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いじめ等に対応に課題 文科省に緊急要望

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●⑵青森市立中学2年女子自殺事案

平成27年に教室内やネット内でいじめを受けた中学2年生女子は、起立性調節障害の診断を受けましたが、その疾患について、教員も生徒も理解が十分でなく、疾患による欠席、遅刻等も悪口の対象となってしました。翌年、さらに根拠のない噂を流され、自殺してしまいます。青森市教育委員会は第三者委員会を設置し調査しましたが、平成29年3月に「思春期うつであった」という報告書案をとりまとめたが、平成30年委員全員が交代となり、「自殺の主要な原因はいじめであると考えられる」と結論が出された事案です。

 文科省が認識している学校の対応の問題点は、学校は、早くから生徒間のトラブルとして把握したが、いじめに対する認識が十分でなく、組織的な対応が不十分でした。学校として、起立性調節障害に対する理解が十分でなく、疾患の背景にあるいじめや、疾患を原因とするいじめに対応できませんでした。SNS上で行われるいじめについて理解が十分でなく、学校に持ち込まないという以上の有効な対応がなされませんでした。

文科省からの指導事項としては、調査委員会の報告書を踏まえ、同種の事案の再発防止に努めるよう、指導・助言を行ったとのことです。

当初の第三者委員会について、以下の理由により二次被害ともいうべき結果になったとの指摘が遺族からなされています。

・根拠なく、自死の原因を「思春期うつ」としたこと。

・報告書(案)において、家族の対応を問題視する記載内容があったこと。

・家族の対応に問題があったのではないか問いただすような、遺族の心情への配慮に欠ける委員の発言があったこと。

●⑶新潟県新発田(しばた)市立中学2年男子自殺事案

平成28年に、あだ名で呼ばれ、からかわれ、いじられるようになった中2男子が、平成29年進級しても、あだ名で呼ばれ、状況が悪化し、男子生徒が自殺。翌月、市教委に第三者調査委員会を設置され、平成30年調査結果「自殺の原因は、いじめにあると推定することができる」と答申されました。新発田市教育長が、御遺族への謝罪の場において、「お前」という言葉を使用。(教育長は当該生徒の元教え子であった。)教育長の発言について、父親が市教委に抗議し、抗議を受け、教育長はお詫びのコメントを出し、市長に辞職願を提出した事案です。

 文科省が認識している学校等の問題点は、当該生徒に関する情報を複数の教職員が把握していたものの、組織的に共有されず、各職員が抱え込んでいました。当該生徒があだ名を言われたり、追いかけたりしているところを追いかけっこと捉え、見えないところで被害が発生している可能性を考えず、背景にある事情の調査を行われませんでした。2年時の担任は当該生徒から、あだ名で呼ばれていることについて相談を受けていましたが、保護者にその旨を伝えていませんでした。謝罪の場において、教育長が御遺族に対して配慮のない発言を行ったことです。

文科省からの指導事項は、調査委員会の報告書を踏まえ、同種の事案の再発防止に努めるよう、指導・助言を行ったとのことです。

●自民党文科部会として緊急要望

 自民党文科部会では、文科省からの説明を受け、以下のような緊急要望をとりまとめました。

増加する児童生徒の問題行動・不登校への対策強化に関する緊急要望

本日、自由民主党政務調査会文部科学部会において、文部科学省から「平成二十九年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」等の結果について説明を受け、議論した。その議論を踏まえ、当部会は、文部科学省に対し、児童生徒の問題行動等の未然防止、早期発見・早期対応への適切な支援の強化を緊急に要望するものである。 

一、当部会は、ここ数年、一貫して、調査結果の公表だけではなく、その対策の内容と効果、そして改善点も明らかにすべきだと求めてきたが、十分な対応がなされているとは言えない。文科省自らが、調査の目的として「未然防止、早期発見・早期対応、適切な支援」を掲げている以上、調査結果の公表と同時に、対策の評価・総括も公表すべきである。

一、いじめの認知件数が多い学校については、いじめを初期段階のものも含めて積極的に認知し、その解消に向けたスタートラインに立っているものとして極めて肯定的に評価することを、各地の設置者に対して、改めて周知徹底すべきである。

一、現状、加害者への出席停止措置は年間八件にとどまっているが、暴力行為の低年齢化の傾向がある中、設置者に対しては、適切な判断のもと、必要であれば毅然と出席停止措置をとることを再度確認すべきである。

一、各地で教育相談が十五万件にものぼっている中、個別相談の充実や、全体の対策への強化に繋げるべく、相談内容の分析が十分行われているのかどうかが不透明である。個人情報には配慮が必要であるが、対策に活かされるよう、調査とそのフィードバックを工夫すべきである。

一、道徳の教科化を踏まえた道徳教育の更なる充実や、教職員定数の改善を含む学校における働き方改革による教師が児童生徒と向き合う時間の確保などにより、いじめの未然防止を強化すべきである。

一、配置が十分とはいえないスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーについて、早急に拡充することを求めるものである。また、現状においても、限られた人員とはいえ、より実態に即した配置といった工夫など、実効性を上げる方策を検討すべきである。

一、本年十月より、文科省内に「いじめ・自殺等対策専門官」が新たに配置されたにもかかわらず、適切な外部人材の任命にいたっていない。速やかに教育現場に精通した適切な人材を採用任命すべきである。

一、「いじめ・自殺等対策専門官」を中心に、最新の知見に基づく研修を問題行動や不登校に対応する全国の生徒指導主事等に対して実施し、綿密な連携を図るべきである。あわせて、管理職や教員の研修においても、最新の事例や問題点を踏まえ、その充実を求めるものである。

一、警察庁や法務省人権擁護局との連携を図りつつ、各地の設置者に対しても、地域の関係機関との連携をさらに強化することを促すべきである。また、在外教育機関においても同様に、外務省や当地の日本人会とのさらなる連携強化を促すべきである。

一、各地の教育委員会のみならず、総合教育会議を主宰する首長や首長部局、地方議会に対しても、最新の調査や施策動向を通知し、連携を図るべきである。

平成三十年十一月七日

自由民主党政務調査会 文部科学部会

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