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コミケ一般参加有料化が持つ意味

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企業ブースの設置

 「アマチュアの祭典」として始まったコミケですが、企業との関わりも途中から始まっています。参加サークル向けに印刷会社による搬入や画材の販売が行われるようになり、一般参加者へのアピールを目的にした企業の出展は、1986年のC30で宮崎駿監督の『天空の城ラピュタ』とタイアップしていた味の素が、炭酸飲料『天空の城ラピュタ』のPRを行ったのが最初でした。

 当初、企業の出展は予備スペースが空いた際に行われるものでしたが、1996年のC51以降は企業ブースが設置されるようになります。これは、ビッグサイトで動線から外れた西館4階の利用を模索する中の試みでしたが、増大し続けるコミケ運営経費に対して、サークル参加費やカタログ代を出来るだけ値上げしないための策でもありました。

会議室から「東洋一」の展示場へ

 支出の面ではどうでしょうか。最初のC1では、日本消防会館の会議室の一室を会場にして開催されています。ところが、1980年代に参加者が急激に増加すると、当時の日本にあった展示場でコミケのキャパシティを満たせるものが無い状態になりました。しかし、1989年に当時「東洋一」の規模を誇った幕張メッセがオープンし、コミケはいち早く会場を幕張メッセに移しました。その後、一旦は事情により晴海の東京国際見本市会場に戻るものの、1996年からは現在の東京ビッグサイトに移り、それが20年以上続いています。

1996年以降、コミケの会場となっている東京ビッグサイト(Morio撮影)

 C1で利用した日本消防会館の会議室の費用は、当時の収支報告によれば21,500円でした。現在、コミケの収支報告は公表されてはおりませんが、東京ビッグサイト全館の4日分(準備日含む)の利用料は1億円を超えるとみられます。会場費は当初の5,000倍以上、ひょっとしたら1万倍になっているわけです。

自主警備からプロの警備へ

 大規模なイベントになると、警備は重要な問題になってきます。当初のコミケはスタッフによる自主警備を行っていましたが、コミケの規模拡大に伴い、警備セクションの役割が大きくなってくると、管理・規制を強化すべきという警備担当と、管理を嫌う準備会古参スタッフの間で対立が発生します。この対立は1981年に警備側の「クーデター」に発展し、コミケから離反するなど、コミケ史上でも特筆される事件となっています。

 それでも自主警備を貫いてきたコミケでしたが、1983年4月のC23からは警察指導を受け、警備会社のプロの警備員が関わるようになります。以降、コミケの拡大に伴う警備の拡大の他、発火事件や脅迫状といった問題もあってますます警備が強化され、近年のコミケでは警備費が大きな負担となっています。今年夏のC94では、警戒していた私服警官にスリ師が現行犯逮捕されるなど、盛り場ゆえの犯罪も起きています。

「東京五輪後」はどうなる?

 これまでで、コミケ拡大に伴う支出の増大に対し、安定的な収入源確保のための取り組みが行われてきた事を紹介しました。しかし、2019年のコミケは前述したように収入が減る反面、費用が増えると見込まれています。そして、『コミケットアピール』の記述によれば、リストバンドと有料化は2019年のみの措置に読み取れます。

 しかし、過去もコミケでは、1日開催だったものが2日間開催に、2日間が3日間に……と一度変わったら元に戻らなかった事が多々ありました。今回も2会場制を理由にしていますが、有料化やリストバンドによる入場が今後も続くことになるかもしれません。ただ、リストバンドのみの販売はこれまでカタログを買っていない一般参加者向けのようですので、従来からカタログを買って目を凝らしてサークルチェックしているような一般参加者は、負担的にはそう変わらないかもしれません。

 また、今回の準備会発表を受け、有料化の面が強調されて報じられています。しかし、これはあくまで私の推測ですが、チケットやカタログ提示ではなく常時装着可能なリストバンドによる入場チェックを行うということは、将来的に色分けやICタグによって、年齢制限エリアを設けるなどのゾーニングを見据えているのかもしれません。

コミケにおける「参加者」

 今回話題になったのは、一般参加者に対する料金の徴収です。しかし、そもそもコミケにおける「参加者」とはなんでしょうか? 一般的にモノを買う側は「客」と呼ばれており、コミケで作品を購入する一般参加者は「客」に見られがちです。しかし、コミケではサークル参加者、一般参加者、準備会の3者を「参加者」と位置づけており、その関係は対等のものとされます。つまり、コミケを行う者すべてが「参加者」であって、「客」はいないのです。

一般参加者待機列と列整理する準備会スタッフ(筆者撮影)

 一般参加者はこれまでも作品を購入することで間接的にコストを負担しています。その一般参加者から参加費を徴収するということは、「参加者」として直接的な負担を求めている、と言えるかもしれません。これは参加者としての「応分の負担」として続くのか、それとも一時の窮余の策で終わるのか。参加者のひとりとしても大変気になるところですが……。

【参考】

コミックマーケット準備会『コミックマーケット30周年史『コミックマーケット30'sファイル』』

岡安秀俊、三崎尚人「コミックマーケットにおける理念の変遷と機能」『コンテンツ文化史研究6号』所収

【写真】

Morio撮影の東京ビッグサイト(CC-BY-SA-3.0)

※Yahoo!ニュースからの転載

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