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焦点:日銀オペ弾力化、国債入札翌日の買入後ずれも 金利自律形成促す


[東京 29日 ロイター] - 日銀は市場機能の改善に向けて、国債買い入れオペレーションの一段の弾力化策を模索している。具体策として、国債入札日の翌日の当該年限の買い入れを翌々日以降に後ずれさせることが、有力な選択肢の1つに浮上しているようだ。複数の関係筋が明らかにした。

入札から買い入れまでの期間を空けることで、市場の自律的な金利形成を促すことが狙い。日銀は実施するタイミングについて、金融市場の状況を踏まえて慎重に判断するとみられる。

日銀は7月31日の金融政策決定会合で、誘導目標を「ゼロ%程度」としている長期金利について「経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動し得る」と一定の変動幅拡大を容認すると同時に、国債買い入れを「弾力的に実施する」ことを決めた。

その後の市場は、0.1%以下での推移となっていた長期金利が0.1%を上回る水準で取引されている。金利上昇を受けて投資家層の広がりが観測されるとともに、米金利や株価動向への反応も以前よりはみられるようになった。日銀内では市場機能の改善に、一定の効果があったとの認識が広がっている。

ただ、国債買い入れ額が減少傾向にある中で、現在のオペは「市場を縛り過ぎている」(幹部)との声もある。このためオペの弾力化は、黒田東彦総裁が示した長期金利変動の許容幅であるゼロ%を中心とした上下0.2%程度の範囲内で、いかに市場の自律的な金利形成を促すかがポイントになる。

日銀内ではさまざまな方策が検討されているが、選択肢の1つとして国債入札日の翌日の当該年限の買い入れを翌々日以降にずらすことが浮上しているようだ。

現在は入札日の翌日にオペが設定されており、証券会社などが落札した国債をそのまま日銀に売却すれば、利ざやを得ることが可能。

いわゆる「日銀トレード」と呼ばれる取引だが、こうした市場機能とかけ離れた状態を緩和することで、多少でも経済・金融環境の変化を踏まえた取引につながることが期待できる。

もっとも、現在の市場は日銀トレードを前提に入札が行われ、金利が形成されている一面があることも事実。

入札翌日のオペを行わないことで、市場が不安定化する可能性も否定できない。毎月の国債買い入れの金額や回数、日程などを示す運営方針は、11月分が31日午後5時に公表されるが、実施のタイミングは市場環境をみながら慎重に検討する考えだ。

<日銀、入札日程の非公表化に慎重>

入札日程の公表を取りやめるのではないか、との声も一部の市場参加者から出ているが、現時点で日銀は慎重なスタンスを維持しているもようだ。

日程を非公表化した場合、国債買い入れオペが実施されるかどうかが、日々の注目材料になることは確実。市場のボラティリティーが高まる可能性はあるものの、その場合に「経済・物価情勢に応じた変動」とみることに日銀内には異論が少なくなく、当面は見送られる可能性が大きい。

日銀による長期国債の買い入れは、声明において「保有残高の増加額年間約80兆円

をめど」とすることが引き続き明記されているが、現在の買い入れペースを前提にした場合、1年後の年間増加額は30兆円台に縮小する見通しだ。

大規模な国債買い入れによって、日銀の国債保有残高は発行残高の40%超に達しており、金利上昇の抑制には、こうした「ストック効果」の影響が大きいとの見方を日銀は強めている。

このため、長い目でみた国債買い入れはさらなる減額が見込まれるが、物価2%目標の達成に時間がかかるとみられている中で、今後も高水準の国債買い入れが継続することは確実。イールドカーブ・コントロール(YCC)という市場を抑制する政策を進める一方、緩和長期化を見据えた市場機能の改善という難しい課題に日銀は直面している。

*一部で正しく表示されなかったため再送します。

(伊藤純夫 編集:田巻一彦)

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