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- 2012年03月12日 00:35
「とるべきリスク」と「避けるべきリスク」〜日本経済新聞の主張に従えば「増税による財政再建」では経済再生は出来ないことになる
「支援が相次ぐのは、同国の経済や財政の立て直しが全く進んでいないためだ。12年の国内総生産(GDP)は前年比でマイナス4~5%を見込み、5年連続のマイナス成長はほぼ確実。必要な税収を確保できない状況から抜け出せず、ギリシャ政府によれば11年の公的債務はGDPの160%まで膨らんだという」。
ギリシャ国債の民間保有者の83.5%が債務削減に応じ、無秩序なデフォルトをひとまず避けられ、EUによるギリシャ支援が確実になったなか、10日付日本経済新聞は「ギリシャ不安 当面後退 経済再生厳しく ユーロ離脱論なお」という見出しで楽観論を戒める報道をしている。
ギリシャの経済再生が厳しい原因を、日本経済新聞は「GDPが5年連続のマイナス成長になり、必要な税収を確保できない状況から抜け出せないこと」と指摘している。
EUによるギリシャへの2次支援が確実な見通しになったことと並んで日本経済新聞の1面を飾ったのは「10%超へ追加消費増税 16年度までに法案 政府が明記」という記事。
「政府は9日、消費税率を10%に引き上げた後に再び増税する追加増税法案を、2016年度末までに国会に提出する方針を固めた。今月中に提出する予定の消費増税関連法案の『付則』に明記する。20年度までに基礎的財政収支を黒字化する財政健全化目標の達成をにらみ、追加増税の実現に向けた道筋を明確にする」
日本のGDP成長率は、2011年暦年名目ベースで▲2.8%、実質ベースで▲0.7%である。ギリシャのように5年連続マイナス成長ということではないが、2000年以降の12年間でみると6回目のマイナス成長。名目GDPの実額は2000年の509兆8600億円から、2011年には468兆4250 億円と、実額で41兆4350億円、率にして▲8.1%となっており、それに伴って一般会計税収も2000年度の50.7兆円から2011年度の40.9 兆円まで約10兆円減少している。
要するに、日本は「必要な税収を確保できない状況から抜け出せない」という点においてはギリシャとほとんど変わりがない状況にある。
民間の債務を1,000億ユーロ(10兆円強)圧縮することで財政危機を脱しようとするギリシャに対して「必要な税収を確保できない状況から抜け出せない」と厳しい視線を投げかける「財政再建原理主義者」。しかし、消費増税によって民間負担を10兆円強増やすことで財政再建を図ろうとする野田内閣に対しては、「必要な税収を確保できない状況から抜け出せない」状況を棚に上げ、「IMFなどの国際機関も消費税率10%超への引き上げの必要性を指摘している」という部外者の無責任な指摘を印籠のように掲げて擁護する姿勢を見せている。
通貨統合を含めた地域市場統合のために、マーストリヒト条約で付加価値税の最低税率を15%に規定しているEUを例に挙げて日本の消費税率が低過ぎるという議論は余りに乱暴である。日本は単一通貨、単一経済であり、通貨統合を目指して各国の制度の均一化を図ろうとしている欧州と比較するのはナンセンスだからだ。
むしろ、今回のギリシャ危機を招いた要因が、各国の経済力格差を無視した過度な均一化であったことを日本は他山の石にすべきである。
「かつてギリシャの主力産業であった衣類の製造業などは新興国との競争に押され、もはや経済をけん引する力はない。(中略)過去に財政が破綻した国家は、信用力低下による通貨急落で輸出競争力が回復し、経済の再建を果たしてきた。だがギリシャがユーロ圏にとどまる限り、こうした手段は使えない」。
日本経済新聞は同記事でこのようにも指摘している。この記事の「衣類の製造業」を、「DRAMや液晶などの製造業」と置き換えれば、今の日本が置かれている状況とほとんど同じである。
もし、過去の財政が破綻した国家が「信用力低下による通貨急落で輸出競争力が回復し、経済の再建を果たした」という歴史に学ぶのであれば、「断固たる決意」で増税による財政再建に猪突邁進し、「国家の信用力」を高め通貨高を招くことは、政策目標が「日本経済の再建」だとしたら、誤った政策ということになる。
「財政再建原理主義者」の日本経済新聞の解説に従えば、野田政権の政策目標が「日本経済の再建」だとしたら、採るべき政策は「財政赤字拡大による国家の信用力低下」というリスクを負ってでも、財政政策を含めた景気刺激策となるはずである。
