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平沼赳夫氏の政治家人生 “安倍首相が復党させたかった男”の紆余曲折 - 「週刊文春」編集部

 平沼赳夫元衆院議員(79)が旭日大綬章を受章し、「社会的立場が弱い人の救済を政治信条に行動してきた」と37年余りに及んだ政治生活を振り返った。

郵政民営化法案には「米国の言いなり」と反対した平沼赳夫氏 ©共同通信社

 戦前に首相を務めた平沼騏一郎氏に連なる名門一族の生まれで幼くして養子となり、1980年の総選挙で初当選。運輸相や通産相、初代の経済産業相など要職を歴任して一時は宰相候補と目された。だが2005年に自民党を離党後は数々の政党を立ち上げる流転の政治家人生に。紆余曲折の末、脳梗塞の後遺症もあり昨年引退した。

 政界で切っても切り離せない関係にあったのは石原慎太郎氏と亀井静香氏の2人だ。

 特に亀井氏とは「お神酒徳利」と呼ばれるほどの関係で、安倍派から三塚派、さらに江藤・亀井派に至るまで行動をともにした。2001年の総裁選後、小泉純一郎氏は平沼氏を政調会長に指名したが、平沼氏は小泉氏と対立する亀井氏に義理を立てて辞退した。

 その2年後、今度は小泉氏の対抗馬として野中広務元幹事長が平沼氏を総裁選に担ごうと模索するなど、保守派だけでなくリベラル派からも実力は認められていた。

「安倍さんが復党させたかったのは平沼さんだった」

 運命の変転は2005年の郵政解散だ。郵政民営化に反対した平沼氏は公認を得られず、無所属で出馬して刺客を撃退。盟友の亀井氏は国民新党を作り、袂を分かった。翌年、安倍晋三氏が総裁になると平沼氏らの復党問題が浮上。平沼氏が代表となって中川秀直幹事長と交渉するも、平沼氏は郵政民営化には賛成できない、と筋を通して12人中1人だけ復党しなかった。関係者は「安倍さんが本当に復党させたかったのは平沼さんだったが、同じ三塚派にいた中川さんが平沼さんの力量、人望を恐れた」と明かす。

 その後は自民党と一線を画し、政権交代した09年衆院選も無所属で当選。2010年には与謝野馨氏、園田博之氏らと「たちあがれ日本」をつくり、民主党とも距離を置いた。2012年には石原氏とともに「日本維新の会」に合流。それも短命に終わって14年には「次世代の党」党首に就任。15年になって、ようやく自民党に復党した。

 平沼氏の受章と相前後して、次世代の党を引き継いだ「日本のこころ」も自民党に吸収された。「言いたいことを言う私を支えてくれた有権者に感謝」と受章で謝意を示したのは、目まぐるしい晩年を支えた地元に対してだった

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2018年11月15日号)

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