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携帯大手3社の業績は上々

携帯大手3社の経営に政府がちょっかいを出した。「料金が高すぎる」というわけだが、このちょっかい、あまり筋がいいとは言えない。とはいうものの、3社の株価推移を観察すると、政府がちょっかいを出したくなるのにも一理ありそうだ。

政府が口出す少し前から、別の案件で日本の大企業の株価推移を分析していた。2008年9月15日のリーマンショックから10年が経過し、その間に企業ごとの株価がどう推移したのか、どの企業が駄目で、どの企業が躍進したのかの分析である。

すると、リーマンショックの直前、2008年8月末の時価総額上位20社のうち、10年後の2018年8月末現在、市場平均(東証株価指数、TOPIX)よりも株価が上昇していたのは(正確に書くと、配当を含めた投資収益率が、配当込みのTOPOIX以上だった企業は)3社しかなかった。この3社とは、トヨタ、NTT、NTTドコモである。

ついでに書いておくと、2008年8月末の時価総額上位20社はそうそうたる名門企業が多い(名前は出さないが、多くは誰もが知る企業であり、経団連の主要メンバー企業も多い)。その企業の平均株価上昇率はマイナス1.6%、つまり毎年1.6%ずつ下がっていた。何とか配当で、この値下がりをカバーしていたにすぎない。

本題に戻ると、残念ながら当時のKDDIとソフトバンクは時価総額上位20社に入っていなかった。

別の観点から、10年前に1円投資したものが10年後に3円以上、つまり3倍以上になった、そんな素晴らしい企業をピックアップしてみた。ちなみにTOPOIX(配当込み)に投資したのなら、10年間に1.7倍になった計算である。すると13社あった。その中にKDDIとソフトバンクが入っている。

以上の結果からすると、10年間、携帯大手3社に投資することが大正解だった。(失礼ながら)KDDIとソフトバンクにシェアを奪われたNTTドコモでさえ10年間で、配当を含めると2.4倍になっている。何故なのか。

当然、利益が増大したに違いない。念のために調べると、2008/3期から18/3期までの10年間、営業利益ベースで、NTTドコモが1.2倍、KDDIが2.4倍、ソフトバンクが4.0倍になっている。ソフトバンクの足元の業態は急速に変化しているものの、標準的なKDDIの2.4倍が目を引く。やはり携帯事業の業績が伸びた証拠である。

日本の携帯3社の特徴は、スマホと通信のセット販売である。スマホの代金を極端に安く見せかけ、その値引き分を通信料金で埋め合わせている。多分(推測だが)、スマホの代金も業者と提携していて、安く仕入れているのだろう。スマホメーカーとしても、携帯3社が大量に仕入れてくれるのなら、多少安くしても十分ペイする。新規製品がどんどん売れることを加味すれば、うれし涙があふれるに違いない。日本市場がいいカモだったとも言える。

スマホの利用者は、「タダより高いものはない」との格言的な言葉を思い出さないといけない。スマホをタダもしくはそれに近い値段で提供してもらえることを、単純に喜んではいけない。確実に裏がある。

今回、ドコモが、スマホと通信料金の分離を打ち出した。どこまで進むのか、見てみたいものだ。利用者は、スマホの利用年数を考慮しつつ、契約をどうするのか考えるべきだ。これが本来のあり方なのだが。

注:僕のスマホは、何回か書いたようにSIMフリーの機器であり、携帯3社との契約ではない。回線はNTTドコモのものを借りているようだが。

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