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中東を理解するための5つのポイント

 トルコのサウジアラビア総領事館でサウジのジャマル・カショギ記者が殺害された事件は、世界中の注目を浴びている。

 また、昨日は、シリアで過激派に拘束されていた安田純平さんの解放が明らかになった。カタールやトルコが仲介の労をとったという。

 中東情勢は「複雑怪奇」であるが、それを理解するためには、常に5つのポイントを念頭に置いておく必要がある。石油、民族、宗教、政治体制、勢力均衡である。

 第一は石油であるが、原油の生産量ランキングは、①サウジアラビア、②ロシア、③アメリカ、④イラク、⑤カナダ、⑥イラン、⑦中国、⑧アラブ首長国連邦⑨クウェート、⑩ブラジル。埋蔵量ランキングは、①ベネズエラ、②サウジアラビア、③カナダ、④イラン、⑤イラク、⑥ロシア、⑦クウェート、⑧アラブ首長国連邦、⑨リビア、⑩アメリカとなっている。

 これらのランキングでサウジとイランの占める地位について留意しておきたい。

 第二は民族問題である。ユダヤ人とパレスチナ人の対立は中東最大の民族問題であるが、そもそもは、両者に手形を切った第一次大戦中のイギリスの二枚舌外交が発端である。イラン・イラク戦争はペルシャ人とアラブ人の対立である。また、中東には、国を持たない世界最大の民族クルド人がおり、各地で自治権を、そして独立を求めて、主権国と軋轢を起こしている。

 第三は宗教である。エルサレムは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地であるが、もともとは同じ神である。パレスチナ問題は、ユダヤvsイスラムの構図である。また、イスラムの中でもシーア派とスンニ派の対立がある。前者はイラン、後者はサウジが盟主である。宗派の同質性からシリアに対してシーア派が支援をするのに対して、スンニ派は敵対している。

 第四は政治体制である。サウジは王政である。これに対してイランはパーレビ王朝を倒し、宗教指導者が政権を握っている。サウジが、サダム・フセインやカダフィを嫌ったのは、彼らが王政批判を展開する危険性があったからである。今サウジはムハンマド皇太子の下で急進的改革が進んでいるが、シャー(王)を追放したイランは警戒すべき敵である。

 第五は勢力均衡である。中東の大国は、サウジ、エジプト、イラン、イスラエルである。今は、イランに対して他の三国が敵対しているが、これまで列挙してきた要因によっては、その構図はいつ変わるか分からない。

 以上の5つの要因は、そのときどきの状況で重みが異なってくる。世界の指導者は、この五元連立方程式を解く能力を兼ね備えておく必要がある。

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