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焦点:「トランプ再選戦略」に狂い、経済の勢い鈍化で


Howard Schneider

[ワシントン 2日 ロイター] - トランプ米大統領の目論見では、減税や歳出拡大で再選へのスムーズな道筋が整ったはずだったが、10年来の景気回復に陰りが見え始めた点からすると、当てが外れてしまったかもしれない。

9年にわたって強気相場をおう歌してきた米国株は足元で低迷している。設備投資は、減税で高まるとの期待があったにもかかわらず最近は弱含み、住宅販売は数カ月軟調が続く。そしてトランプ氏の打ち出した景気刺激効果がはく落するとともに大きくなった債務負担だけが残り、景気は減速するだろうというのが専門家の見通しだ。

6日の中間選挙に向けて、上下両院の共和党候補はトランプ氏の不人気がたたり、本来なら有利な都市近郊地域で劣勢を強いられ、今の経済の強さを武器に何とか挽回しようと苦闘している。しかし2020年の大統領選に目を向けた場合、トランプ氏もしくは別の共和党候補は景気減速と不安感の増した市場という逆風に見舞われ、選挙戦はもっと厳しくなるだろう。

ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティテュートのアナリスト、スコット・レン氏は、10月に株価が急落した理由として企業利益の持続可能性を巡る疑念や貿易摩擦、世界経済の減速を巡る不安を挙げた上で、景気サイクルが終盤を迎えるとともに心配はより大きくなるのが常だと指摘した。

米経済は2009年6月に「グレートリセッション」が終了した後は、ほぼ着実な成長を続け、所得や雇用は危機前の水準を取り戻した。とはいえ、トランプ氏は昨年1月の大統領就任以来、減税や強硬的な通商政策など自らが導入した路線のおかげでオバマ政権時代から成長がさらに加速したと主張している。

確かに失業率は50年ぶりの低さとなり、今年の成長率は3%ないしそれ以上と、トランプ氏が公約で示した目標に達する勢いだ。

しかし多くの専門家は、米経済が今のペースを続けられるか疑問視するとともに、トランプ氏の政策効果による成長押し上げは限界に達したとみなす。

トランプ氏自身も懸念を覚えているように見受けられ、最近は米連邦準備理事会(FRB)に矛先を向けて利上げが景気後退を危険にさらしているとの批判を繰り返している。

一方FRBによると、米経済は巡航速度に落ち着き、成長率は今年見込みの3.1%から来年には2.5%、大統領選挙がある20年には2%まで鈍化が予想される。金利水準はまだ投資や消費を促せるほど低いものの、トランプ氏の政策効果が消えてしまうのが理由だという。

ゴールドマン・サックスなど民間機関は、データ面でそうした事態が起きる兆しを既に発見している。

同社のアナリストチームは、第3・四半期の成長率は3.5%という強い数字になったが、住宅や機械設備、商業ビルなどの投資が弱まったことで全般的に失望を招いたと分析した上で、このデータは米成長率が緩やかに減速するというゴールドマンの見通しと整合的だと付け加えた。

トランプ氏にとっては、不安の種は景気後退が起きる可能性というよりも、自分が選挙で約束してきたほど結果を残せていないことなのかもしれない。

例えば1年間だけ3%成長になったとしても、米国の成長率をこの水準より高められる、もしくは維持できるという発言を実現したことにはならない。

通商政策についても新聞の見出しをにぎわせているが、経済に及ぼす効果となるとはっきりしない。輸入関税によって米国の鉄鋼メーカーは生産を増やし、より多くの人を雇っているかはっきりしない。ただ、各国からの報復措置を受け、農産物輸出は落ち込み、一部企業は雇用を海外に移している。

トランプ政権が過去の通商協定が米国の貿易相手国ばかり有利にしている証明だと指摘する貿易赤字は、政権発足の年に10%増え、今年も同じような伸びになりそうだ。

何より株式市場が、トランプ氏再選への経済的な課題を最も適切に象徴しているのではないだろうか。

S&P総合500種は2016年の大統領選以降で約30%上昇し、トランプ氏が自画自賛してきた。ところが今年10月だけで8%近く下がり、企業利益の伸びがこの先も続いていくのかといった懸念が映し出された。

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