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安倍異常政権の深層を衝く―3選されても嵐の中の船出となった安倍首相(その1)

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〔以下の論攷は、治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟が発行している『治安維持法と現代』2018年秋季号、に掲載されたものです。3回に分けて、アップさせていただきます。〕

はじめに

 これほど異常な政権が、かつてあったでしょうか。右派的な改憲志向の政権はありました。中曽根康弘政権などはその一例です。しかし、改憲をスケジュールに上らせことはありませんでした。

 総理大臣の犯罪が断罪されたことはありました。ロッキード事件で逮捕された田中角栄元首相がそうでした。しかし、首相の夫人までが疑惑をもたれ、公文書を書き換えて証拠隠滅を図ろうとしたことはありませんでした。

 中曽根元首相は「きれいなタカ」だったと言えるかもしれません。田中元首相は「汚いハト」と呼ばれることがありました。「きれいなハト」は三木武夫元首相でしょうか。

 これらの先輩に比べても、安倍晋三首相は異例であり異常です。自民党政権でも、これまでに存在することのなかった「汚いタカ」だからです。スキャンダルまみれで改憲志向の首相は稀有だと言うべきでしょう。

 この点で、安倍首相は戦後最悪で最低の首相です。その安倍首相は自民党の規約を変えてまで3選され、第4次安倍改造内閣を発足させました。内閣改造によって支持率は上がるどころか下がり、嵐の中での船出となったようです。

 同時に、内閣支持率は一定の水準を維持しており、ここに安倍政権の強みもあります。その秘密がどこにあるのかを、考えてみたいと思います。3年の任期をまっとうすれば憲政史上最長になる可能性のある長期政権が、最低最悪の安倍首相によって、どうして実現されようとしているのでしょうか。

 その背景と要因は何か。安倍異常政権の深層を探り、それを阻止するにはどうすれば良いのか。これらを検討し明らかにするのが、本稿の課題です。

1、「賞味期限」が切れた安倍政権

自分でやらなければならなくなった「後始末」

 9月20日に自民党の総裁選挙が実施され、安倍晋三総裁が3選されました。でも、安倍首相は3選されない方が良かったのではないでしょうか。2期6年で首相の座を去っていた方が、「有終の美」を飾れたはずです。

 しかし、憲政史上最長の政権を実現したいという野望には打ち勝てなかったと見えます。わざわざ3選禁止の自民党規約を変え、総裁選挙で当選し9年の長期政権を視野に入れることになりました。とはいえ、その任期を全うできるという保障はどこにもありません。すでに、「賞味期限」が切れているのですから。

 安倍首相が2期6年で政権の座を去っていれば、過去6年にわたって続いてきた失政の後始末は、次の首相に任せることができました。自らがかかわり疑惑をもたれてきたスキャンダルからも逃げおおせて、知らん顔ができたかもしれません。

 しかし、まだ3年間も首相の座にとどまることになりました。そのため、「安倍首相夫妻と不愉快な仲間たち」によって引き起こされた森友・加計学園疑惑から逃げられなくなったのです。国民の側からすれば、真相解明と責任追及の期間もあと3年保障されたことになります。

 安倍首相にとって支持率を安定させる手段は経済と外交でした。しかし、鳴り物入りで進められてきたアベノミクスは破たんが明らかになっています。日銀の黒田総裁が進めてきた異次元金融緩和は失敗し、2%のインフレ目標の達成時期はあいまいにされました。景気は改善されず、収入は増えていません。

 金融緩和政策は終了するときこそ難しいと言われています。3選されたために、安倍首相自身がその「出口」戦略を担わざるを得なくなりました。総裁選で「トリクルダウンなどと言ったことはない」と弁解していましたが、間接的に失敗を認めたようなものではありませんか。「尻拭い」を自らの手でやらざるを得ないということに、今になって気が付いたのかもしれません。

 「3本の矢」「地方創生」「女性活躍」「一億総活躍社会」「人づくり革命」「働き方改革」など鳴り物入りで始めた「目玉政策」の数々もスローガンだけが先行し、一向に成果は上がっていません。労働者の働き方を改善して過労死や過労自殺を解決するはずの「働き〝過多〟改革」は、働かせ放題で残業代ゼロの「高度プロフェッショナル制度」の導入によって全く逆のものになってしまいました。

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