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"ゆるキャラ1位"に燃える自治体の勘違い

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全国のゆるキャラ日本一を競う「ゆるキャラグランプリ」の結果発表が18日に行われ、志木市の「カパル」が1位になった。今年は自治体職員らによる「組織票」の存在が報じられ、過熱ぶりが批判されていた。

九州大学大学院の嶋田暁文教授は「がんばって1位をとっても、中身がなければすぐ忘れられる。自治体職員の“働き方”を問い直すことが大切だ」と指摘する――。

2018年11月18日、ゆるキャラグランプリで1位に選ばれた埼玉県志木市文化スポーツ振興公社の「カパル」(中央)(写真=時事通信フォト)

「組織票」は是か非か

近年注目度が下がってきたかに思われた「ゆるキャラグランプリ」は、今年、数年ぶりに大きな話題を呼んだ。11月9日、その段階で暫定1位であった「こにゅうどうくん」を擁する三重県四日市市が、市役所職員を動員して「組織票」を投じていたことが、大々的に報じられたためである。暫定2位であった「ジャー坊」の福岡県大牟田市も、約1万件のメールIDを取得していたという。

これを受けて11月15日に放送されたNHK「クローズアップ現代+」では、「ゆるキャラブームに異変!人気投票に大量の“組織票”が…」と題した特集が組まれた。そこでは、「そういう形で1位になってもうれしくないです」とか「職員が業務中にやるべき仕事ではない」といった市民の声が紹介されるとともに、ゲストの一人は、「人気のバロメーターを測るというグランプリの趣旨に反しており、ずるい」という趣旨のコメントをしていた。

これに対し、森智広・四日市市長からは、「まちの知名度の向上、イメージのアップに加えて、市民がまちを想う心を強くしていくため、つまり、まちの一体感を醸成するために、市民と行政が一体となってやっている」という趣旨の弁明がなされた。

果たして、どう考えるべきであろうか。

問題の本質は“組織票”ではない

筆者自身の感想を述べれば、確かに「ずるい」かもしれないが、“「お祭り」気分で、市民と行政が一丸となって、みんなで1位を目指してがんばる”というのは、気持ち的には分からなくもない。決して褒められたものではないが、目くじらを立てるほどのことでもないと思う。

※その後、実行委員会の依頼により「組織票」と思われるIDが削除され、最終的に、「ジャー坊」は2位にとどまったものの、「こにゅうどうくん」は3位に転落し、4位だった「カパル」(埼玉県志木市文化スポーツ振興公社)が1位となった。

しかし、である。この問題の本質はもっと別のところにあるように思われる。それは、その効果が定かでないにもかかわらず、関係自治体が「ゆるキャラ1位獲得」を目標にしてしまっている点にある。つまり、「ゆるキャラグランプリで1位になれば、本当に、まちの一体感・誇りが生まれたり、まちのイメージアップにつながったり、地域が活性化したりするのか」という点が十分に吟味・検討されていないことに根本的な問題があるのだ。

ゆるキャラだけでイメージはアップしない

第1に、みんなでがんばって、仮にゆるキャラグランプリで1位になったとしても、それによって醸成された市民の一体感や誇りは、あくまで一時的なものにとどまるだろう。それは「中身」がないからである。真に持続的な「市民の一体感や誇り」が醸成されるためには、文化、歴史、風景、人のつながり、食、産品など、そのまち独自の魅力・素晴らしさ(=「中身」)を広く市民が実感し、認識を共有することが必要なのだ。

第2に、ゆるキャラ一つでまちのイメージがアップするとすれば、実にめでたいことだが、そんなことはありえないだろう。既存イメージが形成されてきたのには、それなりの原因があるはずである。その原因を解消するのではなく、ゆるキャラでイメージアップを図ろうとするのは、単なる表面的なごまかしでしかない。

第3に、仮にゆるキャラを通じて知名度が高まったとしても、地域の活性化につながるかどうかは定かではない。確かに、関連グッズが爆発的に売れるなど、経済効果を発揮しているゆるキャラが存在しないわけではない。しかし、それは、くまモンなど、ほんのごく一部のゆるキャラにとどまる。実際、過去のグランプリで優勝経験を持つゆるキャラの中には、その活用が経済効果に必ずしもつながっていないとして、関連予算の見直しが検討されているものもある。

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