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アングル:米外交政策、民主党の下院奪還でどう変わるか


Patricia Zengerle

[ワシントン 7日 ロイター] - 6日の米中間選挙で下院を奪還した民主党は、これまでトランプ大統領の外交政策に対して共和党が取ってきた不干渉的なアプローチを大きく転換し、ロシアやサウジアラビア、北朝鮮に対してより強硬な対応を求めるだろう。

下院外交委員会を率いることになるエリオット・エンゲル民主党議員は、イラクやシリアなどにおける軍事力行使に対しても、議会の承認を求める可能性を示した。一方、中国やイランといった重大な問題に関しては、現状打破する手段が、ほとんどないことを認めた。

民主党は多数派として、下院でどの法案を審議するかを決めたり、財政政策や政策立案において大きな役割を担うことになる。

「政権が出してきたものだからという理由で反対すべきだとは思わないが、政策を見直し、監督する義務がわれわれにはある」と、エンゲル議員はロイターとの電話インタビューで語った。

法案通過には共和党が支配を続ける上院との協力が不可欠だが、民主党は、外交や軍事、情報に関する委員会を下院で率いるため、公聴会を開催して、必要とあれば証人を召喚する権限などにより、最大の影響力を発揮することになる。

以下に、民主党の下院奪還によって、米国の外交政策がどのように変わる可能性があるのか見ていこう。

●民主党はロシアをどう見ているか

民主党議員たちは、トランプ大統領とロシアとのビジネス上のつながりや利害衝突の可能性を巡る調査など、ロシア関連の調査を行う計画だ。

政策的な観点から言えば、民主党率いる下院は、米選挙への干渉やウクライナへの軍事侵攻のような行動、シリア内戦への関与を理由にロシアに対する懲罰を求めるだろう。

下院は追加制裁を求め、その中にはロシア債を標的にした措置も含まれる可能性がある。また、昨年8月にトランプ大統領が渋々署名したロシア制裁強化法案に含まれるすべての制裁を実行に移すよう大統領に圧力をかけようとするだろう。

米議会議員たちはまた、昨夏の米ロ首脳会談に関する情報を得るため、必要とあれば調査権限を行使するなど強硬な手段に出ることも辞さない。ホワイトハウスは同会談の一部については公表している。

「そのようなハイレベルの首脳会談が行われて、その中味について議会が知らぬ存ぜぬというのはばかげた話だ」とエンゲル議員は言う。

2016年の米大統領選におけるロシア介入疑惑について、同議員は「まったく解決していない」と話した。

●カショギ記者死亡事件は対サウジ関係に影響するか

トルコのイスタンブールにあるサウジアラビア総領事館でサウジの記者、ジャマル・カショギ氏が死亡した事件は、サウジのイエメン内戦での行動や人権問題に対する議員たちのいら立ちを募らせた。

民主党率いる下院は、サウジへの武器売却契約を阻止する法案を採決に付したり、同国への民生用原子力協力に関する議会承認を困難にしたり、イエメンでの作戦における米航空機による空中給油や他の支援を阻止する措置を検討したりする可能性がある。

エンゲル議員は、中東においてサウジがイランの影響力に対する「重し」だと認める一方で、米国政府はサウジに対してもっと要求するべきだと主張する。「サウジがわれわれの支援を必要とするなら、われわれが懸念する問題の一部に取り組まなければならない」

●民主党は北朝鮮との和平を望まないのか

民主党は、トランプ大統領とポンペオ国務長官がそれぞれ北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と会談した際の情報をさらに入手する構えだ。トランプ大統領が「素晴らしいディール」を欲するあまり、金委員長に譲歩し過ぎることを懸念している。

エンゲル議員は、北朝鮮との対話の状況を確認するため、政府当局者を召喚する計画だが、民主党は外交や非核化の努力を邪魔していると見られないようぎりぎりのラインを探るだろう。

「北朝鮮と何かしらの対話を行うのは良いことだが、大きな変化が生まれるとわれわれは勘違いしてはいけない」とエンゲル議員は語った。

●民主党は対中政策を変えるか

民主党の下院支配によって、対中政策に大きな変化は起きないとみられる。民主党は公聴会を増やしたり、状況を説明する機会を一段と求めたりするだろうが、中国に対する批判はこれまでのところ超党派によるものであり、対中政策は変わらないとみられる。

下院情報委員会の委員長を務めることになるアダム・シフ氏のような著名な民主党議員は、共和党議員と共に、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)<000063.SZ>や華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]の技術や機器を禁止する国防権限法を成立させるなど、対中強硬姿勢を打ち出している。

しかしエンゲル議員らは、パートナーとしての中国の必要性、とりわけ北朝鮮問題において同国の重要性を認識している。「攻撃し過ぎないよう気をつけなければならない」とエンゲル議員は語った。

●トランプ氏の通商政策に反対するか

共和党と同様、民主党内でもトランプ大統領の対中貿易戦争を巡っては意見が分かれている。一部の民主党議員は、自由貿易は雇用を生み出すと考えているが、鉄鋼業や製造業といった産業の労働者を守るため関税を支持する民主党議員もいる。

大統領は通商政策において相当な権限を有しているが、民主党はトランプ氏の行動に対する説明責任の強化を求めている。その中には、農業や製造業が集中する州、特に中西部に影響を及ぼしている中国への急激な関税引き上げも含まれている。

通商問題でたとえトランプ大統領を糾弾しなくても、民主党はいかなる貿易協定も労働基準や環境基準を確実に設けることを大統領に求めるだろう。

●米国をイラン核合意に復帰させるか

民主党は、自党のオバマ前政権が2015年にイランと合意した国際的な核合意からトランプ大統領が離脱したことに激怒した。だが、共和党がホワイトハウスを支配している限り、その方針を転換させるためにできることはほとんどない。

議員たちはイランに対して友好的過ぎると思われることを警戒している。とりわけ、イスラエルがイランに対して敵対的な姿勢を示しているからだ。イスラエルのネタニヤフ首相が米共和党議員との関係を深める一方、イスラエルとの強い関係は、共和、民主両党にとって最優先事項であることに変わりはない。

エンゲル議員はイラン核合意に反対した民主党議員の1人だが、トランプ大統領はイラン核合意や他の問題において欧州連合(EU)加盟国など重要な同盟諸国と協力すべきだと指摘する。「われわれがなすべきことは、これまで築き上げてきた同盟関係の修復を試みることだ」

(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

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