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アングル:豪中が要衝パプア巡り火花、南太平洋の勢力争い


Colin Packham and Philip Wen

[シドニー/北京 15日 ロイター] - パプアニューギニアのオニール首相が6月、北部の沖合いに浮かぶマヌス島の港湾整備に中国が資金援助する可能性があると警鐘を鳴らすと、隣国オーストラリアは驚き、すぐさま反応した。

オーストラリアは8月に政権交代があったにもかかわらず、直ちに対抗案を策定したと、政府筋や外交筋はロイターに明らかにした。この島は戦略的な要衝に位置しており、中国軍の艦艇が定期的に寄港する懸念が出ていた。

米国の忠実な同盟国であるオーストラリアは今月、港の整備に資金協力すると発表した。南太平洋で中国が勢力を拡大しようとする中、オーストラリアがこの地域における影響力を改めて主張する動きだと、専門家はみている。

「マヌス島の港はわれわれにとって大きな懸念だった」と、米国の外交筋はロイターに語った。「中国軍の艦艇が港を使用する可能性は大いにあった。オーストラリアが港の再開発に資金提供することになり、われわれも非常に喜んでいる」

<中国は第2の支援国>

パプアニューギニアは今週、首都ポートモレスビーでアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議を主催する。オーストラリアはこのタイミングに合わせ、これまでの口約束を正式な合意にすべく、準備を進めている。

パプアニューギニアでのAPEC開催は、太平洋地域における自由貿易の重要性を議論する一方、この地域で覇権を争う米国と中国が、影響力を広げるための場ともみられている。

中国は2011年以降、太平洋の島しょ国に13億ドル(約1500億円)規模の低利融資あるいは無償融資を行っており、オーストラリアに次いで2番目に大きな支援国となっている。西側諸国は、太平洋の小国が中国からの過剰な借金に苦しむことになるのではないかと懸念している。

中国は、島しょ国の開発支援に隠れた動機はなく、オーストラリアは自分たちをライバルではなく地域のパートナーとして見るべきだとしている。

中国の習近平国家主席は16日、この地域の島しょ国8カ国との首脳会議で巨大経済圏構想「一帯一路」をアピールするとみられ、構想の参加に手を挙げる国が出てくることが予想される。

オーストラリアのモリソン首相は、太平洋地域を自国の「縄張り」と位置づけ、影響力を強める中国に対抗し、インフラ整備に最大30億豪ドル(約2500億円)の低利融資や無償融資を提供することを申し出ている。

「オーストラリアが太平洋地域から目を離したせいで、リセットを余儀なくされたと国内では受け止められている」と、メルボルンにあるラ・トローブ大学のニック・ビスリー教授(国際関係学)は言う。

<足並みそろわぬ西側>

加盟する21カ国・地域の中で最貧国のパプアニューギニアが、APEC首脳会議を開催するのは初めてとなる。同国にとって最重要課題は、不十分なインフラ設備や高い犯罪率、崩壊寸前の医療制度といったイメージを覆し、首都ポートモレスビーで開く会議を成功させることだと、西側当局者らは言う。

パプアニューギニア政府が会議の成功を重視していることを理解している豪中は、会議の開催に巨額の資金支援を行っている。

だが、APECを利用しようとする西側の努力を、米国の冷めた態度が台無しにしている。トランプ米大統領は会議に参加しない。

代わりにペンス副大統領が出席するが、期間中はポートモレスビーに滞在せず、オーストラリア北東部の都市ケアンズから毎日通うという。

一方、習主席はポートモレスビーに数日間滞在し、そこから周辺国を公式に訪問する予定だ。

<米軍グアム基地の脅威に>

第2次世界大戦中、マヌス島には大規模な米海軍基地があり、米国の太平洋戦略に重要な役割を果たしていた。昨今は、オーストラリアが国外2カ所に設置し、物議をかもしている移民の一時収容施設の1つがある。

パプアニューギニアで中国がプレゼンスを高めれば、太平洋における西側諸国の航行に影響が及ぶ一方、中国がグアムの米軍基地に近づきやすくなると、専門家は指摘する。

「南シナ海のように、中国が太平洋で軍事化を進めることをオーストラリアは懸念している」と、前出のビスリー教授は指摘する。

問題は、中国がそのような強固な足場を築いているかどうかだと、外交官や当局者は話す。

パプアニューギニアは、対外債務全体の約4分の1に当たる約5億9000万ドルの対中債務を抱えている。南太平洋諸国の中で最大だ。

「中国の存在は至るところで見られる。主にパプアニューギニアへの投資を通じて成し遂げてきたものだ」と、フランスの外交官は語る。「パプアニューギニアが経済的に困難な今、中国の言うことがまかり通る」

(翻訳:伊藤典子 編集:久保信博)

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