絶対読んだ方が良い!と知り合いの方に熱心に勧められて初めてチェックしたのですが、筆者の二人の名前を見てびっくり!
NPO法人 I.S.Lの創設者である野田智義さんと、神戸大学の大学院で経営学の教授として経営管理や組織行動などを研究されている金井壽宏教授。
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リーダーシップの旅 見えないものを見る(光文社新書)/野田 智義
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¥819
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タイトルを見て、よくある自己啓発本?なんて思っていましたが、経営学のプロのお二人による深く学べる一冊。
経営学の様々な理論もちりばめられていて、”なぜリーダーシップは心に響かないのか”という視点から、”リーダーシップの持つ力”や、それを実現するためのプロセスをまとめています。
しかしこの一冊には、どうすればリーダーになれるか?リーダーになることを目標にどんな取り組みをすれば良いか?・・・そういったことは、一切書かれていません。
その理由は、以下の2つが挙げられます。
人は結果として「リーダー」に「なる」
皆さんが”リーダー”と聴いてイメージするのは、どんな人でしょうか?
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ものすごく影響力のある人間だったり、どこかの社長だったり、尊敬している先生だったり、皆の注目をいつも浴びている友達だったり。
そのステージは様々ですが、共通しているのは、自分自身が 見たいものを見たり、やりたいことをやったりする中で、それに共感する人間が現れているということ。想い描く目標に向かって歩いているだけで、そのプロセスの中で”フォロワー”と呼ばれる支持者が集まり、それが結果として関係を生み出しているということ。
この一冊では、一環して以下のような考えを主張しています。
リーダーとフォロワーが、実現したい何かに向かって、ともに旅という 時間と空間を過ごすプロセスで、お互いの間には一種の共振関係が生じる。
〜(中略)〜
リーダーシップは結果として成立する。
リーダーは、リーダーになろうと思ってなったわけではなく、 「結果として」リーダーに「なる」のだ。
よく「社長になりたいので起業する!」なんて言う人がいますが、それはここでは「リーダーになりたいので選挙に立候補する!」というのと同じ。
Steve JobsはApple製品で世界を変えたい、という想い以前に、世界のリーダーとして注目されたかったのか?“I have a dream”という演説でお馴染みのキング牧師は、歴史に名前を残すリーダーになりたかったのか?それとも今自分が動かなければ解決できない問題があったのか?
手段の目的化に要注意。リーダーになることは一つの手段だということなんですね。
他の人が見ない何かを見てみたい
リーダーシップへ続く道は、「他の人が見ない何かを見てみたい」という意志のもとに開くものだと筆者も述べています。
このことを説明する一つのケースとして、私の大好きな映画のワンシーンが紹介されていました!
それが「フォレスト・ガンプ〜一期一会〜」。リーダーとは何たるものか?を明らかに示すシーンが、主人公のガンプが恋人のジェニーに失恋し、走り始めるというところ。
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(もう何度見たことか・・・!本当に名シーンですよね)
ガンプがたった一人で黙々と走っていると、そのうち「一緒に走っていいかい、何か走る理由があるんだろう」と、あとから一緒についてくる男が現れる。
そしてガンプがメディアで紹介されるうちに”フォロワー”たちは次々と現れ、 何年もかけてアメリカを横断すると、ガンプの後ろには、気付けば沢山の人がついて来ている。
自分はリーダーだと声を大にして言わなくても、その背中を見て、その先の世界に期待を抱いて人々が自然とフォロワーとなっていくプロセス・・・それって、たった一人の夢がまわりに伝播し、気付けば周りの人にとっての夢になっているということですよね。
誰でもリーダーになれる?
こう考えると、今私たちがイメージする輝かしいリーダーにも、これまで誰も見ようとしていなかった世界を勇気を持って開拓しようとした過去があったのではないでしょうか。
もともと生まれたときからリーダーシップを兼ね備えていたわけではないと考えると、どんな人にもリーダーになる器があると言えるのかも知れません。
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誰も見たことのない世界を見ようとする力、そしてそれを切り開く中で、フォロワーがその人をリーダーにする。
この一冊を読んで、これまでのリーダーやリーダーシップの概念が大きく変わることになりました。
本のサブタイトルにもあるように、リーダーシップの旅とは、見えないものを見ること。
そのプロセスをもう少し深く読み込んで、また紹介させていただきたいと思います!