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河村発言で私が思うこと

中国で活躍されている日本人俳優矢野浩二さんが自身のブログで発表した記事に、私は強い印象を受けました。

記事の中で矢野さんは、2004年に瀋陽でゲストとして参加したトーク番組で、中国人司会者から突然前触れもなく日本の中国侵略戦争について歴史認識を求められ、頭が真っ白になったと語っています。

矢野さんのマネージャーは直ちに番組の制作者側に申し入れを行ったことで、その番組の収録はストップとなり、番組の制作者側からは後日お詫びの言葉があったといいます。日中で敏感な話題をこのような場で持ち出すのは、司会者としての礼儀を欠いていたということなのでしょう。

このエピソードを引き合いに出し矢野さんは、当時ゲストとして名古屋に招かれた南京市友好代表団に対して日中両国が見解で争っている南京事件に言及した河村市長は、「ホストとしてもう少し礼儀を払ったほうがよかったのでは」と主張しています。

河村市長は「腹を割って話す関係になりたい」から、そういう話題を持ち出したのでしょうが、劉志偉南京市党委常務委員・政法委書記との会見は居酒屋で酒を飲みながら話すものではありません。劉志偉市政法委書記は南京市代表として「友好訪問」しに名古屋に来ていたのです。

中国政府にしても、日本の首相が訪中するとなれば、その前後は各メディアを通じて日本に友好的な番組や論調を流し、「日本の首相が中国に訪問するにふさわしい」雰囲気作り・世論作りに腐心しています。間違っても抗日戦争番組や「南京大虐殺特集」などを放送することはありません。それがあっているのか間違っているのかは別として、中国側は、それが「礼儀だ」と考えているからなのでしょう。

そのような場で、南京事件を持ち出して自身の主張を展開したということは、やはり河村市長側のほうが「空気を読めなかった」といわざるを得ないでしょう。河村氏の発言で南京市をあわてさせる必要があったのでしょうか。自分の発言で南京市代表団はどうなるか、河村氏は考えを思い巡らせたことがあったのでしょうか。甚だ疑問です。

河村市長が討論したいのならば、南京市と話し合ってそういう場を設け、心行くまで話し合えばいいことです。これではTPOをわきまえない日本人といわれてもしかたがないことなのではないでしょうか。

言霊・・・という言葉がありますが、石原東京都知事の「津波で日本人の我欲を洗い流せ」発言や芥川賞に関連する発言、民主党の閣僚の失言、そして河村市長の南京事件発言と、言葉の影響力、そして言葉に宿っている魂を軽視して「言いたいことを言えばいい(相手はどうなってもいいから)」と考えている政治家が日本には多すぎると思います。言葉を操るのが政治家という職業のはずなのに・・・。

中国や韓国のマナーをあれこれいったり、「傍若無人だ」と言う前に、我がふりを直すべきなのではないでしょうか。

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