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若手が魅せるチャレンジングなトリオ漫才 四千頭身はM-1ファイナリストに残れるか

9月、三人組コントの「ハナコ」がキングオブコント2018を制した。

BLOGOS編集部

それも含めて昨年あたりから、ネタ番組でレベルの高いトリオ芸人を観る機会が増えている。すでに現行メジャー組である「東京03」「森三中」「ロバート」「ジャングルポケット」「パンサー」「ブルゾンちえみwithB」以降の、ネクストトリオ芸人として控える面々が「ハナコ」も含めて以下となる。

・四千頭身   (2016年結成 ワタナベエンターテインメント)
・ハナコ    (2014 ワタナベエンターテインメント)
・トンツカタン (2013 プロダクション人力舎)
・ネルソンズ  (2010 よしもとクリエイティブ・エージェンシー)
・ジェラードン (2008 よしもとクリエイティブ・エージェンシー)
・GAG     (2006 よしもとクリエイティブ・エージェンシー)
・や団     (2004 ソニーミュージックアーティスツ)

各組キャリアの深浅はあるが、どのトリオもネタがいい。(そんな前フリから、トリオ芸人ブームが来るか!?…という勇み足な括りトピックに持っていくわけではないので、それを先にお断りしつつ…) まあ、昨今、トリオ芸人の存在を多々感じるのは、勇まず俯瞰すれば、単にお笑い芸人全体の分母が膨らんだことに拠るのだろう。

だがその結果、面白いトリオがある時期に、これだけ並んで待機することには興味が惹かれる。トリオは基本的に「ツッコミ1+ボケ2」という構造がベースとなる。その各バリエーションをそれぞれ堪能しながら、ここからどのトリオが次に抜け出すのか、または息長く活動し続けるのか。その視点で注目するのはありだろう。

3人組で漫才の道をゆく「四千頭身」

ワタナベエンターテインメントオフィシャルサイト

そして、この中で唯一、コントではなく漫才の道を行くトリオが「四千頭身(よんせんとうしん)」だ。四千頭身は結成3年、21歳2人と22歳1人という若手…なのだが、センスとスキルの両輪で既に十年選手と肩を並べるネタを連発している。そのフォーマットは多彩で、ネタごとに異なるルートを探索する、チャレンジングな姿勢が頼もしい。
< 2018年4月27日「ネタパレ」(フジテレビ)より 四千頭身 >

都築(立ち位置左側)「どうも~四千頭身です!お願いします!(しゃがみ&胸叩きのツカミ)」
石橋(右側)「あのう、突然なんだけどさ、ドライブしたいな」
都築「おれもドライブしたいよ」
後藤(センター)「・・・」
石橋「あ、じゃあ今ここでやっとこうか」
都築「そうね」
後藤「ドライブやっとくの?」
石橋「俺ら今からドライブするから。お前(後藤)はそこで見てて」
後藤「そんな悲しいことある?」

※(都築・石橋、二人ともハンドルを動かす仕草)

後藤「ん? これどっちが運転してんの?」
都築「(手上げて)こっちハンドル無かった~」
後藤「なに握ってたんだよー!」
石橋「(運転しつつ横向いて外を見てる)」
後藤「外見すぎ、前向いて危ないから!」 
都築「(石橋の前へ手を伸ばしてくる)」
後藤「おまえ駐車券とんな!こっちで取るから!」
石橋「(自分の脇の下を見ながら運転)」
後藤「脇見運転は意味違うよ」
都築「(後部座席にツバを吐く)」
後藤「ツバ吐くんじゃない、汚いわ!」
石橋「(窓から片手を出して合図)」
後藤「手信号?ウインカーどうしたの?」
都築「(上下に揺れ出す)」
後藤「お、砂利道がすごいな」
石橋「(アゴでハンドルをさばく)」
後藤「アゴだけで運転しないで」
都築「(腕を上げ、脇の下をかく)」
後藤「脇上げてかきすぎじゃない?」
都築・石橋「フォー!!」
後藤「前半にたたみかけんな!・・・・・・・前半にたたみかけるな。いやあるよ、そういうの。 たくさんボケてたくさんツッコむ、たたみかけるやつ。あれ前半にやる人いないから」
(後略)
左右交互にハイテンポでボケる二人をツッコみ倒して笑いを稼いだあと、漫才の高みを象徴するスキルに大ナタを振り下ろす。先人先輩が築きあげてきた到達点を、もはやいじる。その大胆な皮肉に笑い転げた。

