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「アップルショック」、目新しくない悪材料が嫌気された理由


[東京 13日 ロイター] - 世界的な株安が、再び広がった。今回のきっかけは米アップル<AAPL.O>のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の販売不振に伴うハイテク部品の需要減退懸念だ。しかし、アイフォーンの売り上げ低迷は、目新しい材料というわけではない。にもかかわらず株安が広がったのは、関連企業の業績悪化が表面化し、ファンダメンタルズを重視する「裁量系投資家」が売りに転じたためと指摘されている。市場心理が悪化しており、日本株の下げが最もきつい。

<大きい業績悪化のマグニチュード>

12日の米株急落は、アイフォーン最新モデル向けの部品を製造する米レーザーセンサーメーカーのルメンタム<LITE.O>が、大口顧客から供給の大幅削減を要請されたとして業績見通しを下方修正したことが大きな材料として意識された。顧客名は明らかにされなかったが、市場はアップルだと「断定」。影響を懸念する売りが広がった。

アイフォーンの販売不振は、全く新しい材料というわけではない。日本経済新聞は5日、スマートフォンの生産を委託している鴻海(ホンハイ)精密工業(フォックスコン)<2317.TW>と和碩聯合科技(ペガトロン)<4938.TW>に対し、アップルが10月に発売した「アイフォーンXR」の生産ライン増設計画を中止するよう要請したと報道。関連株も売られていた。

市場が驚いたのは、その業績悪化の度合いだ。ルメンタムは、四半期の純売上高予想を4億0500万─4億3000万ドルから3億3500万─3億5500万ドルに、1株利益予想を1.60─1.75ドルから1.15─1.34ドルに下方修正。利益は23─28%と3割近い引き下げとなった。

「業績下方修正のマグニチュードの大きさに、市場にくすぶっていた来年の業績悪化懸念が一気に強まった」(ピクテ投信投資顧問・ストラテジストの田中純平氏)という。

足元の米企業の業績は悪くない。リフィニティブのプロプライエタリー・リサーチによると、米S&P500企業の2018年第3・四半期決算は、前年同期比27.8%の増益となる見通しだ。しかし、市場の視線はもはや来年に向いており、貿易戦争の影響など先行きの業績に対する警戒感が株価を押し下げている。

<裁量系プレーヤーが売り転換>

株安が進んだもう1つの理由は、直近のマーケットを主導していたプレーヤーの特徴にある。

CTA(商品投資顧問業者)やリスク・パリティ系ヘッジファンドなど「機械系プレーヤー」ではなく、グローバルマクロやロング・ショートなど「裁量系プレーヤー」が押し目買いを入れていたと、野村証券クロスアセット・ストラテジストの高田将成氏は指摘する。

相場のトレンドを重視する機械系プレーヤーに対し、裁量系プレーヤーはファンダメンタルズの材料を瞬時に分析、判断してトレードを行う。機械系プレーヤーが相場を主導している場合は、ネガティブな材料が多少出ても、相場の勢いが勝ることが多いが、裁量系プレーヤーは材料に敏感に反応し、相場の方向も変わりやすい。

「米中間選挙でねじれ議会が発生。財政拡大策が通りにくくなり、金利も上がりにくくなるとみた裁量系プレーヤーが、手探りながらもハイテク株やグロース株の押し目買いを見せていた。だが、アップルの材料が出て、一気に警戒感を強め、売りに転じたようだ」と高田氏は分析する。

また、原油価格が下げ止まらず、米WTI先物<CLc1>は12日時点で初の11日連続安を記録した。13日の市場でも軟調な展開だ。「今年前半、活発だった株式ロングと原油ロングを組み合わせたトレードが、巻き戻されているようだ」(欧州系証券)との指摘もある。

<日本株が一番反応した理由>

アップル関連株やハイテク株売りは、日本だけではなく、アジア全体に広がっている。台湾ではタッチディスプレーを手掛ける英特盛(GIS)<6456.TW>やケーシングの可成科技<2474.TW>、韓国ではサムスン電子<005930.KS>、SKハイニックス<000660.KS>などが売られている。

しかし、その中でも日本株は相変わらず下げがきつい。日経平均<.N225>の下げ幅は一時700円を超え、下落率では3.21%に達した。前場時点(日本時間13日11時30分)でアジア断トツの下落率であり、「震源地」である米国のダウの2.32%、ナスダックの2.78%も上回っている。

日本株は流動性が高く、市場でリスクオン・オフが起きた際に売買しやすい株式という認識がグローバル投資家の間でも浸透している。このため「投資家のセンチメントが回復すれば、日本株の戻りも大きくなる」(欧州系投信)と楽観的にみることもできる。

ただ、日銀のETF(上場投資信託)購入などインデックスの買いによって、バリュエーションが歪められている懸念が、日本株にはつきまとう。「ファンダメンタルズ分析を重視する投資家にとっては、扱いにくい株式だ。そのせいか分からないが、海外からの決算発表後のリアクションが悪くなってきた印象がある」とクレディ・スイス証券・株式本部長の牧野淳氏は指摘する。

外国人投資家の日本株売り(現物と先物合計)は10月だけで4.2兆円、年初来の累計は約11兆円となった。割安と言われ続けながら、リーマン・ショック以来の規模に達した海外勢の売りの背景には、単なるリスクオフとは異なる構造的な弱さも垣間見える。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

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