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文化資本の差

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 この「文化資本」による格差の拡大は、「当事者達は全く気付かない。」という怖さがあります。収入格差のように、金銭という明確な指標がないので、なかなか気付けません。比較できる環境に立たない限り、そもそも、差がある事、その蓄積による差が広がっていっている事に気付く事は難しいです。そして、ある日突然、ズドンと突き付けられます。

 また、この「文化資本」の話をすると、「運命論」みたいに聞こえるという欠点があります。社会の中に、目には見えないストックとしての「文化資本」があり、それが世代毎に継承され、社会的ステータスが再生産されていくという事になると、では「どうすればいいのか?」という事になります。「箸の持ち方でお里が知れる」と言われてしまうと、努力による挽回を否定されているようにも聞こえてしまいます。

 ここまであれこれと小難しく書きました。ただ、今でも、私はチャンスをくれた日本社会にとても感謝しています。そして、多くの若い方にチャンスを掴んでほしいと思います。私は現職時代、文教の世界にはあまり深く関与していませんでしたが、私が国政で目指す事の中心には、この「チャンス」を提供するという事があります。

 しかしながら、「チャンスは平等。あとは努力して頑張れ。」と言い放つだけでは回らない世の中になってきています。収入格差の再生産に伴い、文化資本の再生産が進み、文化資本の蓄積の圧倒的な格差が日本社会に出てきています。私の学生時代に比して、この格差へのチャレンジはどんどんハードルが上がっているように見えます。(「運命論」を是とするわけではありませんが)ただ、そこは社会全体の構造の話になってきますので、政治では短期的に解決できない部分があり、悩ましいです。

 それ以前の問題として、貧困の結果、チャンスが眼前にある事すら見えない子どもがいます。こちらは政治で短期的にも一定程度の解決を目指せる話です。だからこそ、少なくとも金銭的貧困を理由に学業を諦めるような世の中にしてはならない、という使命感のようなものが私にはあります。もっと言えば、貧困を理由にチャンスを掴める可能性を思いすらしない、という子どもが出ないようにしなくてはならないと強く思います。そのためには、今、「名目上のチャンスの平等」だけでは不十分で、もう少し社会が下支えしなくてはならない子どもが増えてきています。

 先日、児童養護施設の子どもと話す機会がありました。社会の中でとても弱い立場に置かれています。個々の子どもの背景を推し量りつつ、「君達がチャンスを掴めるように、おじちゃん頑張るから、君達も頑張るんだぞ。」と心の深い所でずっと願いました。

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