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「誤報ではない」週刊文春側が医師に反論

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左から週刊文春編集部デスク前島氏、筆者であるおしどりマコ氏、文春編集部記者の鎌谷氏
左から週刊文春編集部デスク前島氏、筆者であるおしどりマコ氏、文春編集部記者の鎌谷氏 写真一覧
2月23日発売の週刊文春(3月1日発売号)において、「衝撃スクープ 郡山4歳児と7歳児に『甲状腺がん』の疑い」という記事が掲載された。この記事に対し、2月23日に札幌厚別通内科、杉澤憲医師が会見を行い、同記事が誤報であると指摘した。

杉澤医師の指摘を受け、2月25日に記事の筆者であるおしどりマコ氏と週刊文春編集部が自由報道協会で記者会見を実施。週刊文春編集部とおしどりマコ氏は、記事の本旨はあくまでも継続的な検査の必要性を訴えることであり、「誤報」ではないと主張したが、記者からは文春の報道姿勢を「あやういのではないか」と指摘する声も挙がった。同会見の冒頭部分を書き起こしでお伝えする。(取材・執筆:BLOGOS編集部)

「記事は事実です。誤報ではありません」


前島氏:よろしくお願いいたします。週刊文春編集部でデスクをやっております前島篤志と申します。記者のおしどりマコさんと取材を担当いたしました小誌編集部記者の鎌谷一平と申します。

2月23日発売、3月1日号掲載のおしどりマコさん、少誌取材班による「郡山4歳児と7歳児に『甲状腺がん』の疑い」という記事に関して、北海道の札幌厚別通内科、杉澤憲医師により会見が開かれました。

その会見の中で小誌の誤報であるとの指摘がありましたが、私どもとしては「何が誤報なのか」「お医者様は何をおっしゃりたいのか」と戸惑っているところでございます。ただし、各メディアから問い合わせがあり、自由報道協会からも会見の要請がありましたので、この場で私どもの考えと立場と申し上げたいと思います。まず筆者のおしどりさんからお話申し上げます。

おしどり氏:まず最初に申し上げたいのは、記事は事実です。誤報でありません。私は昨日、一昨日と北海道に行ってまいりまして、記事の中に出てくる二人の娘さんに異変が見つかったお母様、その親子と、自主避難をされている2つのご家庭とずっと過ごしていました。彼らも非常に怒っていました。それはこの記事が誤報だと言われることに対してです。

そのインタビューを受けてくださった若いお母様は「何のために私が勇気を出して、このインタビューを受けたのか」と。彼女が言うには、福島県内と県外のメディア、テレビや新聞では情報が違っているのではないかと感じているそうです。しかし、週刊文春であれば、全国で同じものが売られているので、「私の声が福島にも届くのではないか」。そう考えてインタビューを受けたとのことです。なので、「私が勇気を出して声を挙げることによって、どなたか一人でも動く方が出てきたらうれしい」と言っていました。ですので、この記事が誤報だと言われることについて、とても怒っていました。

前島氏:では続いて、編集部から誤報、事実誤認というご指摘について、具体的に説明いたします。今のおしどりさんの言葉にほぼ内容的には尽きておりますが。個別具体的にお話できる部分をお話いたします。

まず、この記事の本旨ですが、おしどりさんが被災地の避難民を対象に甲状腺調査が実施され、子どもたちからも異常が出ているという結果を取材されました。先ほどお話があったように、ご家族の方も深く悩まれており、現状を伝えて欲しいとの声がありました。東日本大震災後、健康被害を考える上で、どの程度の異常が出ているか、具体的な状況を伝えることには大きな意味があると考え、検査を担当した医師、その他専門医、関係者にも取材を行いました。

もとより、この甲状腺異常が今後どのような結果になるか、そして放射線や原発事故とどのような関係があるかは、科学的にはまだ明らかになっていません。

しかし、チェルノブイリ以降、子どもたちの甲状腺異常が指摘されるなど、大きな被害が出ていることは報告されています。福島県では、この3年間をかけて子どもたちの検査を進めるとされていますが、住民や家族の不安を取り除くためにも速やかな検査と継続的な診療が急務なのではないか。それが本記事の趣旨です。

杉澤医師が会見を開いた真意は、正直我々にはわかりません。何かお立場があったのかもしれません。記事の中では、取材した医師関係者の方々のお名前を公開しておりません。したがって「取材源の秘匿」という点からも杉澤医師の記者会見での発言一つ一つにコメントすることは差し控えさせていただきます。

おしどりさんおよび本誌取材班は、取材に対して録音やメールなど記録もしております。それを公開することは情報源である医師も望んでいないと思います。ただ、杉澤氏が記者会見で当該記事の誤報である部分というのを6点挙げておりますので、その部分については反論させていただきます。

まず1点は「甲状腺がんの疑い」という記述がおかしい、要するに検査は良性であったというご指摘です。医学用語と我々ジャーナリズムの用語では違いがあるのかもしれませんが、「がんの疑い」があるからこそ子どもたちは二次検査を受けております。良性との所見が出されたのは記事にも書いてある通りです。しかし、良性といっても癌かどうかを判断するのに重要な細胞診(正常の細胞の中から「がん細胞」を顕微鏡で見分ける検査)は、まだなされておりません。継続的に経過を見ていく必要があるというのは病院側も語っておられます。

その意味でも「甲状腺がんの疑い」があり、今後とも注視していく必要があるという記事の趣旨に間違いがないと思っております。

次に「福島県からの11人に深刻な異常」という記述について、その数と福島県から避難してきた人だけではないという指摘がありました。この点についても取材源の医師の作成したデータに基づいた記述です。2次検査に回った人の数を指しています。福島県だけでなく、宮城県からの避難民も含まれているというご指摘はその通りです。

続いて、山下副学長からのメール、「検査を控えるように」というメールが来たという記述が事実に反しているという指摘。こちらは記事にも記載がありますように、甲状腺学会のHPに掲載されており、私どもの取材で副学長も自ら認めている事実です。さらに「独自の検査を控えるように」という点についても、これも我々が取材時にこの証言を確認しております。

それから人数についてのご指摘。親子309名、内訳は子ども139名、大人170名が検査を受けたと我々の記事になっておりますが、これは子どもと大人の人数が逆でございます。正しくは子ども170名、大人139名です。これは資料からデータを転記する際に編集部で生じた誤記でございます。この点は訂正いたします。

さらに記事の中で、内科医の発言として引用されている「しこりのあった7歳女児と4歳男児の二人に加え、19歳以上の『大人』9人の計11人に甲状腺がんの疑いがありました」というコメントについて。こうした発言はしていないということでしたが、これも取材時に確認しております。

以上、6点です。我々としては誤報と呼べるようなものはなかったと思います。繰り返しますが、杉澤先生がこれらを誤りと指摘する意図、そこにどのような事情があるかは私どもは承知しておりません。

ただ、大事なのは避難した子ども達の中から重大な異常が見つかっているということです。福島第一原発事故の影響を受けたと考えられる子どもたちやご家族のために何をしなければならないのか。子どもたちの健康のため、不安の軽減のために、たとえば甲状腺の検査はすみやかに行われるべきと考えております。また、検査を妨げるような行いはあってはならないことだと考えています。そういった意味でも編集部としては、この記事が誤報に当たるとは全く考えておりません。また取材源に対しては、週刊文春に記事を掲載することを事前に確認しております。以上でございます。

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