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中間選挙後もトランプ政権が中国との貿易戦争を減速させないとみられる理由

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 世界が注目するアメリカ中間選挙で、たとえ民主党が下院の過半数を獲得する「ねじれ」が生まれたとしても、中国との貿易戦争にブレーキはかからないとみられる。通商は他のテーマと比べても、トランプ政権と民主党が折り合いをつけやすい分野だからである。

通商に関しては折り合いがつけやすい

 世界の行方を左右する11月5日のアメリカ中間選挙を前に、多くの観測では連邦議会上院の過半数を共和党が、下院の過半数を民主党が、それぞれ獲得するとみられている。いわゆる「ねじれ」が生まれれば、トランプ政権のブレーキになると期待するひともあるかもしれない。

 しかし、上下両院で共和党が勝利した場合はいうまでもないが、大方の予想通り「ねじれ」が生まれたとしても、トランプ氏がこれまでの強気を引っ込めることは想定しにくい。

 「反エリート」のイメージでのし上がったトランプ氏にとって、議会や民主党に忖度する姿勢をみせることは難しい。そのうえ、これまでトランプ大統領は、イスラーム諸国からの移民の入国制限や特定の国に対する関税引き上げを、議会の法案作成を待たず、大統領令で行ってきた。



 そのため、選挙結果がどうなろうと、内外に対するトランプ政権の強気は基本的に維持されるとみてよいが、それでも「ねじれ」が生まれれば、議会の空転を避けるため、共和党と民主党の間で交渉や妥協が避けられなくなる(アメリカ連邦議会では上下両院での可決がなければ法案が成立しない)。

 そのなかで医療制度、イスラーム過激派対策、移民、女性やマイノリティの扱い、税金などその他の多くのテーマに比べて、通商、とりわけ中国との貿易戦争は、共和党と民主党が折り合いをつけやすい、少なくとも民主党から激烈な批判を招きにくい分野といえる。

 そこには、大きく2つの理由がある。

・もともと民主党の通商政策は共和党より保護主義に近いこと
・アメリカでは対中関係における問題のうち貿易があまり重視されていないこと

一周回って民主党寄りのトランプ政権

 まず、民主党の伝統的な通商政策からみていこう。

 トランプ氏は「グローバル化を推し進め、アメリカを弱体化させた元凶」として民主党を名指しすることが多い。しかし、伝統的にアメリカにおいて自由貿易を強調してきたのは、むしろ大企業や南部の農家に支持が厚く、「小さな政府」や規制緩和を信奉する共和党で、都市住民に支持者の多い民主党は、産業育成などの目的から保護主義の傾向が強い。

【参考記事】米中貿易戦争が示すアメリカの黄昏―「アメリカが生んだ秩序」を壊そうとするトランプ政権、利用したい中国

 実際、例えば世界恐慌(1929)後に保護貿易をともなうニューディール政策を実施したF.ローズヴェルト大統領は民主党出身だった。また、1974年に連邦議会がアメリカ政府に「不公正な取引を行う国」との協議とそれが難しい場合に制裁を求める内容の通商法301条を成立させた時、上下両院で議席の過半数を民主党が握っていた。



 これに対して、伝統的に自由貿易の色彩が強かった共和党は、今回の中間選挙で多くの候補がトランプ氏の応援を受けたことで、全体的に保護主義に向かいやすくなっている。ロイターの調査によると、10月末の段階で共和党支持者の約80パーセントはトランプ政権の通商政策を支持している。

 こうしてみたとき、民主党にとって医療制度、移民受け入れ、女性やマイノリティの扱いなどで譲歩することはできないが、保護主義的な通商に関しては、共和党との間でイデオロギー的なギャップが小さくなっているといえる。

貿易問題の目立たなさ

 第二に、中国への警戒で共和党と民主党の間に大きな差はないうえ、貿易がさして重視されていないことだ。

 基本的に保護主義に理解があるとはいえ、先程のロイターの調査によると、民主党支持者の間ではトランプ政権の通商政策への不支持は73パーセントにのぼる。そこには、一方的な関税引き上げなどの手法に対する批判があるとみてよい。

 ただし、多くのアメリカ人にとって貿易は対中関係で最も重要なテーマではないピュー・リサーチ・センターによると、2018年春の段階で58パーセントの回答者が「中国の経済力はアメリカにとっての懸念」と回答しているが、その「懸念の内容」に関する質問で「とても深刻」の回答が最も多かったのは「中国によるアメリカ国債の購入」(62パーセント)で、これに「サイバー攻撃」(58パーセント)、「中国による地球環境へのインパクト」(51パーセント)、「中国への雇用の流出」(51パーセント)と続き、「中国に対する貿易赤字」は48パーセントに止まった。

 つまり、アメリカ人の多くにとって対中関係における貿易の優先順位が低いことは、「注目されにくさ」をも意味するため、民主党にとって折り合いをつけやすくする。

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