「パスポートを持たない日本人を、トルコの入国管理施設で保護しているという情報を、カタールから得て」という複雑な経路で、シリアで拘束されていた日本人のフリージャーナリストの解放が確認されたというので、その人が今朝の新聞のトップに写真付きで紹介されていた。
フリージャーナリストは、文字通りに各自の信念で世界の紛争地域にも入って行く。しかし他国で拘束されれば、日本政府は「自己責任だから」と放っておくわけにも行かない。外交手続きを踏んで確認と帰国への方策を進めて行くようだ。帰国したら、マスコミが取り囲んで派手な報道合戦を繰り広げることだろう。
予想されるのは、「勝手な行動で政府・国民に迷惑をかけた」というバッシングである。それを見越したかのように、ネット上では「なるべく騒ぎを大きくしないで、そっとしておいてあげましょう」という提言が出ていた。私もそれに同感する。家族としたら、何よりもまず無事を喜んで、拘束中の苦悩を癒してあげたいことだろう。
もちろん、身の危険をかえりみずに現場を見てきたのだから、その見聞には大きな価値がある。それはいずれ、本人の口から語られるだろう。フリージャーナリストの使命とは何か、本人が誰よりも強く認識しているに違いない。
価値ある報告をまとめるためには、落ち着いた時間も必要になる。取り囲んで質問責めにするよりも、順を追った長期にわたる取材をするのがいい。
ふだんの私たちは、安全な日本にいて、無意識のうちに法的にも守られている。使命感をもって世界に出て行く勇気ある人たちを、敬意をもって見守ってあげたいと思う。
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- 2018年10月25日 12:22