囲の車が燃え始めた。道路の後方の人たちは車から飛び出して、歩いたり、他の人の車に乗り換えたりして逃げようとした。

16キロ離れたチコの町まで、車で5時間もかかった。今は、一家15人と犬9匹で、ワンルームのアパートに身を寄せている。

助けがなければ避難できずに犠牲になっていたであろう人も多数いたようだ。

ベティ・マイヤーズさん(89)さんは、アルツハイマー病を患い、車椅子で生活している。息子でサンフランシスコに住むロン・ロードさんによると、マイヤーズさんは、住んでいたパラダイスの介護施設の入所者50数人とともに、何台もの車に分乗して避難させられたという。

途中、炎に囲まれ、空が暗転した。車のうち1台はガソリンが空になり、乗り捨てられた。脱出できるまでに、避難路を2つ以上試さなければならなかったという。

ロードさんが、同州レディングでようやく再会した時、母親はホテルのベッドに寝かされていた。

「施設のスタッフのほとんどが自宅を失った。自分たちの家族のことも心配だったはずなのに、入所者50人を安全に避難させることに集中してくれた」と、ロードさんは話す。

マイヤーズさんは、1人で脱出するのは不可能だったばかりでなく、アルツハイマー病のせいで危険も認識できていなかったという。

「車の中で母は、あら、きれいな明かりね、と言って人に手を振っていたそうだ。何日かして火災についてどう思うかと尋ねると、どこの火災かと聞き返してきた」と、ロードさんは語った。

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