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共働き家庭が直面する「小1の壁」 多岐に渡る調整で仕事を辞めざるを得ないという声も

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共働き家庭が直面する「小1の壁」をご存知だろうか。朝から夜まで慣れた場所に預けることができた保育園時代に比べて、放課後の過ごし方が難しくなり、生活習慣や宿題などのフォローも必要になる。ただ、一言に「小1の壁」と言っても、子どもの性格や友達関係、親の職種などにより直面の仕方は家庭によりそれぞれだ。

私が運営しているカエルチカラ・プロジェクト(目の前の課題を変えるための一歩を踏み出せる人を増やすことを目指す)言語化塾では、女性たちに日頃感じているモヤモヤを言葉にして整理してもらっている。カエルチカラ言語化塾の参加者、ようこさんの場合、お子さんが医療ケアを必要とし、前後で親側の転勤が発生した。複雑に様々なトラップが押し寄せたご自身の「小1の壁」経験をまとめてもらった。

子どもが小学生になって仕事を辞めざるを得ないという声

写真AC

「出産では辞めず、保育園生活中も仕事で成果を出してきたからこそ、小学生になってから仕事を辞めた」こういった話は周りに溢れている。

「時短制度が未就学児までで、19時までの学童のお迎えに間に合わず続けられなかった」
「学童の食物アレルギーの対応範囲と、小1の子どもだけで対応可能な範囲が合致しなかった」
「保育園には看護師さんがいたことで与薬できたが小学校では親の付き添いが必須だった」
「3月半ばや末に夫または自分の異動や転勤が発令され子どものサポートを含む転入先(学童やファミリーサポートなど)が確保できなかった」

…。23区在住者で知り合いだけでもこうした話を聞いたのは20人をくだらない。小学校に入ってからも、4月、5月までは継続勤務していたが、6月や、夏休み明けなどに子どもの小学校生活への適応が難しく仕事を辞めたというケースも聞いた。 保育園から小学校への変化が共働きの障壁となっている事例は2018年の今も複数存在している。

妊娠時から意識する「小1の壁」

私が「小1の壁」を初めて認識したのは、男性上司に妊娠報告をした2011年春。上司といくつか話をした中で、はっきりと覚えている言葉がある。

「どっちかの両親はこっちに引っ越せるのか?保育園までは何とかなっても小学校がまわらなくなるぞ」

男性上司は当時時点でも珍しい共働き3児の父で、子育てのために妻側の実家に近居していた。仕事上大変に尊敬していた方でもあり、この方が言うのであれば真剣に考えた方が良いと感じた。

同時に、「小1の壁」に祖父母力は必須なのだという前提に、身の引き締まる思いだった。私と夫には頼れる親族はなく、夫婦二人でなんとかしなければ、と2011年春の妊娠当時は思った。その後、産まれた娘は医療ケアが必要で、保育園時代は様々に周囲に頼りながら仕事と育児を両立してきた。が、「小1の壁」はやはり高かった。

自治体が想定する”家族モデル”に合致しないという問題

2011年当時、夫と私の核家族が住んでいた東京都江戸川区は、0歳児の区立認可保育園がないことでも、公立学童保育でおやつがなく持ち込みができないことでも有名だった。自治体として歓迎している家庭モデルがあり、そこに合致する人を優先する、という“正しい“地方分権モデルである。

保育園、幼稚園はもちろん、義務教育である小学校、中学校も、自治体により諸制度は多様であり、かつ場合によっては年々変わる。それぞれの自治体、園、学校を確認し、家庭環境に応じた場所を選ぶ。選べる側からすれば理想的なことなのかもしれない。

残念ながら、我が家の理想は江戸川区が歓迎している家庭モデルとは異なるようであったため、小学校を機に我が家の理想のモデルに近い自治体への転居を考えた。

「小1の壁」への具体的な行動を始めたのは、子どもの入院通院がひと段落した2歳の頃だった。2013年当時、「小1の壁」も学童不足も既に叫ばれていて、学童探しは年中、年少からという声が聞こえてもいた。

我が家の場合、与薬が必要かつアレルギー対応が必要な医療面と、発熱から発症した急性脳症既往への療育面からも、個別対応が必要であった。2013年当時は、医療的にもガイドライン的にも明確な指針が出ている食物アレルギーのエビペン対応でさえ、実際の現場となると難しい側面を残している頃だった。

具体的には以下が「小1の壁」になり得た。

1.保育園では医師からの与薬指示書を渡すことで先生方に与薬いただけたが、小学校および多くの学童では子ども自身がするか、与薬可能な誰かが付き添う必要があった。

2.保育園ではアレルギーに影響しない間食の提供があったが、当時居住していた自治体の公的学童では持ち込み含め対応不可であり、勤務を続けるには民間学童が必須だった。

3.療育上重要な粗大運動の時間が保育園では確保できていたが、小学校+放課後デイサービス+民間学童の組み合わせでも不足する見込みである。

4.遊びを重視して乳幼児生活を回してきたため、教育が主となる時間が日常に増えることで親の方がついていけない可能性がある。

子どもが2歳から4歳までになる間、スキマ時間で、23区内の学童見学や学童経営勉強会の見学を重ねた。保育園や幼稚園検討の時にも感じたことではあったが、公的学童自体の自治体差はもちろん、公立小学校自体の違いも多くあった。

結果として我が家の「小1の壁」となり得る要素を払拭する選択肢自体は見つかった。ただ、この過程で、私は言いようのない、もやもやを抱えるようになった。

2013~2016年のいずれでも、冬頃に、年長さんの保護者の方から、仕事を辞めることにしたという話を聞いた。

・就学前健診時点では問題ないと言われたのに、入学後、与薬が必要であれば本人または保護者でないといけないと言われた。与薬が必要な事態になっていれば本人が自分でできる状態であるはずはない。それでは保護者が付き添わないといけないということか。

・21:00まで空いている民間学童が自宅付近にない。19:00までに迎えに来るとなると時短取得が必要だが、制度が未就学児までしかない。今の勤務先は続けられない。

・小学校と自宅が近いことから、小学校の学童で鍵っ子予定だったが、来年から学童は18:00を過ぎると一人で下校ができず、お迎えが必要。18:00-19:00の1時間のファミリーサポートさんやベビーシッターさんが見つけられなかった。

もう少し制度を早く知ることができたら。「小1の壁」を理由に、退職したくなかったのに退職した、という人の話を聞く度にそう感じた。同時に、マイノリティである以上は、先手先手で探し、制度変更が起きてもある程度は対応できるように準備することが必要なのだと感じてもいた。

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