第二条では、これにおいて「両国は請求権問題の完全かつ最終的な解決を認める」と明記されています。
第二条 両国は請求権問題の完全かつ最終的な解決を認める
両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。(以下省略)
データベース「世界と日本」(代表:田中明彦) より
http://worldjpn.grips.ac.jp/documents/texts/JPKR/19650622.T9J.html
この第二条は極めて重要です。
これにより韓国人徴用工などへの補償は韓国政府が行うことになったのです。
これは2005年にも当時の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権が、日本が当時支払った無償3億ドルの経済協力に請求権問題を解決する資金が含まれている、徴用工問題は韓国政府が担当すべきである、との見解を示しています。
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さて速報が入りました、30日付け産経新聞電子版記事から。
元徴用工へ賠償命令 韓国最高裁が新日鉄住金に
2018.10.30 14:18
【ソウル=桜井紀雄】日本による朝鮮半島統治時代に「強制労働させられた」として、元徴用工の韓国人4人が新日鉄住金(旧新日本製鉄)に損害賠償を求めた訴訟の差し戻し上告審で、韓国最高裁は30日、同社に原告1人当たり1億ウォン(約1千万円)の賠償支払いを命じる確定判決を言い渡した。
日本政府は請求権問題が1965年の日韓請求権協定で解決済みとの立場で、同社も同様の主張をしたが、これを退けた。今後、同様の判決が相次ぐ恐れがあり、日韓の外交・経済関係への多大な影響は避けられない。
https://www.sankei.com/world/news/181030/wor1810300025-n1.html
戦後の日韓関係の土台を成してきた『日韓基本条約』に対する明確な条約違反の判決が韓国最高裁で出されました。
韓国政府も認めてきた『日韓基本条約』で「両国は請求権問題の完全かつ最終的な解決」をみたことを、事実上覆して韓国最高裁は、新日鉄住金(旧新日本製鉄)に一人当たり1000万円の損害賠償を命じたのです。
53年前に日本政府は国家対国家として韓国政府に巨額なお金を援助し、それをもって「請求権問題の完全かつ最終的な解決」をしています。
請求権問題で、徴用工に個別対応する責任は韓国政府にこそあります。
有り得ない判決です。
現在、徴用工裁判は韓国で15件原告約1000人が多額の賠償支払いを求めています。
さらには、徴用工約22万人が1000万円の賠償支払いを起こしたら、最悪2兆円超の金額になります。
日本政府は今回の国際法規を無視した韓国最高裁判決に対して、1965年『日韓基本条約』付帯協定の経済協力協定違反で国際司法裁判所(ICJ)に提訴すべきです。
ICJ提訴の場合、日本とは違って韓国は「自国を当事者とする紛争が生じる場合、裁判に無条件に応じる」というICJの強制管轄権関連の選択議定書に加入していません。
なのでICJに提訴しても韓国側の同意がない限り裁判権が自動的に発動するのは難しいです。
それでも提訴し、韓国最高裁の明白な国際条約違反判決の異常さを世界にアピールしていくべきです。
またそれとは別に韓国政府に強く抗議し、経済面も含めた必要な対抗処置を準備すべきです。
なぜなら敗訴する日本企業にとって、これは深刻な経済問題だからです。
敗訴した日本企業が支払いに応じてしまったら、この異常な判決を認めたことになります。
あるいは敗訴した日本企業が支払いに応じなく韓国国内の日本企業の財産没収が強行された場合、海外邦人の財産を日本政府は指をくわえて守れなかったとの批判が起こることでしょう。
日本政府は韓国政府に強く抗議すると共にあらゆる対抗手段を検討すべきです。
韓国のすることとは関わらない、無視が一番との意見もあります。
残念ながら、韓国に対して安易に妥協したり無視したりすると、多くの事態は日本にとって最悪の展開を見てきました。
日本はこの異常で非常識な韓国最高裁判決に対し、安直に妥協したり無視したりすべきでありません。
強く抗議し必要な対抗措置を速やかに準備・実施すべきです。