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WBCの検査結果は匿名化の上、全面開示を

加治・木村法律事務所
医師,弁護士 大磯 義一郎
2012年2月28日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

MRIC Vol.410「WBCの検査結果をふまえて」において、坪倉正治先生から南相馬市立総合病院で行われている住民の内部被ばく検査の結果が紹介されまし た。震災直後の騒動からすると胸をなでおろす反面、今後も適切にフォローしていかなければならない問題といえます。

昨年の東日本大震災後、政府等行政組織は国民に対し、適時適切な情報開示を怠り続けました。その結果、国民の政府・行政に対する信頼は地に墜ちました。国 民の生命・健康を守らなければならない政府・行政が、まさに国民の生命・健康に関する情報を隠ぺいした震災時の対応は、政府・行政の存在意義を否定するも のといえます。

坪倉正治医師の報告・提言は当を得ており、また、南相馬市のHP上に公表された「市民の内部被ばく検診「ホールボディカウンターによる」の結果」もわかり やすくまとめてあります。
http://www.city.minamisoma.lg.jp/shinsai2/kensa /hibakukenshinkeka.jsp

ただ、坪倉医師には申し訳ないですが、今までの政府・行政の対応を鑑みるに、加工されたデータだけの公表ではなく、匿名化した上で、生データもすべて公開 すべきものと考えます。そうすることで、国内の特定の研究者だけでなく、全世界の科学者・研究者が忌憚なく検討し、意見を出し合うことができるようになる からです。失った信頼を取り戻すためには、徹底した情報開示が不可欠と考えます。

情報開示は当然に適法

そもそも、今回のデータ取得の開始にあたっては、研究として、倫理審査委員会の承認を得ており、データ取得の正当性は勿論認められます。また、承認を得た プロトコールに従い、住民にインフォームド・コンセントを行っていること、その内容として、データを匿名化して公表することを明示し、個別の同意を得てい ることから、個人情報保護の観点からも、情報を利用目的に従って、同意の範囲内で公表するという適法な使用といえます。
その上、匿名化した場合には、個人情報性が消失しますから、そもそも個人情報保護関連法規とは関連がないともいえます。

行政情報や公務員の守秘義務上の問題についても、最高裁判例において「同条項にいう「秘密」であるためには、国家機関が単にある事項につき形式的に秘扱の 指定をしただけでは足りず、右「秘密」とは、非公知の事項であつて、実質的にもそれを秘密として保護するに価すると認められるものをいうと解すべき」(最 決昭和52年12月19日判タ357号214頁)と判示されているところ、本件では、公表目的で個別同意を得ている情報ですので秘密性があろうはずもあり ません。したがって、本件生データを匿名化の上公表することは、法的に何ら問題がないものと思料します。

今から、失われた信頼を取り戻すには、徹底した情報公開と専門家による国際的議論を積み上げていくほかありません。速やかな情報開示がなされることを期待します。

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