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煽り受けども強気のソフトバンク、4割値下げより「4割人員削減」

11月5日、ソフトバンクグループが開いた2018年度第2四半期決算の説明会では、サウジアラビア情勢とそれに伴うビジョン・ファンドの行方、携帯料金の値下げ議論などに多くの関心が集まる中、孫社長が熱弁を振るった。

ソフトバンクグループ代表取締役会長兼社長の孫正義氏

サウジ情勢などを背景に株価は下落傾向にある一方、営業利益は前年同期比で62% 増を達成。決算説明会に登壇した孫社長は、「来年には日本経済が体験したことのないレベルの営業利益を出せるのではないかと、内心思っている」と強気の姿勢を見せた。


すでに通信事業を上回った投資事業

孫社長は、冒頭でサウジアラビアでのジャーナリスト殺害事件に言及。「決してあってはならない大変な事件だ。強い遺憾の意を示したい」。

一方、サウジ側が約半分を出資する10兆円規模のビジョン・ファンドについて、「サウジ国民から資金を預かって運用しており、投げ出すわけにはいかない。今後の新たなものをどうするかは真相究明の後に考えたい」とも語った。世界が注目する中、「現状路線を維持する」と慎重な言い回しで切り抜けた印象だ。

ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資先は67社規模に

その中で孫社長は記者が殺害されたことから「ジャーナリズムや言論の自由への問題も提起した」と語り、会場に集まった記者たちの心情を代弁する一方、「話は大きく変わるが」と前置きしてソフトバンクホークスの優勝に言及。場の空気を変え、好決算に目を向けさせようとする話術が目立った。

NTTドコモやKDDIが通信以外の収入源を模索する中で、ソフトバンクが注力するのがビジョン・ファンドによる新規事業への投資だ。同社はAIを主体に多くの新興企業に投資する「AI群戦略」を進めており、すでにファンド事業による営業利益の合計額は通信事業を上回っている。

営業利益の内訳でビジョン・ファンドがソフトバンク(通信事業)を上回った

「4割値下げ」には「4割人員削減」で対策

2018年8月の菅義偉官房長官による「携帯料金は4割程度の値下げ余地がある」発言や、ドコモの「通信料を2〜4割程度値下げする」という発表で盛り上がる携帯値下げ議論には、「9月にSoftBankブランドで導入した分離プランで25〜30% 値下げ済みだ」と主張。Y!mobileブランドでも2019年上期に分離プランを導入し、1〜2割の値下げを見込むという。

ドコモが4000億円規模とした還元額に孫社長は触れなかったが、こうした還元を「減益の言い訳にはしたくない」と語り、ドコモを牽制。顧客還元を続けながら増益を狙うため、モバイル事業の人員を4割削減するとの方針を打ち出した。

背景には業務のロボット化がある。ソフトバンクモバイルの社内ではソフトウェア操作を自動化するRPAの導入により、事務作業の自動化を進めることで、これから2~3年をかけて通信事業の人員を4割削減し、ビジョン・ファンドが出資する新規事業に配置転換していくという。

通信事業の人員の4割を新規事業に配置転換

来たる「iPhoneが売れない時代」に向けて

携帯料金について孫社長は、「ギガ単価」の安さをアピールした。月間50GBの「ウルトラギガモンスター+」は、家族割引時に1GBあたりのデータ料金が80円にまで下がっており、「他社の半分か3分の1で、米国や欧州と比べても、世界でもっとも安い」と主張する。

ギガ単価は80円にまで低下しており、「動画SNS放題」でさらに4割安いという

ドコモやKDDIは提供していない、動画やSNSのパケットを無料化するサービスにも触れ、「無料の対象はトラフィックの43% を占めている。ギガ単価はさらに4割引きで比較されるべき」(孫社長)として、「実質4割値下げのインパクトがある」と語った。

一方、消費者からは通信料金が下がっても、分離プランでは端末の割引が受けられず、総支払額は変わらないとの声もあるが、「これまで高い端末を中心に販売してきたが、分離プランなら安いSIMフリー端末を含めて選択肢が広がる。実質的なコストダウンを図りやすくなる」(孫社長)とメリットを挙げた。

端末と回線を分離したプランをY!mobileも導入へ

分離プランでは端末が売れにくくなるが、もともと端末販売に利益はなく、減収となっても減益にはならないと孫社長は説明する。この影響を大きく受けそうなのが、ソフトバンクがこれまで売ってきた高い端末であるiPhoneだ。

かつてのiPhoneはソフトバンクが独占的に取り扱っており、ドコモとKDDIに対する挑戦者としてのソフトバンクを象徴する商品だった。だが、最近では「Pixel 3」の販売やAndroid One端末の展開でグーグルに接近している。もしかすると孫社長の目には、iPhone一強時代の終焉が見えているのかもしれない。

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