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トヨタ過去最高なのに、なぜ危機感?

トヨタの第2四半期決算は、好業績であるにもかかわらず、説明会はいつもと違って、結構、緊張感がありました。なぜでしょうか。

※トヨタ第2四半期決算説明会の様子

トヨタ自動車が6日発表した、18年4~9月期の連結決算は、売上高が前年同期比3.4%増の14兆6740億円で過去最高を更新、営業利益は同15.1%増の1兆2618億円でした。

同時に発表した2019年3月期の連結業績予想は、売上高が従来予想より5000億円多い29兆5000億円と、過去最高が見込まれています。営業利益の見通しは、従来予想より1000億円多い2兆4000億円です。

ところが、会見の場には、危機感が漂っていました。

トヨタが危機感を募らせるのは、米中の貿易戦争などの政治リスクのほか、カーシェアリングや自動運転などの普及が目前に迫り、先が見えないからなんですね。

社長の豊田章男さんが常々、口にするように、自動車業界が「100年に一度の大変革期」を迎えているのは、ご存じの通りです。

トヨタは、すでに設備投資や研究開発にそれぞれ年1兆円超を投じていますが、「100年に一度の大変革期」を乗りこえるには、さらに投資をしていかなければなりません。実際、19年3月期の設備投資と研究開発の合計は、2兆4600億円にのぼる見通しです。

増え続ける投資額に、トヨタは強い危機感を持っていると見ていいでしょう。

つまり、膨らみ続ける投資額に見合うだけの利益を稼がなければならないということですね。

「社員全員が原価意識を持つことで、体質をもっと筋肉質にしたい」
と、会見の席上、副社長の小林耕士氏は述べました。

求められるのは、これまで以上のコスト削減によって収益力を高めることです。トヨタの毎年の原価低減は3000億円規模に達しますが、それでもトヨタは満足していません。

「6000億円くらい原価低減できれば」と、小林氏は述べました。

小林氏は、コスト削減による収益力強化の具体例について、さまざまな事例を持ちだして説明しました。

例えば、「試作費」です。クルマを開発する際に必要となる試作費を、やり方を変えることによって3分の一に減らしました。

また、小林氏は、「すべては人材にかかっている」と述べたうえで、社員の〝能力向上マップ〟の作成を進めていると語りました。各部署でどういう能力をつけるべきか、足らざる部分を明らかにし、確実にその能力がついているかどうかの進捗状況をチェックしていこうというんですね。

このほか、事業所で使う事務用品の購入を抑えることなど、具体例は仔細に及びました。

業績好調でも、トヨタはまったく安心していないんですね。それよりも、自動車業界の大変革期をいかに勝ち残るかに意識が向けられ、これまで以上の強い危機感が感じられましたね。

豊田章男さんは、「自動車をつくる会社から〝モビリティ・カンパニー〟」へのモデルチェンジを宣言しています。

トヨタが描く将来像を実現するためにも、トヨタのお家芸「カイゼン」を進め、収益力を高めていかなければならない。

当分の間、トヨタが緊張感を解くことはないといえるでしょう。

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