財政赤字拡大による「国家の信用力低下」というリスクの結果が、「通貨急落で輸出競争力が回復し、経済の再建につながる」のであれば、十分にこのリスクはとる価値があるからである。今の日本が避けなくてはならないリスクは、「かつての主力産業が新興国との競争に押され、もはや経済をけん引する力はない」状況下で「国家の信用力」を高め「通貨高を演出する」ことのはずである。
ギリシャ国債の民間保有者の83.5%が債務削減に応じ、無秩序なデフォルトをひとまず避けられ、EUによるギリシャ支援が確実になったなか、10日付日本経済新聞は「ギリシャ不安 当面後退 経済再生厳しく ユーロ離脱論なお」という見出しで楽観論を戒める報道をしている。
ギリシャの経済再生が厳しい原因を、日本経済新聞は「GDPが5年連続のマイナス成長になり、必要な税収を確保できない状況から抜け出せないこと」と指摘している。
EUによるギリシャへの2次支援が確実な見通しになったことと並んで日本経済新聞の1面を飾ったのは「10%超へ追加消費増税 16年度までに法案 政府が明記」という記事。
「政府は9日、消費税率を10%に引き上げた後に再び増税する追加増税法案を、2016年度末までに国会に提出する方針を固めた。今月中に提出する予定の消費増税関連法案の『付則』に明記する。20年度までに基礎的財政収支を黒字化する財政健全化目標の達成をにらみ、追加増税の実現に向けた道筋を明確にする」
日本のGDP成長率は、2011年暦年名目ベースで▲2.8%、実質ベースで▲0.7%である。ギリシャのように5年連続マイナス成長ということではないが、2000年以降の12年間でみると6回目のマイナス成長。名目GDPの実額は2000年の509兆8600億円から、2011年には468兆4250 億円と、実額で41兆4350億円、率にして▲8.1%となっており、それに伴って一般会計税収も2000年度の50.7兆円から2011年度の40.9 兆円まで約10兆円減少している。
要するに、日本は「必要な税収を確保できない状況から抜け出せない」という点においてはギリシャとほとんど変わりがない状況にある。
民間の債務を1,000億ユーロ(10兆円強)圧縮することで財政危機を脱しようとするギリシャに対して「必要な税収を確保できない状況から抜け出せない」と厳しい視線を投げかける「財政再建原理主義者」。しかし、消費増税によって民間負担を10兆円強増やすことで財政再建を図ろうとする野田内閣に対しては、「必要な税収を確保できない状況から抜け出せない」状況を棚に上げ、「IMFなどの国際機関も消費税率10%超への引き上げの必要性を指摘している」という部外者の無責任な指摘を印籠のように掲げて擁護する姿勢を見せている。
通貨統合を含めた地域市場統合のために、マーストリヒト条約で付加価値税の最低税率を15%に規定しているEUを例に挙げて日本の消費税率が低過ぎるという議論は余りに乱暴である。日本は単一通貨、単一経済であり、通貨統合を目指して各国の制度の均一化を図ろうとしている欧州と比較するのはナンセンスだからだ。
むしろ、今回のギリシャ危機を招いた要因が、各国の経済力格差を無視した過度な均一化であったことを日本は他山の石にすべきである。
「かつてギリシャの主力産業であった衣類の製造業などは新興国との競争に押され、もはや経済をけん引する力はない。(中略)過去に財政が破綻した国家は、信用力低下による通貨急落で輸出競争力が回復し、経済の再建を果たしてきた。だがギリシャがユーロ圏にとどまる限り、こうした手段は使えない」。
日本経済新聞は同記事でこのようにも指摘している。この記事の「衣類の製造業」を、「DRAMや液晶などの製造業」と置き換えれば、今の日本が置かれている状況とほとんど同じである。
もし、過去の財政が破綻した国家が「信用力低下による通貨急落で輸出競争力が回復し、経済の再建を果たした」という歴史に学ぶのであれば、「断固たる決意」で増税による財政再建に猪突邁進し、「国家の信用力」を高め通貨高を招くことは、政策目標が「日本経済の再建」だとしたら、誤った政策ということになる。
「財政再建原理主義者」の日本経済新聞の解説に従えば、野田政権の政策目標が「日本経済の再建」だとしたら、採るべき政策は「財政赤字拡大による国家の信用力低下」というリスクを負ってでも、財政政策を含めた景気刺激策となるはずである。
財政赤字拡大による「国家の信用力低下」というリスクの結果が、「通貨急落で輸出競争力が回復し、経済の再建につながる」のであれば、十分にこのリスクはとる価値があるからである。今の日本が避けなくてはならないリスクは、「かつての主力産業が新興国との競争に押され、もはや経済をけん引する力はない」状況下で「国家の信用力」を高め「通貨高を演出する」ことのはずである。



