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オリンパス、新たな不正疑惑で「社内弁護士」の実名爆弾告発

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【隠蔽体質は今も変わっていないのか(EPA=時事)】

声を上げた榊原氏

「歴史は繰り返す。一度目は悲劇として、二度目は喜劇として」──マルクスの言葉だが、再び問題が起きたこの企業のことは「喜劇」で済まされない。オリンパスは2011年、損失隠しを明らかにしようとした新社長を解任し大スキャンダルとなったが、現在、新たな不正疑惑について追及する社員の動きを封じようとしている。そして社員は、実名告発に踏み切った。経済ジャーナリストの山口義正氏が、会社としての求心力を失いつつあるオリンパスの内情をレポートする。

 * * *
 7年前のちょうど今頃、損失隠し事件(※注1)に揺れていたオリンパスが現在、弁護士資格を持つ社員に訴えられるという前代未聞の裁判で被告人席に立たされている。

【※注1/オリンパスが損失を会社外に移す「飛ばし」という手法で隠し、長年にわたって巨額の粉飾決算を行なっていた事件。2011年7月、山口氏が月刊『FACTA』で問題を指摘、同記事を見たウッドフォード社長が調査を行なう最中、解任された。その後、社内調査の結果、同社は同年11月に損失隠しの事実を認めた】

 訴えたのは同社法務部勤務の榊原拓紀弁護士。オリンパスの法務問題を処理するために社員として在籍している彼が、自らの雇用主を相手取って訴えを起こしたのは、パワーハラスメントと公益通報者保護法違反が理由だが、その背景には深刻な疑惑と経営問題が横たわっている。

 オリンパスで今何が起きているのか、原告の榊原氏がインタビューに応じた。

「あの損失隠し事件があったにもかかわらず、オリンパスの隠蔽する体質は変わっていません。私は裁判を起こしていますが、このままでは問題が知られることのないまま終わってしまう。そこで、お話しすることに決めました」

 告発のきっかけとなった“騒動”は、昨年の暮れに東京・新宿のオリンパス本社で起きた。高層ビルの15階に怒声が響き渡る。

「メールを停止するんですよ、この人!」

 数百人もの社員が耳をそばだてた。怒声の主は榊原氏で、「この人」とは彼の上司である法務部長のことだ。オリンパスが中国・深センで地元マフィアとつながりを持ち、そのルートを経由して税関関係者に賄賂を贈り、経営上の問題を処理してもらっていた疑いが強まった(※注2)。

【※注2/オリンパスの深セン子会社は2006年、中国当局から実際の在庫と理論上の在庫が大きく食い違うと指摘され、数百億円もの罰金を命じられる可能性が生じた。その問題の処理を現地の経営コンサルタントに依頼し罰金は免れたが、後に中国マフィアである疑いが浮上。支払う報酬の一部が、賄賂として中国当局者に流れた疑惑も指摘された】

 この「深セン疑惑」については、深刻な法的な問題があるとの声が社内から上がり、海外の複数の法律事務所に見解を求めたところ、特に米国の海外腐敗行為防止法(FCPA)に違反する恐れが濃厚との回答が寄せられた。最悪の場合、数百億円もの罰金の支払いを求められる恐れがある。榊原氏らが強硬に主張したのは、ただ一点。「法律違反のリスクが大きいため、きちんと対処すべし」──。

 オリンパス上層部はこれに慌てたようだ。榊原氏とともに「問題あり」と声を上げた深セン工場などアジア全域の子会社を束ねる地域統括会社の法務責任者であるA氏に対し、昨年11月30日付で異動が告げられたのだ。左遷人事である(今年1月1日付で発令)。

「この異動はパワハラと公益通報者保護法違反ではないか」

 榊原氏はこの時期外れの異動を問題視。異動の撤回を求めるとともに、専門的な見地から深セン疑惑の危うさを説明した通知書を作成し、社外取締役全員に送付した。表題脇に弁護士印が押されたオフィシャルな体裁のものだ。

 そこには〈2度にわたる社内調査が中立・公平性を欠き得る顧問弁護士によって実施されたという問題点を踏まえ、調査は日弁連の「企業不祥事等における第三者委員会ガイドライン」に従った中立・公正な第三者委員会によるべきものと思料致します〉とあった。

 さらに後日、榊原氏はオリンパス幹部とやり取りしたメールを約300人の社員に転送した。社内で何が行なわれているのか、「みんなが見ているんですよ」と強調するためだ。

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