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クイーン自伝映画『ボヘミアン・ラプソディ』を事実検証

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絶賛公開中のクイーンの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』。映画のストーリーとは異なり、クイーンはライヴ・エイド前に解散しておらず、ジョン・ディーコンはオリジナル・メンバーではなく、レイ・フォスターという重役と争ったこともない?など、米ローリングストーン誌が本作の事実を検証してみた。

歴史の授業を受けるために映画を見る人はいない。クイーンのようなロックバンドのキャリアのすべてを2時間の映画に収めようとする場合、数多くの苦渋の決断が必要となるのだ。フレディ・マーキュリーがバンドと行った最初のライブや成功を収めたライヴ・エイドでのパフォーマンスという重要なシーンが登場するのは予想通りだが、アルバム全部、ツアー全部、彼らの20年というキャリアの中で起きた出来事全部を描くには時間が足りなすぎる。

バンドにとって重要な出来事や時期が描かれ、それ以外は全く触れられないというのが普通だろう。また、話を早回しで進めつつ、劇的効果を出すために、または限られた時間を有効に使うために、事実を脚色することも避けられない。それは理解しているのだが、それでも『ボヘミアン・ラプソディ』を検証してみたいと思った。事実とは異なる描き方をしている8つの出来事を紹介しよう。

注意:ここから先はネタバレが多く含まれる!

1. クイーンの結成はそれほど単純ではなかった

映画『ボヘミアン・ラプソディ』では、両親とケンカしたフレディ・マーキュリーが、ブライアン・メイとロジャー・テイラーが在籍したクイーンの前身バンド、スマイルの1970年に行ったギグをたまたま見たことになっている。ライブ後にメンバーと知り合い、その数分後にスマイルのベーシスト兼ヴォーカリストのティム・スタフェルが都合よく脱退する。

ドラマーのテイラーもギタリストのメイも、大きな前歯のこの男を怪訝に思うが、この男が彼らの曲「Doing Alright(原題)」を鳥肌モノのアカペラで歌いだした途端、彼らはこの男をバンドに迎え入れるのだ。しかし、事実は、フレディとティム・スタフェルは長年の友人で、フレディは加入するかなり前からスマイルの大ファンだった。ブライアン・メイはフレディがメンバーにしてくれとしつこく言い続けたことを覚えていて、1970年にスタフェルが脱退して初めて、その要求を受け入れたのである。

2. ジョン・ディーコンはオリジナル・ベーシストではなかった

映画では、1970年のクイーンの初コンサートでジョン・ディーコンがベースを弾いている。しかし、実際は、ディーコンはバンドが試した4人目のベーシストで、加入したのが1971年だ。劇中、最初のコンサートで演奏している「炎のロックン・ロール/Keep Yourself Alive」は彼らのデビュー・アルバム収録の初期の楽曲だった。

3. フレディがメアリー・オースティンに出会ったのはクイーンに加入した日ではなかった

映画では、フレディが未来の恋人メアリー・オースティンに出会ったのは、初めてバンドと遭遇し、メンバーになる30秒前になっている。もちろん、事実はもっと複雑だ。オースティンは最初、短い間ブライアン・メイと付き合っていた。その後、フレディの友達の輪に登場したのは、彼がクイーンのリード・シンガーになってからのことである。

4. レイ・フォスターというレコード会社の重役は存在しない

映画の登場人物の中でもかなり興味深いのが、マイク・マイヤーズが演じるレコード会社重役レイ・フォスターだ。マイク・マイヤーズの面影がほぼ消えているこのフォスターは、クイーンに商業的な音楽を作る必要を力説する。また、彼は最初に楽曲「ボヘミアン・ラプソディ」を聞いて、この曲を毛嫌いし、シングルでのリリースを拒む。このため、バンドは不機嫌に部屋から立ち去り、窓の外から石を投げつける。

フォスターのキャラクターはEMIのロイ・フェザーストーンをモデルに作られているが、フェザーストーン自身はクイーンの大ファンだった。しかし、フェザーストーンが「ボヘミアン・ラプソディ」がシングル曲としては長すぎると思ったのは本当だ。この点以外のフォスターのキャラクター設定はフィクションである。

5. フレディの恋人ジム・ハットンは彼の使用人ではなかった

映画の中では、究極に堕落したパーティーで泥酔して、意気消沈したフレディがジム・ハットンという名前の給仕を無理やり口説こうとする。ハットンはフレディを拒絶するが、その夜二人は何時間もよもやま話をすることになる。数年後、フレディは電話帳でハットンを探しだし、デートし始める。しかし、実際は、ハットンはサヴォイ・ホテルに勤務する美容師で、知り合ったのはナイトクラブだった。

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