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11月10日(土)ムネオ日記

 昨日はヤルタ会談のことに触れたが、昭和20年9月2日、日本はミズリー号で無条件降伏に署名する。この日が戦争終結の日である。それから廃墟と化した日本が、復旧復興に向け、雄々しく立ち上がっていく。

 1951年サンフランシスコ講和条約で、はれて日本は国際社会復帰が認められた。

 この時、吉田茂首相は演説で北千島、南千島列島と南樺太を放棄している。「国会においても、政府はサンフランシスコ平和条約二条C項で放棄した千島列島に国後島と択捉島が入っていることを明確にしている。1951年10月19日の衆議院平和条約及び日米安全保障条約特別委員会において、農民協同党の高倉定助議員の質疑に対して、吉田総理と外務省の西村熊雄条約局長が」と答弁している。このことは私の質問主意書の答弁書でも明らかである。

この事実をよく承知し、理解していない政治家・学者・ジャーナリスト関係者が多い。

 その後、1956年2月11日衆議院外務委員会で、森下国雄外務政務次官が放棄していないとすり替えの答弁をしている。新しい物語を作ったのである。

東西対立冷戦が日本外交にも大きな影響を与えてきたのである。

 1956年、時の鳩山首相は訪ロし「日ソ共同宣言」に署名し、その中に「日本国の要望にこたえかつ日本国の利益を考慮して、歯舞群島及び色丹島を日本国に引き渡しことに同意する。ただし、これらの諸島は日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする」と記され、これは日本の国会もソ連の最高会議も批准している。

この「日ソ共同宣言」署名前にアメリカのダレス国務長官は、2島返還で平和条約を結ぶならアメリカは沖縄を還さない、いわいる「ダレスの恫喝」があった。その後1960年、日米安保条約が改訂された。

 この日米安保条約に対し、ソ連政府は次のように言ってきた。

「ソ連邦は、極東における平和機構を阻害し、ソ日関係の発展にとって支障となる新しい軍事条約が、日本によって締結せられるような措置を黙過することはもちろんできない。この条約が事実上日本の独立を失わしめ、日本の降伏の結果日本に駐屯している外国軍隊が日本領土に駐屯を続けることに関連して、歯舞及び色丹諸島を日本に引き渡すというソ連政府の約束の実現を不可能とする新しい事態がつくり出されている。

平和条約調印後、日本に対し右諸島を引き渡すことを承諾したのは、ソ連政府が日本の希望に応じ、ソ日交渉当時日本政府によって表明せられた日本国の国民的利益と、平和愛好の意図を考慮したがためである。しかしソ連政府は日本政府によって調印せられた新条約が、ソ連邦と中華人民共和国に向けられたものであることを考慮し、これらの諸島を日本に引き渡すことによって、外国軍隊によって使用せられる領土が拡大せられるがごときことを促進することはできない。よってソ連政府は、日本領土から全外国軍隊の撤退及びソ日間平和条約の調印を条件としてのみ、歯舞及び色丹が1956年10月19日付ソ日共同宣言によって規定されたとおり、日本に引き渡されるだろうということを声明することを必要と考える。」

 ソ連はその時から領土問題はないと主張し始めたので、日本は「四島一括返還」その上に「即時」と強く言わざるを得なかった。

 ところが1991年(平成3年)ソ連が崩壊し、自由と民主のロシア連邦共和国が誕生し、エリツィン大統領は戦後の国際社会の枠組みは、戦勝国・敗戦国とに分けられているが、私はその垣根を取り払い、法と正義に基づいて話し合いで処理、解決するといわれ、日本は1991年10月以降、「四島の日本への帰属が認められれば、実際の返還の時期、態様及び条件については柔軟に対応する考えである」とソ連時代の「即時四島一括返還」から「四島の帰属の問題を解決して平和条約」と180度政策転換したのである。

 この事実を当時外務省は国民に詳しく説明していなかった。そのため国会議員はもとより、国民は今でも「四島一括返還」が日本の方針だと思っている人がいる。

 外交は積み重ねであり、信頼関係である。ソ連時代、領土問題はないといわれ、ロシアになってから領土問題を認めてきたので日本も方針を変えたのである。この事実をしっかり頭に入れなくてはならない。

 外交は相手がある。一方の主張だけ通る100対0の外交はない。お互い過去の声明、宣言、首脳会談での約束を踏まえて、英知を結集して結果を出すしかないのである。

 読者の皆さんはお判りいただけることであろう。

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