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YouTuber草なぎ剛の動画はなぜいまいちバズらないのか

【全般に穏やかなYouTuber草なぎ(イラスト/ヨシムラヒロム)】

 芸能人がYouTubeデビューしても、成功することはあまりない。テレビなどでおなじみの魅力が、なぜか激減するからだ。元SMAPの草なぎ剛が昨年、YouTuberデビューした。以後、投稿されている動画は120本超。有名YouTuberとコラボするなど話題を振りまいてきた。イラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が、YouTuberとしての彼の真骨頂は、どんなときに発揮されているのかを考えた。

 * * *
 ジャニーズ事務所を退社した稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾が結成したユニット「新しい地図」。名は体を表すように、まっさらな紙に地図を描く3人。現在、未開の地であったウェブにも挑戦している。稲垣がアメーバブログ、草なぎがYouTube、香取がInstagramにアカウントを作った。

“ウェブにも挑戦”と一緒くたに書いてしまったが、3人のなかで圧倒的に大変なのは草なぎだろう。そもそも映像を作る手間暇は、文章、写真と比べて準備から本番、編集までとかかる時間も人手も格段に多い。

 稲垣のブログ、香取のインスタは私生活のチラ見せが多い。草なぎの動画にもそういった傾向は見られるが、数としては少ない。多くはスタジオで撮影し、作り込んだものを公開している。前者と比べて桁違いに高コストにも関わらず、毎週新作を公開する草なぎの勤勉さには頭が下がる。

 草なぎは、稲垣、香取と共演したYouTubeでこんなことを語っていた。

「最近、俺がやっていることにみんな慣れちゃってね、視聴回数ちょっと減ってきちゃって。やった当初は反応がすごかったんだけどね……(笑)」

『ユーチューバー 草なぎチャンネル』が開設された当初は、たしかに僕もよく見ていた。そして、最近はあまり見てはいない。草なぎが指摘した“慣れちゃった視聴者”の典型だといえる。過去の作品をチェックしてみると、試聴回数は緩やかに減少していた。50万を超える動画も多いが、なかには10万再生いかないモノもある。

 チャンネル登録者数は80万人以上いる。芸能人だと、最近ゲーム実況でYouTuberデビューをした本田翼のチャンネル『ほんだのバイク』の90万人に続く登録者数を誇る。もちろん、YouTuberとして見ても超一流クラスだ。しかし、日本のトップスターとしては物足りない数字なのかも知れない。

 よし!これを機に、と『ユーチューバー 草なぎチャンネル』をチェックしてみた。このコラムを書いている10月5日時点で公開されている動画は121本。最も古いものは、昨年11月にAbemaTVで配信された「新しい地図」による『72時間ホンネテレビ』内で撮影された「矢沢永吉さん。ありがとうございます。」。番組にコメントをくれた矢沢に3人が感謝を伝えている。

 最も多く再生されているのは「3人でマクドナルドに来たよ!!」、視聴回数は540万回。上の動画同様に『72時間ホンネテレビ』内で撮影された1本。タイトルそのまま「マクドナルドのポテトが美味しいよねぇ」と3人がたわいもない話をする内容である。

 121本中、最初の31本は『72時間ホンネテレビ』から生まれた動画。主に番組の舞台裏を撮影したものなので、それ以降に本格的なYouTuber草なぎがスタートといえる。

 人気YouTuberは、視聴回数を増やすために同じクラスのYouTuberとコラボ動画を作る。過去、草なぎも人気者とコラボしている。その時に、おこなったのが長年出演していたテレビ朝日の深夜番組『ぷっすま』の企画。「はじめしゃちょー」とは絵のうまさを争う「絵心対決」、「水溜りボンド」とは金属メジャーをどこまで折らずに伸ばせるかに挑戦する「ギリギリマスター」に撮影。『ぷっすま』企画は、当人も勝手が分かっているので進行がスムーズだし、ファン目線からすれば「また見られる!」という喜びもあるのだろう。テレビの企画をまんまパクるYouTuberはいただけないが、草なぎの場合はオフィシャルなので好感が持てる。

 テレビで得たスキルを活かすことでいえば、その最たるものが料理。『SMAP×SMAP』の人気コーナー「BISTRO SMAP」で魅せたスキルを披露する。豪華なキッチンスタジオでご馳走を作っていた「BISTRO SMAP」とは異なり、小さなキッチンで草なぎ風家庭料理を紹介。

 こういった点からも、民放テレビ番組とYouTubeの毛色の違いが分かる。紛うことなきスーパースターの草なぎではあるが、動画を見ていると身近な存在に感じるから不思議だ。

「HIKAKIN」を筆頭にYouTuberは、タレント性よりも近所の面白い兄貴感が重要だ。草なぎもYouTuber仕様に微調整している。2018年4月、映画『クソ野郎と美しき世界』の公開終了記念に『ユーチューバー 草なぎチャンネル』に稲垣、香取がゲスト出演した。その際、草なぎは「つよぽん喋り方がYouTuberになってるね」と香取につっこまれていたっけ。

 スター感を消すYouTuber草なぎではあるが、紹介するものはスーパースター。なかでも時折配信されているジーパンに関する動画はヤバい。

 草なぎがジーンズマニアだということはよく知られた話だが、その貴重なコレクションを惜しげもなく披露。ある動画では1944年~1947年にリーバイスが生産していた「大戦モデル」なる幻のジーンズを紹介。「25歳の時に北海道で会ったジーンズマニアの人から100万円で買ったのが最初の『大戦モデル』だったなぁ、けどそれ友達にあげちゃったんだよね」といった常人では考えられない秘話もこぼれ出す。

 他の動画では、アメリカの炭鉱から発掘された100年前のカバーオールを公開。素人からすればただのボロ切れ。しかし、草なぎの解説を聞けば、ボロボロのカバーオールがなぜ高いのか理解できる。

 コメント欄にいるマニアの方々も「紹介したやつだけで余裕で車買えます」と興奮を隠せない。こんなレアジーンズを見られる動画は世界にも、そうそうないだろう。そして、草なぎの背景を知っているからこそ高級品を紹介されても嫌味がない。

 121本全て見たが、YouTuber草なぎの動画はどれも穏やかだ。全てが高品質で落ち着いており、誰も傷つけない。逆説的にいえば、YouTube的な刺激には欠けるともいえる。いまいちバズらない理由はここにあると思う。

 しかし、レアジーンズを紹介するお宝紹介動画はファンでなくともグッとくる。いくらで購入したかもわりと言うので、野次馬な角度から見ても面白い。なにより、『アメトーーク!』で「ジーンズ大好き芸人」として出演して欲しいくらいに草なぎの知識量と熱量がパない。ただ残念なことに、お宝紹介の本数は少ない。個人的には、草なぎのジーンズトークをもっと見たいと思っている。

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