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KYBの不祥事公表の姿勢-私は(条件付きで)評価したい

すでに報じられているとおり、部品メーカー大手のKYB社(及び同子会社)が、建物用免震装置の検査データ偽装を公表し、大きな騒ぎになっております。19日には該当建物名の公表が予定されているそうですが、改ざんは20年近く続いていたこともあり、同社が大きな社会的批判を浴びることも当然のことと思料します。

国交省認定基準に反するデータ偽装であったこと、大手ゼネコンをはじめ、関係先に「先に知らせなかった」こと、補償が求められる可能性が高いこと、そして公表時に全容が判明していないことからも、株価が急落して当然なほどに重大な不祥事です(国交省のリリースはこちら)。

グループ経営管理は企業統治改革の中でもホットな課題ですが、KYBグループ全体のわずか2%程度の売上にすぎない免震装置事業がグループの信用を失墜させるとなれば、今後ますますグループ・ガバナンスに関心が向けられることになりそうです。

ただ、不正を知った社員が上司に報告をしたことによって社内調査が先行したものである、つまり、同社が自浄作用を発揮して不正公表に至った当社の姿勢については(被害者の皆様からのご異論は承知のうえで)一定の評価をしたい。

不正に手を染めていた人が申告をした・・・というわけではなく、不正に関する会話を聞いていた社員が上司に報告をした、ということのようなので、偶然といえば偶然に発覚したということですが、それでも経営トップは正直に国交省へ報告したわけですから有事対応としては「ステイクホルダーを重視した」と言えるようにも思えます。

最近、海外の機関投資家から「この会社は不祥事が起きた時、止める力はあるのか、誠実に不祥事に向き合う姿勢はあるのか、そのように言える理由はどこにあるのか」と質問を受けることがあります。もちろん不正はないことが望ましいわけですが、そうはいっても競争している以上はかならず不正(もしくはコンプライアンス上の問題行為)は起きます。そういった意味では、起きたことへの向き合い方は大切です。

なお、評価にあたっては一つ条件があります。「組織として不正隠しを行ったものではない」という点が明らかになることです。神戸製鋼さんの事件発覚のときにも同じことを申し上げましたが(そして、残念ながら予想が当たってしまいましたが)、20年近くもデータ改ざんが続いていたということは、本当に経営陣は知らなかったのだろうか・・・という点について、合理的な理由によって疑念が払しょくされることが条件です。

今後は第三者委員会による調査が進むはずですが、この「組織的関与」という点がステイクホルダーにとっても最大の関心事ではないかと。

たとえば①品質管理、品質保証部門の責任者の方が、その後に親会社役員に就任していた場合、②世間でデータ偽装が問題となり始めた2年ほど前から今回の発覚に至るまで、データ改ざんの有無に関する独自調査を行っていた場合、③親会社と子会社で同時期に同種のデータ改ざんが行われていた場合、④改ざん方法が歴代の担当者間で類似している場合などは、組織ぐるみの改ざんと評価されるような事情はなかったのかどうか、慎重な調査が必要です。

リスク認識が甘かったことも問題ですが、それは内部統制の不備と評価されます。リスク管理は十分にできていて、内部統制も整備されていたにもかかわらず、なぜ内部統制を無視、無効化したのか・・・、こういったことを裏付ける事実が明らかになった場合には、「組織ぐるみ」「経営者関与」といった評価につながりますので要注意です。

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