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英国のEU離脱は本当にあり得るのか?

国益のために離脱の遂行をするのが私の使命。でもそのためには大変な道のりが私を待っている… by メイ首相

EU離脱問題はある意味英国らしいドタバタ劇でありますが、この場にきてそのゆくえがさっぱり見えなくなってきました。シナリオが多すぎ、どのシナリオにも長短がありすぎるのです。

数日前、EUと英国は実務者レベルで暫定的な離脱合意に至ったと報じられ、メイ首相は閣議では賛同を得られると踏んでいました。ところが昨日の5時間にわたる閣議は29名のうち11名から反対が出ています。そしてラーブEU離脱担当相が「良心に照らして、提案された合意の条件を支持することはできない」(ブルームバーグ)とツィッターし、大臣を辞任しました。

まさに最後の山場にで担当大臣が辞めてしまうのです。ラーブ大臣はもともとメイ首相に近い人物とされていただけにメイ首相の求心力が厳しいところまで追い込まれているということでしょう。閣僚の辞任はラーブ大臣だけでなく、マクベイ雇用年金大臣及び閣外大臣2名も辞任しています。

さて、今後の展開ですが、EU側は現状の実務者レベル内容を基に11月25日にEU首脳会議で英国の離脱条件案を付した決定を下します。一方、英国側は閣議で決定しても次に議会を通さねばなりません。

この英国議会への付議はもしかすると年明けになるのではないかと見られています。離脱は19年3月29日です。この議会を通すのは現時点では極めてハードルが高いとされています。

ここで今、考えらえるシナリオのオプションです。
1  議会通過でメイ首相の描くような離脱完了
2  議会通過できず、混迷、合意なき離脱になる
3  解散総選挙し再び保守党が握り、メイ首相が再選、新たに信任を得て離脱完了
4  総選挙後保守党が主導するもののメイ首相は辞任、この場合既存合意案の見直し
5  総選挙で労働党が勝利、離脱の長期延長再交渉、ないし白紙撤回
6  再度国民投票

この6パタンが私の頭の中では考えられます。労働党など野党はすでに現行合意案に反対すると表明していますので総選挙で政権交代が生じれば白紙撤回というシナリオもあります。また、再度国民投票をするべきだという声も元首相経験者を含め多数上がっています。世論までは読み切れませんが、仮に再度国民投票をすれば離脱反対派が勝利する公算は高いとみています。

ではメイ首相はなぜ、国民の声が真っ二つに割れる中で一歩も立ち戻る選択をしないのか、でありますが、多分、自身の政権を守りたいという頑固さが先にあり、かつてのサッチャー首相を彷彿とさせる梃子でも動かない精神的強さにありそうです。(基本的に男女問わず英国人は頑固です。)

もう一つは実務レベルでは離脱できる合意は出来ているということがあります。にもかかわらず、英国議会内は政治ゲームを楽しんでいるだけだろう、という達観した見方です。「合意なき離脱」という無秩序な離脱をして英国を混沌とさせるより合意案に基づき展開した方がまともだと最後に政治家達が気がつき、案を飲むということが現時点では最も天国に近いシナリオではないでしょうか?

ではこの行方がどうなるのか、ですが、全く予想不可能であります。どんなどんでん返しがあっても驚かないのが英国ですが極端な結果が出る可能性もあります。つまり、離脱強行ないし、白紙撤回のどちらかであり、時間延長してEUと再交渉という中間的選択肢はEU側が飲まないのではないでしょうか?個人的にはメイ首相が正面突破を試み、時間切れ寸前で議会通過というシナリオが今のところ一番あり得ると思いますが数週間後には変わるかもしれません。

英国民と英国で事業をしている関係者の方には申し訳ないですが、コイン トスで英国の将来が決まるような気配すら感じられます。

当面の着目点はまずEU離脱担当大臣を誰にするか、閣議内調整、議会への議案提出の3ステップ、一方、EU側は25日のEU首脳会議での議論、決定ということになりそうです。一部からは総選挙との声も出ていますが、その案がより真剣に議論されるのはやや時期尚早(数週間程度の意味ですが)ではないでしょうか?

メイ首相のストレスとプレッシャーは大変なものだと思います。ある意味、よく耐え忍んでいるとも言えそうです。「鉄の女」を輩出する国だけあります。あえて一言いうなら日本にもこれぐらい強い女性政治家が育つ時代が来るのだろうか、と思います。

第三者的ではありますが、普段なかなか見られない壮大なドラマをはらはらしながら見せていただいているともいえます。勉強になります。

では今日はこのぐらいで。

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