記事

みんな、オリパラの理念を理解している? 東京都長期ビジョンを読み解く!その65

東京オリンピック・パラリンピック マスコットデビューイベント Tokyo 2020提供

西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

【まとめ】

・蓮舫議員のツッコミが明らかにするオリパラの根本問題。

・オリパラの理念は曖昧であり、国民的合意もない。

・コンセプトと大会ビジョンを深く考えるワークショップや国民的議論・理解を促すべきではないか。

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=42812でお読みください。】

先日、こんなやり取りが参議院予算委員会で行われた。

蓮舫議員「基本的なことから教えてください。東京オリンピック・パラリンピックの3つの基本コンセプトはなんでしょう?」

桜田五輪相「(中略)大会の円滑な準備および運営の推進の意義に関する事項、政府が実施すべき施策に関する基本的な方針、政府が講ずべき具体的な措置などについて記載しております。今後この基本方針に従って・・・・」

蓮舫議員「今お読みになられたのは、政府としての基本方針で私が聞いているのは東京五輪・パラリンピック組織委員会が掲げている3つの基本原則です」

桜田五輪相「すべての人が自己ベストを目指し、1人1人が互いを認め合い、そして未来につなげよう。この3つの基本コンセプトとして、史上イノベーティブで世界にポジティブな改革をもたらす大会とするであります。」

蓮舫議員「全員が自己ベスト、多様性と調和、未来への継承が3つのコンセプトということで予算付けされています。ちなみに大会ビジョンもご存じですか?」

桜田五輪相「すべての人が自己ベストを目指し、1人1人が互いを認め合い」

蓮舫議員「違います」

桜田五輪相「そして未来につなげ」

蓮舫議員「違います

桜田五輪相「3つの基本コンセプトとして、史上イノベーティブで世界にポジティブな改革をもたらす大会とするであります。」

委員長「速記をとめてください」

▲写真 桜田義孝五輪大臣 出典:桜田よしたか公式Webサイト

この問題。答えに窮した桜田五輪相側が「事前の通告がなかった」と発言したが、その後、「事実と若干違う」として撤回するなどかなりの残念な事態に陥った。

■ 気の毒な桜田大臣

桜田大臣が、蓮舫議員の質問、五輪の理念すら答えられないというお寒い状況。しかし、大臣を責めるのもかわいそうだ。正直言うと、何度も覚えたはずの私ですら忘れてしまったほどだから。そして、理念を知らないのは大臣だけではないと思うからだ。

今回の蓮舫議員の質問は質問としてはどうかと思うが、今回の東京五輪・パラリンピックの根本問題を明らかにしている。

それは何か。

その理念が曖昧であり、国民的合意もないことである。理念を知っていても、その意味合いをどこまで理解しているのだろうか、かなり疑問があることだ。

■ オリパラ3つのコンセプト

改めて、理念である3つのコンセプトを確認しましょう。

☆3つの基本コンセプト

全員が自己ベスト

万全の準備と運営によって、安全・安心で、すべてのアスリートが最高のパフォーマンスを発揮し、自己ベストを記録できる大会を実現。世界最高水準のテクノロジーを競技会場の整備や大会運営に活用。ボランティアを含むすべての日本人が、世界中の人々を最高の「おもてなし」で歓迎。

多様性と調和

人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治、障がいの有無など、あらゆる面での違いを肯定し、自然に受け入れ、互いに認め合うことで社会は進歩。東京2020大会を、世界中の人々が多様性と調和の重要性を改めて認識し、共生社会をはぐくむ契機となるような大会とする。

未来への継承

東京1964大会は、日本を大きく変え、世界を強く意識する契機になるとともに、高度成長の弾みとなった大会。東京2020大会は、成熟国家となった日本が、今度は世界にポジティブな変革を促し、それらをレガシーとして未来へ継承していく。

皆さん理解できただろうか。私は正直言って、理解できない。論理的なつながりもわからないし、意味合いもわからない。だから、自分の記憶にも残らない。

■ 桜田大臣に期待すること

東京五輪のレガシー・アクションプランには「2020大会を、東京・日本にとってどのような意義のある大会とするのか考えていく必要があるのではないでしょうか」とある。

まだ間に合う。

オリパラ3つのコンセプトと大会ビジョンを深く考えるワークショップや国民的議論・理解を促すべきではないか。失礼な言い方だが、3つのコンセプトが「空疎な呪文」「漠然とした抽象メッセージ」になってしまっていると思う。桜田大臣の頭に入らないのが自然なこと、当然のことだ。

・3つのコンセプトの意味

・3つのコンセプトの意義

・3つのコンセプトがなぜ大切なのか

・3つのコンセプトがどのように東京2020大会に理念として添えられているのか

・3つのコンセプトがどのように東京2020大会でどう活かされるのか

を話し合い、相互に意見を出し合い、考えあい、理解を深める取り組みを進めていくべきではないだろうか。

ピンチはチャンス。桜田大臣に期待したい!

あわせて読みたい

「東京オリンピック・パラリンピック」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    海老蔵が豊洲で都知事をバッサリ

    BLOGOS編集部

  2. 2

    日韓関係 耳傾け合う姿勢が希薄

    宮崎正

  3. 3

    西川先生の池江巡る発言は暴論?

    中村ゆきつぐ

  4. 4

    バカッター 実は低リスクで驚き

    シロクマ(はてなid;p_shirokuma)

  5. 5

    池江失言 国民を道具にする自民

    村上のりあつ

  6. 6

    お父さんは違憲? 安倍首相に疑義

    赤木智弘

  7. 7

    いきなり! セブン出店戦略に学べ

    内藤忍

  8. 8

    「貧乏人は犬飼うな」はその通り

    永江一石

  9. 9

    「悪夢の前政権」外交面では事実

    MAG2 NEWS

  10. 10

    橋本聖子氏 池江への発言が炎上

    女性自身

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。