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大量懲戒請求の取り扱いについて 弁護士会の対応から改めて説明しておく

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要は、そもそもがこのような濫用的な懲戒請求などを想定した制度(規則)にはなっていないということです。

 イレギュラーな大量懲戒請求に弁護士会が翻弄されたのです。

 今、さらに綱紀委員会規程の改正作業も進んでいます。

 綱紀委員会の判断のみで懲戒不相当の判断ができるという規程に改正するというものです。
 現在の綱紀委員会規程では、懲戒請求があった場合、被請求会員(懲戒請求を受けた弁護士)に懲戒請求があった旨の告知を速やかに行うこととされています(これが請求書の写し(請求者の住所、氏名が記載されたもの)も添付されているものです)。


そして必ず弁明書を出す機会を保障しなければならないと規程されていますので、懲戒請求事由をみて一見して懲戒事由にあたらないと判断できるものであっても、綱紀委員会規程上、どうしても答弁書を出す機会を与えなければならないわけです。

 もちろん答弁書を出すなどの弁明の機会を与えることなく、懲戒相当という決議を出すことができない規程ですが、これは不利益を受ける側に対する手続保障だから当然の規程なのですが、逆に懲戒不相当の決定を出すにあたっては別に手続保障はいらないわけです。

 橋下徹弁護士が弁明書も出す必要がないというのはこういった理解があります。

 そのため日弁連を始め、各地の弁護士会では綱紀委員会規程の改正を行っているはずです(札幌弁護士会は先日、常議員会で規程改正案を臨時総会に提案することが承認されましたので、臨時総会に諮られることになります。日弁連のモデル規程を参考に改定案は作成されています。他会の改訂作業がどこまで進んでいるかはわかりません。)。

 今回の綱紀委員会規程の改正も、先の余命3年ブログによる大量懲戒請求案件を受けての改正です。
 法曹である者がみれば、あれが懲戒事由に当たらないということは一見して明らかなわけです。弁護士会としても当然にそのような判断を下しているわけです。

 しかし、従前の綱紀委員会規程のままだと、非常に経費が掛かりすぎるという問題と手間が掛かり過ぎるという問題がありました。

 そのため綱紀委員会規程の改正により、綱紀委員会の判断で懲戒不相当の決定ができるようにすること、さらにはその決定と同時に、被請求会員に対して、懲戒請求があったことを告知をすれば足りるようになります。

 ただ、ここでは懲戒請求者に対する通知は特定記録郵便によることになりますので、経費が掛かることにはなります。

 今回の大量懲戒請求が弁護士としての生命を奪う可能性があるものという主張もありますが、それは絶対にありません。上記綱紀委員会規程の改正の経緯もみてもおわかりかと思います。

 一般的に事実でないことで懲戒請求がなされた場合、例えば依頼した弁護士に預けたお金を横領されたという虚偽の事実で懲戒請求を行えば、それが認定されてしまえば当然に弁護士の首は飛びます(額にもよりますが、業務停止で終わることもあります)。なので、被請求会員は必至になって弁明することになります。つまりこれが請求事由が虚偽だったら、本当に悪質なのです。

 今回の大量懲戒請求案件は、一見して懲戒事由に当たらないと判断ができるものです。事実かどうかも問題にはなりません。

 なのに、弁明書の提出を求める弁護士会の書面は、具体的に記載せよとか書かれてしまうものだから(これも定型文書です)、混乱を招いたのかもしれません。私自身は、具体的に弁明を記載せよとあったとき、何故、具体的に記載しなければならないんだと思ったのですが(一見して懲戒事由にならないと判断したたためです)、考えてみれば弁護士会は定型的に進めざるを得ないんだなと理解した次第です。

 今回の大量懲戒請求の案件の本質は、できもしないことを余命3年ブログが煽り立て、それを真に受け、信用してしまった多くの人たちがいたということで、日本社会の病理の一旦を表面化させた点にあります。

 弁護士会だけでなく、同時に検察庁にも告発状が送られていますが、検察庁は受理しないということで一貫して対応しています。

 しかも誣告の罪で立件するような動きもありません。明らかに犯罪として成立せず、誣告罪としての危険性も存在し得ないという判断があるからでしょう。

 弁護士会の判断も同様であり、これらは法曹であれば共通認識といえます。

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