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安田純平氏、拘束直前に「幻のスクープ原稿」を書いていた

3年前に「スクープ資料」を持っていた(時事通信フォト・ハタイ県提供)

会見で涙する、安田さんの妻で歌手のMyuさん(8月。時事通信フォト)

 2015年6月にトルコ経由でシリア入りした直後に行方不明となり、その後、現地のイスラム武装勢力に拘束されていたジャーナリストの安田純平氏が解放された。拘束されている間にどんな生活を送っていたのかが注目されているが、実はその安田氏は、拘束される直前、本誌・週刊ポストにある記事を寄せていた。

 原稿は日本からトルコに立つ前にほぼ完成しており、あとは現地の最新情勢を加筆する段取りになっていたが、そのタイミングで安田氏は「囚われの身」となり、連絡は途絶えた。

 その記事は、当時イラクやシリアで勢力を拡大していた「イスラム国(IS)」の内部資料を扱った内容だった。安田氏の原稿執筆をサポートしていた本誌記者が語る。

「拘束される前の中東取材中、安田氏はシリア人協力者から“IS幹部が保有していたとされるパソコン”を入手していた。データの中にはISが拘束していたフランス人の画像などがあり、本当に幹部の所有物であるとの信憑性は高かった。その他にもISの戦闘員リストやその待遇について記したものや、“コーランの教育テキスト”さらに“シリア軍への内通者リスト”などが確認されたのです」

 当時、ISは「建国宣言」を行なっていたものの、国際的には“規律が不完全なテロリスト集団”と見なされていた。だが、入手したパソコンからは「ISがすでに一定の組織的統制を持ちつつある」ことが窺える──安田氏の記事が、その点を浮き彫りにする「スクープ資料」だったことは間違いない。

「あえて彼が危険なシリアに入ろうとした理由には、このパソコンデータの内容をもとに、さらに深くIS内部の取材をしたいという意図もあったようです」(前出・本誌記者)

 そうした経緯を踏まえると、原稿を掲載すれば行方不明になった安田氏の安全にも関わる可能性があったため発表は見送られ、3年4か月の時が流れた。

 ISが「首都」としていたシリアのラッカは1年前に陥落。現在もイラクやシリアではISの残党とみられる武装組織による戦闘行為は続いているが、少なくともISの存在に注目する報道は3年前と比べて激減した。安田氏が“最後に”伝えた情報も、状況が大きく変わった今となっては詳細を報じる価値は低くなったことは否めない。

 日本国内では安田氏の行動に対して批判する声が上がり、事実上の“身代金”が支払われた可能性も取り沙汰される。果たして帰国した安田氏は何を語るのか。いずれにしても3年の歳月で「失われた物」は大きすぎた。

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