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ロイター記者実刑に元軍高官異議 スー・チー氏に試練

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アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相(2018年9月13日 ベトナム・ハノイ)出典 World Economic Forum on ASEAN 2018(flicr)

大塚智彦(Pan Asia News 記者)

【まとめ】

・ロヒンギャ虐殺取材のロイター記者実刑判決に元軍高官が異議。

・国軍勢力などの圧力の中、スー・チー氏は国政の舵取りに腐心。

・民主化の旗手さえ、表現の自由に理解を示せないミャンマーの現状。

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=42475でお読みください。】

ミャンマーの元情報相で軍高官でもあった人物が、ロイター通信のミャンマー人記者2人に対してインセイン郡区裁判所が下した禁固7年の実刑判決に異を唱え、裁判のやり直しを求めていることが明らかになった。

この裁判では「司法の判断である」として介入を避けているアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相だが、国際社会からは「不当裁判だ」「報道の自由を侵す判決だ」などと手厳しい批判を招き、孤立を深めている。

それだけにこのタイミングで政治的影響力が大きく、スー・チーさん自身も指導力を十分発揮できないとされる軍の元中佐で、2014年から2016年まで情報相を務めたイェ・トゥッ氏の司法への注文は、大きな波紋を広げている。

▲写真 ミャンマー元陸軍中佐・元情報相のイェ・トゥッ氏 出典:VOA

ロイター記者の裁判は、西部ラカイン州の少数イスラム教徒ロヒンギャ族に対するミャンマー国軍兵士による虐殺事件を取材していたロイターのワ・ロン記者とチョー・ソウ・ウー記者国家機密情報法違反の容疑で逮捕され、7月9日に起訴された裁判で9月3日に禁固7年の実刑判決が下されたものである。

▲写真 ロヒンギャ難民(2013年9月24日 Rakhine State, Myanmar/Burma)。ロイターの2記者はロヒンギャ虐殺族虐殺事件を取材していた。出典:flicr(Mathias Eick, EU/ECHO)

事件は2017年12月12日に2記者が警察官から「重要な書類を渡す」と呼び出されて、書類を受け取った直後に警察官に呼び止められて、所持していた書類が国家機密に関するものだとしてその場で逮捕されたものだ。

■ 警察官の内部告発も裁判で採用されず

この裁判では4月20日の予審段階で検察側の証人として出廷した現職警察官、モーヤンナイン警部が「2人の記者の逮捕は警察が仕組んだものである。2人に書類を渡した後逮捕するように警察幹部から命令された。逮捕しないと刑務所にお前が行くことになると脅された」などと衝撃的な証言を行ったことで注目を浴びた。この証言について裁判所は5月2日に「信用に値する」との判断を示したことから2記者が無罪となる可能性が高くなったとみられた。

しかし、この警部の証言は最終的には証拠として採用されず、証言したモーヤンナイン警部自身も警察に身柄を拘束され、その後の消息は分かっていない。

裁判の過程で判決に至るまでの間に、何らかの政治的関与があったのは間違いないとの見方が現地では有力視されているが、さらなる弾圧を恐れて批判する声はこれまでミャンマー国内ではなかった。

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