- 2018年11月07日 10:30
コミケ一般参加有料化が持つ意味
1/2コミケ一般参加の有料化?
2019年に開かれる同人誌即売会コミックマーケット(コミケ、コミケット)で、一般参加の有料化が予定されていることが話題になっています。
2019年のコミックマーケット96・97について、有料化を予定していることを、準備会の共同代表がサークル向けの冊子「コミケットアピール」で明らかにしました。
コミックマーケット96・97は東京五輪の影響で4日間開催になり、会場は有明と青海にまたがることに。2つの会場を参加者が行き来することから、リストバンドによる参加者の識別を予定。サークル通行証をリストバンド化し、カタログを購入しない一般参加者にはリストバンドを購入してもらうとしています。
一般的に同人誌即売会では、主催者が発行するカタログが入場券を兼ねています。カタログを一般参加者に販売した売上と、サークル参加者から徴収する参加費を、主催者は即売会の運営費用に充てています。しかし、現在のコミケではカタログの購入はあくまで任意で、必須ではありません。それを来年は通行証をリストバンド化し、一般参加者に購入してもらうことを予定されています。
その理由として、東京五輪の影響で4日間2会場制にしても使えるスペースが減少するため、サークル参加費や企業ブース、広告による収入が減少する反面、警備費といった経費が増加する事を挙げています。そのため一般参加者にも負担を求めることにするようです。
40年以上の歴史を持ち、今や年間延べ100万人以上が参加する巨大イベントとなったコミケ。今回の一般参加有料化は、ある種の転機となるかもしれません。しかし、コミケの運営形態はこれまでもその規模の拡大や時代の変化とともに、変わっていったのもまた事実です。今回はその変化のうち、今回の有料化の理由に関係するものを取り上げ、今回の有料化がどう影響を及ぼすかについて考えてみたいと思います。
「カンパ」扱いで始まったカタログ販売
来年の有料化では、カタログを購入しない参加者にリストバンド購入をしてもらうとされています。このコミケカタログとは、どのようなものでしょうか。
1976年に開かれた最初のコミケ(C1)は、参加サークル32、参加者数は推定700人とされています。この時の収支報告が公表されていますが、収入51,600円のうちサークル参加費が6,600円で、最大の収入源がカンパ及び連絡委託費の14,000円。まだカタログもなく、一般参加者から入場料を取ることもないイベントで、サークル参加費では費用を賄えきれずにカンパや準備会のポケットマネーで支えている状況でした。

コミケは慢性的な赤字が続いていましたが、1982年8月のC21になるとサークルリストと配置図をまとめたカタログを1部100円で販売を始めます。この時も強制ではなく、「一般参加者の方々のカンパ協力を、このパンフで!」とカタログで呼びかけられており、カタログ購入がカンパになっているという形でした。現在もカタログ購入は強制ではないのですが、一般待機列に並ぼうとすると、カタログを持っていない参加者は販売所へ誘導されるよう動線が組まれていたあたりに、やっぱり買って欲しいという本音が見え隠れしています。