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失踪実習生の調査、法務省の集計ミスを弁護士らが批判 「事実を歪曲するもの」「技能実習制度の廃止を強く求める」

外国人労働者の受け入れ拡大に向けて、入管難民法の改正が議論される中、法務省が失踪した技能実習生に関する調査の結果に誤りがあったと認めた。

それを受けて、外国人技能実習生問題弁護士連絡会は11月20日、法務省に抗議し、技能実習制度の廃止を求める声明を発表した。同連絡会は、実習生の救済に取り組む指宿昭一弁護士らが中心のグループ。

「低賃金」を「より高い賃金を求めて」と言い換え

連絡会のよる声明の一部

法務省は、失踪し、不法残留等で検挙された技能実習生2870人を対象に調査を実施した。山下貴司法相は、失踪の動機は「より高い賃金を求めて」が約87%に上ったとしていた。

しかし実際の質問表では、失踪の動機について「低賃金」「低賃金(契約賃金以下)」「低賃金(最低賃金以下)」「労働時間が長い」「暴力を受けた」「帰国を強制された」「保証金・渡航費用の回収」「実習実施後も稼働したい」「指導が厳しい」「その他」の10項目が設けられていた。「より高い賃金を求めて」という選択肢は、設けられていない。

そして失踪の動機を正しく集計し直すと、「低賃金」「低賃金(契約賃金以下)」「低賃金(最低賃金以下)」と回答した人が計1929人で67.2%に上ることが明らかになった。

同連絡会は、調査結果の誤りについて、こう批判している。

「言うまでもなく、『低賃金』を理由に失踪する者の中には、最低賃金を大幅に下回る賃金しか支払われず、長時間、あるいは休日のない連続勤務を強いられたため離職せざるを得なかった者もいるのであり、『より高い賃金を求め』たとして、あたかも利欲的な意図から失踪したと捉えることは事実を歪曲するものである」

「より高い賃金を求めて」では、実習生がよりよい給料欲しさに勝手に職場からいなくなった印象を受ける。しかし実際には、低賃金で長時間労働を強いられ、職場から逃げ出したという人も少なくない。

また、調査票からは、暴力を受けたり、帰国を強制されたりした実習生もいることが明らかになった。同連絡会は、「本来であれば、法務省は、実習実施者等について実態調査に乗り出し、人権救済と再発防止を図るべき」と批判している。

失踪理由や実習生の置かれた状況について知ることは、技能実習生制度や入管難民法改正について議論するに当たって、重要なことだ。同連絡会は、「法務省により手を加えることなく個票自体を公表し、市民や弁護士による検証を可能としなければならない」としている。

「途上国への技術移転という名目と安価な労働者の受入れ制度としての実体」

これまでも、外国人技能実習制度の廃止を求めてきた同連絡会。今回の件を受けて、改めて制度の廃止を訴えた。

「技能実習制度は、途上国への技術移転により国際貢献を図るという名目と、安価な労働者の受入れ制度として機能しているという実体に大きな乖離があり、その乖離は、拡がる一方である。(中略)入管法改正案を審議するにあたっては、技能実習制度廃止の議論を同時に行うことが不可欠であり、当連絡会は、改めて技能実習制度の廃止を強く求めるものである」

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