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国が外国人不法就労の抜け道をつくる愚 -入管法改正は経済優先で国の根幹を揺るがすー

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<研修を貫く派米農業研修制度>

 私は、ここまで開くのは行き過ぎだと思う。技能実習制度は、よく指摘されるとおりきれいごとばかりではなく単なる低賃金労働の隠れ蓑になっていたかもしれないが、日本は歯を食いしばっても技能実習・研修制度にとどめておくべきだと思っている。

 この見本になるのは派米農業研修制度である。派米とは言っているがヨーロッパの先進国にも出かけている。私は、農林水産省で物を書き始めたころ、このOB達の会合、各県の国際農業者交流協会によく講演に行った。なぜならば、私のデビュー作『21世紀は日本型農業で‐長続きしないアメリカ型農業』(1982年)が、アメリカと日本の農業を比べ、日本の農業こそ世界的普遍性があると結論付けていたからである。

 彼らもアメリカの大規模農業を見て、日本の農業をと比べ、私と同じようなことを考えたからであった。彼らは2年間農家に入って、文字通りの技能研修をしていたのである。日本の技能実習生と同じように、20人~30人と同じところで働いていたのではなく、家族の一員として受け入れられ、2年間そこで研修をしていたのである。

<日本にみる農業技能研修の成果>

 私が、1976~78年に留学した際には、ルーマニアから来ている研修生に出会い、2人で1週間一緒に拙い英語で冗談を言いながら農作業に汗をかいた。余談になるが40年後の2017年、いきなり「カンザスの農家で研修していた時、一週間一緒だったあの篠原孝か」とメールが突然飛び込んできた。IT化によりそういうことが出来る世の中になったのであり、その当時の写真を添えてルーマニアに来たら寄ってくれと伝えてきた。

  アメリカではこうした制度が今も続いている。しかしそれは低賃金労働の労働力として受け入れているのではない。真からアメリカ農業の神髄を学べる仕組みが出来ているのだ。日本へ帰国後多くは地元の名士となり、県会議員等も多く輩出している。その頂点に立つのはネブラスカ州に派遣され、その地の大学に行き、東大教授となり、その後熊本県知事になった蒲島郁夫である。

  低賃金の労働者とはカルフォルニアの農業で、チカーノと呼ばれる人たち(メキシコ不法移民)が、バスやトレーラーに乗り、この一週間は人参の収穫、次の一週間はアーモンドの収穫と季節労働をして歩いているのを言う。彼らのほとんどは不法移民でありアメリカ政府は必要悪として目をつむっている。しかしいざというときは強制送還するという仕組みが出来上がっている。

 つまり、国の制度としては頑なに一線を守っているのだ。この延長線上にトランプ大統領の唱える「壁」がある。それに対して今回の日本の法改正は、国が単純労働の移民は受け入れないと言いつつ、実態のほうを重んじて、抜け穴を作っているのである。思想も哲学もなく、だらだら現状を後追いしているだけだ。

  安倍政権は国の存立を重視し、軍事的自立も重点政策目標にしているが、これにより日本の地域社会がガタついてくることを見ていない。安倍首相を支える右寄りの人たちからもこの点に疑問が沸き上がっている。安倍首相の基本姿勢に反するからだ。私もこのままいくと、日本人とは何かと言うことも問われていくことになってしまうのではないかと危惧している。

  この点わかっているのだろう。農業界は特定技能2号、つまり5年後に家族も呼び寄せてもよい仕組みは考えていないと表明している。

<石橋湛山の炯眼を今に生かす>

 戦前に自国でもって生きていくべきであって、他国で出稼ぎ労働にするというのは、一時のことであり国のためにもならないと指摘したのは、石橋湛山である。米国が1914年カルフォルニア州議会が外国人土地所有禁止法案を可決した際、日本のマスコミはこぞってアメリカを非難した。そうした中で石橋湛山は「我ら移民の要なし」で移民はやめたほうがいい。

 外国で働くのをやめて、日本で働いて日本の製品を外国に輸出して儲ければいい。他の国に行って働くべきではない、と喝破した。また返す刀で、満州開拓にも「大日本主義の幻想」(1922年)で他国の土地を奪い取って食料を作るよりも輸出に力を注ぎ、その金で食料を輸入すればいいと唱えた。戦後の政策の支えとなった加工貿易立国を主張した。

  今、石橋がいたら、外国人労働力への依存を真っ先に批判しただろう。外国人が大挙して移動すると必ず揉め事が起こるからである。ところが、残念ながら石橋と同じく長い眼で日本を見通せるトップ政治家はいない。

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