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大麻解禁に踏み切ったカナダ、その影響は? - 土方細秩子 (ジャーナリスト)

 今年1月1日より米カリフォルニア州が大麻を合法化したことが大きな話題となった。米国では最初にコロラド、オレゴンという2州が娯楽用大麻の合法化に踏み切り、その後も合法化の動きが続いている。特に人口が全米で最も多く経済的規模も大きいカリフォルニア州での合法化は米国全体に大きな影響を与えた。

 ところがお隣のカナダでは、10月17日から国を挙げて大麻を合法化する、という。国家として大麻が合法なのは南米ウルグアイに続いて2番目だ。有名なオランダのアムステルダムでも都市のみの合法で国家としてはまだ認めていない。

 カナダが大麻合法化に踏み切った理由は米国の各都市と似ている。元々医療用大麻が多くの都市で合法とされており、大麻産業が存在していた。大麻所持や使用は違法であっても罰金刑程度の軽犯罪扱いであり、大麻取り締まりに司法の人員を割くのは無駄、と考えられていた。またコロラド州が大麻合法化により大麻から得られる税金で公共福祉を充実させている実態などから、合法にして税金を徴収した方が合理的である、観光産業にもなる、という考えだ。

 しかし、カナダのような経済的にも発展した大国が大麻解禁を行うことは国際的な影響をもたらす。一応現時点ではほとんどの国が大麻を違法と見なしており、大麻の輸出入も国際条約規定に反する。カナダでは大量の大麻を米国、特にカリフォルニア州から買い付ける、と見られており、実際にカナダの企業が同州の大麻ベンチャーを買収する動きが見られる。

 さらに大麻を合法化することで公衆衛生、犯罪、道路上の安全性(大麻の影響下で運転する人が増加し、事故が増えるのか)、ブラックマーケットの今後など、注目すべき点は多い。

 カナダのトルードー首相は選挙キャンペーン中に「大麻を取り締まるより合法化して国家として管理する方が利益がある」と思いついた、という。首相就任後には直ちに大麻合法化に向けての専任チームを作り、昨年法案として提出した。

 米国やカナダで生活していると、大麻というのは本当に身近な存在だ。医療用大麻は医師の証明書があればすぐに購入できるし、ブラックマーケットも巨大というよりほぼどこにでも存在する。学生や若者のパーティで大麻が回ってくるのはごく普通の光景だ。それならばブラックマーケットを設けさせるよりも政府が仕切って税収を増やした方がマシ、と考えるのもうなづける。

 ただし大麻が合法化されたとしてもすぐに国が税収で潤うのか、というとそうでもない。カリフォルニア州では大麻による税収(医療用を含む)が最初の3カ月で6000万ドル、次の3カ月では7000万ドルを超えた。しかし当初の予想ではそれぞれの四半期で1億ドルを超える、とされていたため「思ったほど売上が伸びていない」のが現状だ。というのも同州では売上税に加えて娯楽用大麻には15%の税金を課している。そのため末端価格が高くなり、医療用大麻や従来のブラックマーケットを利用する人が多いためだという。最近行われた調査では、大麻常習者の5人に1人が「公的に認められた店舗以外から大麻を購入している」と答えた。

 また大麻を扱う側も、銀行口座やクレジットカードの利用ができない、という欠点がある。米国の場合大麻は国家としては違法であるため、大手銀行などが大麻ビジネスの口座を拒絶しているのだ。カリフォルニア州では大麻業者のために信用組合を設置したり納税窓口を増やしたりして「現金を扱うことに不安を抱かない」システムを採用しているが、カナダの場合は国家ぐるみなのでこうした問題は少ないかもしれない。

多くの大麻がカナダに流れる

 問題は今後カナダで合法化に伴う大麻使用者が増える、また観光客の利用が増える、などにより大麻が不足する可能性があることだ。そのためカナダの企業がカリフォルニアの大麻ベンチャーを買収し、大麻を確保しようとしているのだが、同じく合法化されたカリフォルニアにとって多くの大麻がカナダに流れることで値上がりや品不足に陥る可能性がある。

 そして最大の問題は、大麻を違法ドラッグとして敵視している米トランプ政権とカナダの間に軋轢が生じるのでは、という点だ。カナダへの大麻輸出禁止令、などというものが出される可能性もある。米国だけではなくEU諸国との今後の関係性にも大麻解禁は影響を及ぼすかもしれない。G7に名を連ねる大国での大麻解禁が世界に与えるインパクトは大きそうだ。

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