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八方ふさがり

日本外交の基軸は、日米同盟です。だから、安倍総理はトランプ大統領との個人的信頼関係の構築に努め、「ドナルド」「シンゾー」と呼び合う蜜月ぶりを強調してきました。しかし、首脳同士の距離の近さが、国益の実現に直結するとは限りません。むしろ、米国にひたすら追随するだけとなり、日本外交の独自性を失ってしまったように思えます。

人類が直面している地球温暖化という大きな危機を、この夏の猛暑で誰もが経験しました。地球温暖化防止の「パリ協定」から温室効果ガス排出量世界第2位の米国が脱退と言った時、総理は何も物申していないのではないでしょうか。

トランプ大統領はエルサレムをイスラエルの首都として認定するとともに、米国大使館をエルサレムに移すことにしました。この決定により利益を得る者は誰もいません。イラン核合意からの離脱も日本の国益からは賛成できません。米国第1の「アメリカ・ファースト」というよりも、米国の孤立化「アメリカ・アローン」になりつつある愚行を、同盟国として戒めるべきではないでしょうか。

「アメリカとの2国間交渉には応じない。TPPに引き込む」と豪語してきた安倍総理ですが、先月、2国間FTA交渉をすることで合意しました。「協議が行われている間は、日本の自動車に追加関税が課されないことも確認しました」と強調していますが、交渉中に関税引き上げしないのは当たり前ではないでしょうか。

自動車及び自動車部品にも鉄・アルミニウムのような高関税が賦課されることは、断固阻止しなければなりません。自動車産業はわが国産業の4番バッターだからです。総理の決意と覚悟を問わなければなりません。

総理は「戦後日本外交の総決算」を、高らかに宣言しています。念頭にあるのは、北方領土問題と拉致問題でしょう。国民の関心の高い外交課題を政権浮揚の道具にしたい気持ちが見え見えです。是非成果を上げてほしいと思うのですが…。

9月12日、ロシアで開かれた東方経済フォーラムにおいて、プーチン大統領は「平和条約を結ぼう。今ではない。年末までに。前提条件なしで」と、突然提案しました。北方4島の帰属問題の解決を前提とする日本の方針と真逆の提案です。「引き分け」狙いだった柔道家・プーチンと22回も会談を積み重ねてきましたが、効果はなかったようです。習近平らの面前で意表を突く提案で「技有り」を取られ、直ちに反論できずさらに「技有り」。「合わせて一本」負けではないでしょうか。

北朝鮮をめぐる問題においても、米・韓などと北の協議が活発に行われる中、日本だけが孤立しているように映ります。そして、「蚊帳の外ではない」と叫びながら、蚊帳の外で飛び回っている一匹の蚊のようだと評する人もいます。総理は、「私自身が金正恩委員長と向き合わなければならない」と言及されましたが、首脳会談開催の確たる見通しがあるのでしょうか。拉致問題には具体的にどう対応するのでしょう。

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