- 2012年03月08日 11:08
Apple、「The new iPad」「新Apple TV」を発表 -- より完成された製品に
3月7日、AppleはサンフランシスコでiPad関連イベントを開催した。この日発表されたのは、解像度が4倍になり処理スピードが2倍になった「The new iPad(新しいiPad)」や、1080pに対応した「Apple TV」、iPhone、iPad、iPod touchを対象として「iOS5.1」が発表された。
画像を見る
ティム・クックは「ポストPC革命について話したい」と最初に切り出した。
「もはやPCは世界の中心ではない」とし、いま求められているのはPCよりもポータブルでパーソナルであることだと述べた。Appleは既にiPod、iPhone、iPadという製品があり、Appleがその最先端にいることを強調した。
そして、2011年Q4のAppleの売上高のうち、76%はiPod、iPhone、iPadの3つのデバイスからのものであることを明かした。
先日下記の記事でも紹介したが、実際アップルは昨年モバイルPCの分野においてHPから首位を奪取しており、ポストPC革命をAppleが牽引していることは紛れもない事実だろう。
デスクトップPC時代の終焉、HPがパソコン事業の分離を検討する中AppleがモバイルPCのシェアを奪取
そして、「新しいiPad」の紹介へと移る。
「The new iPad(新しいiPad)」を発表
iPad3と見られていた次期iPadは「The new iPad」という名称で発表された。日本のサイトでは「新しいiPad」と表記されている。なぜあえてこの名称にしたのかは興味深いところだが、その理由は皆目見当がつかない。極めて呼びづらい名称であることは確かだ。
噂されていた7インチモデルの発表はなく、「新しいiPad」は予想通りハードウェアをしっかりとスペックアップさせてきた。主なところでは、iPad2の4倍の解像度となる「Retina Display」を搭載し、2倍のスピードとなるクアッドコアグラフィックスを搭載したA5Xチップを採用、カメラも1080pのHDビデオが録画可能になった。
ソフトウェア面での新たな機能としては「音声入力」が可能になっており、日本語にも対応している。どの程度の精度で聞き取ってくれるかが気になるところだ。
発表された特徴としては以下の通りだ。日本はいまのところ対応しないようだが、4G LTEにも対応している。KDDIからも「新しいiPad」が発売される噂があったが、いまのところこれまで通りソフトバンクのみでの販売のようだ。
・Retina Display(従来の4倍の解像度)
・解像度は2048×1536、彩度が44%向上
・クアッドコアグラフィックスを搭載したA5Xチップ(従来の2倍のスピード)
・5メガピクセルの iSight Camera
・1080pのHDビデオ録画に対応(自動手ぶれ補正機能対応)
・音声入力(Voice Dictation)に対応(日本語も対応)
・4G LTEに対応(米国AT&T、Verizonなどで対応。キャリアの対応が必要)
・パーソナルホットスポットに対応(テザリング機能、最大5台まで。キャリアの対応が必要)
・バッテリーの持続時間は従来モデルと同様10時間(4Gは9時間)
・9.4mmと0.6mm厚さがアップし、50gほど重くなった
・ホワイトとブラックの2色
・価格は42800ena円から
・3月16日発売(本日より予約開始)
iOS 5.1発表
iOS5.1も発表され、本日よりダウンロード可能になっている。大きなところではSiriの日本語対応があげられる。もちろんiPhone4Sのみの対応で、段階的に利用可能になるようだが、すでに使用可能ではあるようだ。- Siriで日本語をサポート(段階的に利用可能に)
- フォトストリームから写真を削除可能に
- ロック画面にカメラのショートカットが常時表示されるように
- カメラの顔検出機能で検出されたすべての人がハイライトされる
- iPad用のカメラAppを再設計
- iTunes Match登録者用のGenius MixとGeniusプレイリスト
- iPadのテレビ番組と映画のオーディオがより大きく明瞭に聴こえるように最適化
- 再生速度の変更と30秒の巻き戻しが可能なiPad用のPodcastコントロール
- KDDI登録者向けのFaceTimeおよびiMessageのサポートを追加
- バッテリーの寿命に影響するバグを解決
- 発信側の音声が途切れることがある問題を修正
Apple TVを発表
これも噂通り、新たな「Apple TV」が発表された。1080pに対応したことがすべてだが、これにあわせユーザーインターフェースも刷新している。- 1080pに対応
- 3月16日販売(本日より予約開始)
Appleの純正アプリも刷新。新たに「iPhoto」が追加
iWorks、Garageband、iMovieをアップデートし、新たにiPhoneがラインナップに加わった、iPhotoは写真編集が直感的に可能で、全体の色味や空の色味を指の上下で調整したり、顔だけなぞって明るく補正したりすることが可能だ。デモを見る限りかなり面白いアプリに仕上がっている。さらに、「フォトビーミング」という、共有Wi-FiネットワークやBluetoothを使用して、ほかのiOSデバイスに写真を転送できる機能もある。これは便利そうだ。
その他の面白い部分を紹介すると、Garage Bandは「Jam Session」という新機能が加わっており、最大4台のiPadをBluetoothまたはWi-Fiで接続して、セッションを楽しむことができる。もちろん録音が可能で、その場で再生も可能だ。
画像を見るiPhoto 画像を見る
カテゴリ: 写真/ビデオ
価格: ¥450
画像を見る
今回の発表に決して派手さはなかったが、着実にハードウェアとソフトウェアの完成度を高めた内容になっている。私は正直iPad2で解像度も処理スピードも不満がないぐらいなので、新しいiPadはかなり快適であることが想像できる。
ほとんどの予測可能な大きな改良が今回行われたので、iPadの購入を迷っている方は購入タイミングとしてはかなり良いのではないだろうか。正直これ以上何を改善するのかが、Appleにとっての課題になるかもしれないと心配してしまうほどである。
ほかのタブレット端末を一気に突き放しにかかる「新しいiPad」は果たしてどの程度市場に受け入れられるか注目である。
イベントの動画は下記で視聴可能だ。
http://events.apple.com.edgesuite.net/123pibhargjknawdconwecown/event/