攻めるボケの都築拓紀、引いてボケ嵩(かさ)を増す石橋遼大、二人をツッコむ後藤拓実。パッケージとして立つ三人のバランスに「洗練」という言葉が浮かぶ。このトリオで最初に目を引くのは、センターの後藤だ。小柄な背丈、黒い仏像のような風貌、地獄を見たのか悟りに達したのか虚ろで鋭い細眼、そしてツッコミなのに小声…なのだが発する言葉は看過しようのない求心力を帯びている。

後藤のキャラ筋を支流から上流に辿るなら石破茂か? ネタを書いているのは後藤だという。これらひっくるめて、後藤がどのようなプロセスで自身の笑いを育んできたのか興味深い。

そして上記の「前半にたたみかけるな」のネタは、派生した別ネタがあり、これがまったく違うパターンになっている。
< 2018年6月17日「にちようチャップリン」(テレビ東京)より 四千頭身 >

都築(立ち位置左側)「突然なんだけどさ」
後藤(センター)「うんうん」
石橋(右側)「・・・・・」
都築「おまえが今までしてきたツッコミの中で」
後藤「うん」
都築「いっちばん好きなツッコミってなに?」
後藤「一番好きなツッコミ? じゃあちょっとやっていい?」
都築「あ、ちょっと教えてもらっていい?」
後藤「・・・いや、前半にたたみかけるな!」
都築「ああ」
後藤「(観客に)知らない人たち、こういうのがあるんですね」
都築「ちなみにそれどんな時に使うのそれは?」
後藤「(略)藤井聡太君、15歳で七段でしょ、『前半にたたみかけるな!』って」
都築「ああ、そういう使い方をしてるの」
後藤「『前半にたたみかけるな』、好きですね」
都築「それ、いっちばん好きなんだ。じゃあきょうは俺と石橋でね、『前半にたたみかけるな!』みたいなツッコミができる、ショートコントをするから」
後藤「え?」
都築「おまえはそのショートコントに『前半にたたみかけるな!』みたいにツッコんでもらえばいいから」
後藤「なに?どういうことそれは?」
都築「やってけばすぐわかるから」
後藤「ショートコントに、『前半にたたみかけるな!』みたいにツッコむの?」
都築「そうそう やってけばすぐわかるから」
後藤「ホントに?」
都築「早速行くよ。ショートコント、柔道部!(コントへ)先輩、組み手取ってください」
石橋「おお、いいぞ(都築と組みあう)」
都築「(組みあうがすぐに離れて、床から何かをはがす)ビリビリビリ(はがしたものを頭上から石橋に向かって投げつける)」
石橋「(何かが当たって)うわ!」
都築・石橋「・・・・・・・・・」
後藤「うん?・・・先輩にタタミ投げるな!」
都築「正解!」

(後略)
現在、四千頭身はM-1ファイナリストを目指して、準々決勝に名を連ねている。二人組以外でM-1の決勝を踏んだのは五人組だった「ザ・プラン9」(2006年)のみ。その視点でも三人組で初めてM-1決勝に立つ日の期待がかかる。

これは、シャレ全開のフレーズだったが、四千頭身は自身がパーソナリテイーを務める「オールナイトニッポン0(ZERO)」(2018年10月18日放送)で、「今年のM-1は俺たちが優勝って、もう決まっているんですけどね」と吹いていた。もしこれが現実になった時には、この放送が伝説に繰り上がったりするのだろう。

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