
[ワシントン 16日 ロイター] - ネイチャー・プランツ誌に掲載された研究によると、気候変動によって現状のペースで気温が上昇した場合、今世紀後半には熱波や干ばつなどの極端な気象現象が2・3年おきに発生し、ビールの原料となるオオムギの収穫が減少してビール不足と価格上昇が生じるとみられている。
研究は、極端な気象下における世界のオオムギ収穫量は状況次第で3─17%押し下げられると推定。最も暑いシナリオでは、今世紀中に深刻なビール不足に悩まされるのは中国、次いで米国、ドイツ、ロシアなどになる見込みとしている。
一方、ビールの価格が最も大幅に上昇するのはアイルランド、イタリア、カナダ、ポーランド。アイルランドでは、極端な気象下で500ミリリットルの瓶ビールの価格が2.5ドル前後から5ドル前後に上昇するという。
調査を率いたイースト・アングリア大学のダボ・グアン気候変動経済学教授は、ビールの問題は食料安全保障や嵐による被害、飲料水不足などに比べれば深刻度が劣るとしながらも、人々が何千年にもわたって楽しんできた飲み物への脅威は、先進国の消費者といえども気候変動の影響から逃れられないことを示す指標と指摘。「気候変動は、インドやアフリカ諸国の人々だけでなく、私たち全員に影響する」と述べた。
ただこの研究は、ホップなどビールの他の原料に対する気候変動の影響は考慮していない。
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