- 2018年11月09日 15:52
【読書感想】池上彰の 未来を拓く君たちへ
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- 作者: 池上彰
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2018/04/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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Kindle版もあります。

- 作者: 池上彰
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2018/05/10
- メディア: Kindle版
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内容紹介
今、何を学び、どう生きるのか
時代を理解し、本質を見極めるために。あなたがあなたらしく生きるための、「学び方」・「働き方」・「生き方」
池上先生と一緒に考えてみませんか。「高校では知識を覚えることばかり……これで教養は身につくの?」
「受験勉強や部活に追われ、心の豊かさを見失っている」
「池上先生のように多くのテーマを考え話せるようになるには、どのようにアンテナを張ればいい?」
「最近は論文しか読んでいないんです……」 「大学を出てからも勉強したい」
「アメリカという国をどのように理解すればよいのでしょうか」
「日本企業の不祥事が相次いでいますが、経営は大丈夫?」いま、国内外で不穏な空気と不透明感が広がる出来事が多く起こり、
私たちの未来への不安は増えていく一方のように感じられます。本書では、世界・日本で「いま何が起こっているのか」を若者たちの質問を交えてわかりやすく解説しながら、
私たちはどうすればよいのか、時代を理解し物事の本質を見極めるための「学び方、働き方、生き方」を
池上先生が一緒に考え、伝えていきます。ジャーナリストと教育者、筆者が持つ2つの顔がうまく溶け合った
悩める若者たち、未来を生きていく私たちへ贈る、池上彰の「生き方」講座。
池上氏の温かなまなざしとメッセージが一冊に詰まった、
日本経済新聞の朝刊・電子版の連載コラム「池上彰の大岡山通信 若者たちへ」の書籍化第4弾。
池上彰さんの「大岡山通信」の書籍化も4冊め。
池上さんの本を読んだり、番組を観たりしている人にとっては、「どこかで聞いたことがある話」が多いかもしれません。
あんまり政治とか経済の話には興味がなかったんだけど、という若い人たちが、とりあえず手にとって、勉強してみよう、とやる気を出すには、けっこう有用な本だと思うのですが。
この本のなかで、池上さんは、高校生や大学生との対話のなかで、自分自身の経験も交えて「学ぶということの意義」を繰り返し述べておられます。
高校で受験勉強に追われていた当時、「こんな勉強をしていて将来、一体、何の役に立つのだろう」と感じていたことを覚えています。ところが不思議なものですね。社会に出てから、意外な発見が何度かありました。
たとえばNHK記者時代、気象庁で地震の原稿を書くとき、マグニチュードが1大きくなると地震のエネルギーは32倍になることを知りました。この変化の仕組みは、数学の「対数」に基づいています。基礎的な事柄を理解していれば、分析の仕組みもわかります。高校時代、「対数なんて何の役に立つのか」と思っていたのですが。
その後、「因数分解」の勉強が役立っていることも知ります。2005年にNHKを辞めてフリーのジャーナリストになってからのこと。テレビ番組づくりに関わりながら、定期的に新聞コラムを何本も書くようになりました。その際、複雑な情報を整理するには「共通項を見つけて括り出す」という因数分解の考え方が役に立つのです。
高校生のころ、苦手で楽しくはなかった科目でも、定期試験や受験のために必死に学びました。覚えた知識が後の人生で役に立つのかわかりませんでしたが、いま花開いたのです。
こんなの、社会に出たら使わないよ……と言いたくなるような「学校の勉強」って、案外、いろんなところで実際に使われているのです。
この因数分解のように、そのままの形ではなく、「応用」できる場合もあります。
池上さんは、こういった経験を踏まえて、2011年3月の東日本大震災のあと、理系と文系の間を橋渡しする手伝いができれば、と東京工業大学で教えることを引き受けたそうです。
僕もこの年齢になって、高校レベルくらいは、数学を学びなおしでみよう、と思っているのです。高校時代は教科書を見るのも嫌なくらい苦手だったのですが、今なら、少しは楽しんで勉強できるのではないか、という期待とともに。